【インタビュー】神はサイコロを振らない、日曜劇場『ラストマン』挿入歌に覚悟「たくさんの人に伝えようとすると逆に伝わらない」
■俺らの演奏で亀田さんが
■ノリノリなんだから大丈夫だなって
──それにしても、日曜21時の地上波でこれだけロックな曲が流れるのは痛快ですよね。
柳田:そうなんですよ。日曜劇場でこういうアレンジの曲を出せたのが嬉しいなって。制作途中に、メロディと歌詞が強いものであれば、アレンジはある程度自由に考えられそうだなと思えたんです。よく考えたら、名曲と言われている昔のドラマ主題歌も、曲がいいから今でもたくさんの人に愛されているし、カラオケとかでも歌われている。全ての人から愛されるくらいのメロディと歌詞を作る…っていうのは一番ムズいことですけど、それさえできれば、アレンジは攻めてもいいんだと思えたのは大きかったです。
──とにかくギターが印象的なアレンジで、曲のシンボルと言えるようなテーマリフが冒頭から鳴っていますね。
柳田:このギターリフが曲の軸になっていると言っても過言ではないですね。さっき言ったように、サビをまるっと変えたタイミングがあったんですけど、このギターリフは、変わる前のサビの歌メロだったものなんですよ。だからすごくパワーがあって。
──なるほど。そのイントロや間奏のソロは“ザ・ギターヒーロー”感が強いけど、サビは繊細なアプローチで。
吉田:サビはリードギターがメロディを弾くように、後ろでアルペジオを鳴らしているんですけど、両方とも絶妙な音階で成り立っているんですね。レコーディングはラフな感じでいきつつも、自分が練習してきたものとは違うニュアンスを求められる場合ももちろんあるので、そこにも対応できるよう、入れ込み過ぎないように意識しました。
▲桐木岳貢(B)
──テンポも絶妙ですよね。リズム隊としては、もっと速いか遅いほうが楽だと思うんですよ。そんな我慢が必要な中で、音の隙間を活かしつつ一音一音をしっかり鳴らし切ったことで、この曲のヘヴィさとか、一歩一歩着実に足を進めている感がサウンドに表現されているようです。
桐木・黒川:ありがとうございます。
──アレンジにおけるこだわりや、意識したことを教えていただけますか。
桐木:やっぱりメロディとギターリフが一番耳に入ってほしいので、ベースは潤滑油的な立ち位置を意識しました。あとは、あんまり理論的になりすぎないようにしようと。“こういうコードだからこういうふうに弾く”ではなく、もっと感覚的に、頭の中の音をそのまま出すようなイメージですね。
黒川:ドラムは、ギターソロ前のフィルがめっちゃ気に入ってます。その少しあとに“無様にいこうぜ”という歌詞があるので、自分も開き直って“俺!”って感じでいこうと思った時に出てきたフレーズですね。あと、ドラムはシンバルがずっと鳴っているんですけど、あれが自分の中でのこだわりポイントです。
──確かに、遅めのテンポなのに曲がのっぺりしていないのは、あのシンバルのおかげだと思います。
黒川:最近、大きいパルスを出すことを意識しているんですよ。ドラムで一番大きいパルスを出して、その間の部分は他の楽器で出してあげたほうがいい感じになるなと気づいて。今までは全部自分でやろうとしすぎていたんですけど、他の楽器を加味しつつ、スペースを空けるようなイメージです。
──なるほど。レコーディングは一発録りだったそうですが、クリックを聴きながら録ったんですか?
黒川:聴いているんですけど、消えてるって感じですね。
──ジャストでぴったりと合っているから、叩いてる音にマスキングされてクリックが消えているということですね。
黒川:はい。前は“合わせにいく”っていう感覚だったんですけど、今は勝手に合うんです。
▲黒川亮介(Dr)
──素晴らしい。「少年よ永遠に」(メジャー1stフルアルバム『事象の地平線』収録曲)で一発録りに挑戦した時は、「緊張した」と言っていましたが、今回はいかがでしたか?
柳田:今回は緊張は全くなく、4人で合わせることを楽しめました。
黒川:レコーディング前に、身体に染み付くくらい叩きましたからね。
桐木:一発録りのいいところは、みんなの動きが見えることですよね。一人で弾く時よりも合わせやすいから、レコーディング中にも、一発録りならではのグルーヴが生まれているなと実感することができて。
吉田:シンプルな楽曲なんですけど、シンプルがゆえに難しいところや、こだわっているポイントもたくさんあるんです。そこに一発録りならではの空気感も乗っかって、すごくいいテイクになったなと思ってます。
黒川:あと、レコーディング前にスタジオに入った時、亀田さんがめっちゃノリノリで聴いてくれていたんですよ。「俺らの演奏で亀田さんがノリノリになってくれてるんだから、もう大丈夫だな」と思えたのが自分的には大きかったです。
柳田:そこはやっぱり亀田さんの人間力だよね。亀田さんは場の空気を作るのが本当に上手いんですよ。やっぱりポジティヴなムードの現場じゃないと物事がスムーズに進まないし、いいものも生まれないから、空気がいいかどうかってすごく大事。亀田さんとの制作はずっと楽しかったから、“やっぱりさすがだな”と思いましたし、自分の色に染めるんじゃなくて、僕らの表現したいことを汲み取りながら“この曲をもっとよくするには”という視点で提案してくださったのがすごくありがたかったです。
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