【ライブレポート】亜沙、デビュー10周年に大村孝佳と原点回帰の東阪バンドツーマン「ライブハウスはやっぱり僕らのホーム」
亜沙が、約4年ぶりのバンド編成による東阪ツアー<亜沙バンド×大村バンド〜此処は六区〜>大阪公演を6月25日に、大阪・アメリカ村DROPで開催した。
◆ライブ写真
今回のツアーは、大村孝佳(G)率いる“大村バンド”とのツーマン企画として実施され、亜沙にとってはメジャーデビュー10周年イヤーを機に原点回帰するライブハウス公演として実施された。6月4日に東京・池袋harevutaiで行われた東京公演では後攻を務めた大村バンドが、この日は超絶テクニックを駆使したスーパープレイの連続で先んじて場をにぎわせ、満を持して亜沙バンドにバトンをつないだ。
オープニングのSEとシンクロするように沸き立ったクラップに迎えられた亜沙バンドは、「今日は最後まで楽しんでいきましょう!」という亜沙の一声から始まった「遊郭跡地」から、広末慧(G)、横浜利憲(G)、優一(Dr)、村田祐一(Mp)という鉄壁の布陣でメロウな歌声とベースラインをズシリと響かせ、久々の声出し解禁ライブの喜びをオーディエンスと分かち合うようにシンガロング。一転、うねるグルーヴに心地良く翻弄される「哀愁レインカフェテリア」でも、観客が自ずと肩を揺らしシャウトする空間を瞬時に作り上げてしまう。
「お久しぶりです、亜沙バンドです! かわいいと言われると調子に乗ります×2(笑)。すごく久しぶりに大阪にやって来たんですけど……やっぱり大阪、温かいですね! 初めて亜沙バンドを見る方もいらっしゃると思いますが、なかなかいいじゃないかと思ってくれた方は、高評価・チャンネル登録よろしくお願いします(笑)。亜沙は今年がメジャーデビュー10周年イヤーで、こうやって大村さんみたいな素敵なミュージシャンとツーマンライブをやらせていただいてるんですけど、自分のキャリアはボカロPから始まりまして。次はここ最近作った曲の中で、ボカロとデュエットした曲を」
そんなMCから突入したのは、ボーカロイド・重音テトとのデュエット曲「花街暗中膝栗毛」。躍動するビートが妖艶な旋律に絡みつき、そのままキャッチーなギターリフの応酬で幕を開けた「背徳シュガー」、和テイストで切なくドラマチックに聴かせる「紡縁 -bouen-」と、亜沙のソングライターとしての確かな手腕とレンジの広さを存分に堪能できる楽曲群で畳み掛ける。疾走感溢れる「幻想リアクション」では、ベースを置きハンドマイクであおりにあおり場内の熱気を一気に引き上げ、トドメのダンスナンバー「Moonwalker -月の踊り手-」で、目の前にハンズアップが広がる絶景を創出。ライブも中盤にしてあっという間に沸点へと到達する。
「大阪、楽しんでますか! 見りゃ分かるわな、君たちは楽しんでますわ(笑)。大村バンド、本当に素晴らしい演奏で、ドラクエで言ったら戦士レベル99の集まりみたいな。それで例えるなら、亜沙バンドは遊び人レベル99の集まりなんで(笑)。そんな亜沙バンドを皆さんもっとよく知っていただきたい! ということで、お決まりのコーナーがあるんです。初めて見る方も覚えて帰ってください、亜沙バンドは毎回これをやってるのかと(笑)。恒例のスタイリッシュなメンバー紹介!」
ここからは亜沙が、「亜沙バンドの基礎部分と言っても過言ではない、ドラムス優一!」、「優一さんが基礎だとしたら心臓部、マニピュレーター村田祐一!」、「最近めきめきトークスキルを上げているとうわさの、ギター横浜利憲!」、「長年うちのバイトリーダーを務めてくれてます(笑)、ギター広末慧!」と、個性派のサポート陣に順番に語り掛け、ちゃめっ気たっぷりなやりとりには会場も大いに盛り上がる。久しぶりに訪れたアメリカ村DROPにも、「ライブハウスはね、やっぱり僕らのホームですから」と感慨深げな様子の亜沙。約15分にも及ぶトークを終え、「何かMCでドッと疲れたんだけど(笑)、亜沙バンドがお送りするロックバラードを聴いていただければ」と、いよいよライブは後半戦へ。
その言葉に偽りなしの「平成が終わる日」では、切々と歌詞を紡ぐ亜沙に見る者もグッと息を飲む。その後も、軽快な四つ打ちのリズムがいざなうノスタルジックポップな「黄昏昭和の駅前で」、壮大なサウンドスケープが導く「未来世ライフ」と立て続け、セットリストも残すところあと一曲に。
「今日は久しぶりの声出しライブで、ライブハウスの熱量もあって、すごくいい感じじゃないですか皆さん! これだから大阪に来るのはやめられないですね。というわけで次の曲で最後なんですけど、SNSとかでみんなが見てる通りアンコールはあるので(笑)。今年はメジャーデビュー10周年ですので、この曲でプロの世界に足を踏み込むことができた、代表曲をお届けしたいと思います」
ラストは、今なお多くの歌い手たちにもカバーされる「吉原ラメント」だ。月日が経とうとも色あせない渾身の名曲で、全11曲にわたる本編は終了した。
そしてアンコールでは、亜沙バンド、大村バンドが入り乱れて計6人が参加したスペシャルセッションを展開。大村バンドのヒョウ柄の衣装をいじるなど、終始、和気あいあいの雰囲気で、名残を惜しむ亜沙が「今度は東名阪で!」と提案すると大きな拍手が。
「アンコール、一曲目は撮影OKです! 大阪ラスト、盛り上がっていけるかー!!」
和楽器バンドの人気曲「戦 -ikusa-」を最強メンバーで弾き倒す轟音ヘヴィネスに圧倒されながら、最後の最後は今宵の熱狂を凝縮した怒濤の「千本桜」でエンディングへ。いつまでもその壮絶な音像の余韻に満たされる最高の一夜となった。
取材・文◎奥“ボウイ”昌史
撮影◎堀卓朗(ELENORE)
セットリスト
M01遊郭跡地
M02哀愁レインカフェテリア
-MC-
M03花街暗中膝栗毛
M04背徳シュガー
M05紡縁 –bouen-
M06幻想リアクション
M07Moonwalker –月の踊り手-
-MC- (メンバー紹介)
M08平成が終わる日
M09黄昏昭和の駅前で
M10未来世ライフ
-MC-
M11吉原ラメント
-ENCORE- ※大村バンドメンバー(一部)とのセッション
[セッション参加メンバー]亜沙バンド:亜沙・広末慧・村田祐一/大村バンド:大村孝佳・Shoyo・前田遊野
EN1戦 –ikusa-
EN2千本桜
◆亜沙 オフィシャルサイト