【インタビュー】Mrs. GREEN APPLE、10周年と新曲「ケセラセラ」を語る「勝てなくてもいい、負けないでいることの強さ」

■僕が感じたままに曲を書けばいい
■という自由度がアルバムにあります

──そうしたスタジオワークのお話を聞くと、7月5日発売予定のアルバム『ANTENNA』の完成が本当に待ち遠しくなります。今まさに制作真っただ中だと思いますが、どんなアルバムになりそうですか？

大森：じゃあ、まずは二人から話してもらおうかな。ファンのみんなが“楽しみ！”って思ってくれるようなコメントをお願いします（笑）。

藤澤：うわぁ（笑）。

若井：めっちゃムズいハードルの上げ方（笑）。何だろうな……ひと言では言い表せないけど、1枚のアルバムの中でもめちゃくちゃいろんな表情がある、というのがまずひとつ。「これです！」って言えるアルバムじゃなくて、まさしく“アンテナ”の中にいろんなものが入っているというのが、今の段階での僕のイメージです。

大森：そう、次は『ANTENNA』なんですよ。これまでは、“このアルバムで僕らはこういうことを掲げました”って割りと説明しやすいタイトルだったんですよね。『Attitude』だったら僕らの“姿勢”や“態度”を表していたし、『Progressive』なら“革新性”、『Variety』は“多様性”。でも次の『ANTENNA』って今までとは毛色の違うタイトルで、説明がしづらい。でもアルバムを通して聴いてくれたら、“ああ、なるほどな”って思ってもらえるんじゃないかな。涼ちゃんはどう？

藤澤：僕は、元貴が作る新曲を聴いて、“うわぁ、Mrs. GREEN APPLEだ！”って思いました。いろんな意味でね。たぶんファンのみんなだったら、同じように感じてくれるんじゃないかなって。


──ちなみに、曲作りに向かう気持ちは、ミニアルバム『Unity』の時とは、やっぱり違う感覚ですか？

大森：活動再開後、最初に出した『Unity』は、やっぱり説明をしなければいけない作品だったので、そういう意味では重たいものを背負って作っていました。でも今度のアルバムは、『ANTENNA』というタイトル通りに、僕が感じたままに曲を書けばいいという自由度があります。だから、『Unity』とはまた違った角度から曲を書いている感覚はありますね。レコード会社の宣伝担当さんは、客観的に見てどんなアルバムだと思います？

宣伝担当：えっ、そうですね…どの曲を入口にして入っていっても、いろんな楽しみ方ができるアルバムだと思います。

大森：いいコメント！ じゃあ、それ僕が言ったことにしておいてください（笑）。でもやっぱり、僕はカウンターを喰らうアルバムになるんじゃないかなって思う。『Attitude』でフェーズ1のオリジナルアルバムを作り終えて、『Unity』っていう重みのあるミニアルバムがあって、そして『ANTENNA』。僕らは2ndアルバムをセルフタイトルにしたけど、気持ち的に、もしそれがなかったら、次のアルバムを『Mrs. GREEN APPLE』にしていたかもしれないっていう、そういう作品かもしれない。今言えるのは、これくらいですね。

──数々のヒント、ありがとうございます。そして『ANTENNA』がリリースされると、今度はアリーナツアー＜Mrs. GREEN APPLE ARENA TOUR 2023 “NOAH no HAKOBUNE”＞のスタートですね。

大森：まだブレストというか、スタッフと話し合いを始めたばかりですけど、今の段階で“こんなライブは観たことないぞ！”っていう、“こんなツアーをやってもいいんだ！”というものになると思います。＜Mrs. GREEN APPLE ARENA TOUR / エデンの園＞でフェーズ1のライブを終え、そこから今回のツアー＜ノアの箱舟＞と続くわけですけど、＜エデンの園＞に来てくれた人も、フェーズ2から僕らを知って映像作品で振り返ってくれた人も、ライブを観るのは初めてという人にも、みんなが納得してもらえるような、そんなツアーになるだろうなと思っています。

藤澤：そうなんですね（笑）！

若井：そうなんだー（笑）。

藤澤：だけど本当に、また東名阪のアリーナをツアーでまわれるのがとても嬉しいですし、結成10周年という節目の年でもあるので、ありがとうの気持ちをみんなに届けにいきたいですね。

大森：本当だよね。2年間も活動を休止して、またアリーナツアーができるって、とんでもなく幸せだし、凄まじい経験をさせてもらっているなと思います。

若井：いやぁでも、曲は一体何をやるんでしょうね（笑）。

藤澤：あははは。僕らもそこが気になるよね（笑）。

大森：まだ考えている段階だけど、でも楽器隊として二人のスキルアップが観られるツアーになると思う、マジできっと。去年の秋頃から、「次のアリーナツアーはとんでもないことやるから」って話をしていて。プレイヤーとして、二人はこれまでとは異次元の楽器との向き合い方をすることになると思うし、それをもう、既に始めているよね。

藤澤：ああ、確かに。その通りだね。

大森：僕が傍から見ていても、最近の二人の楽器の向き合い方が“これはツアーに向けてやってるな”っていうものをすごく強く感じるので、きっとプレイヤーとして二人が化けるツアーになると期待をしています。


──もちろん大森さんのボーカルも含めて、アリーナツアーで進化していくMrs. GREEN APPLEが楽しみですし、それが8月の埼玉・ベルーナドーム(西武ドーム)のステージ＜Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis”＞で、ひとつ結実しそうですね。

大森：アリーナツアーのファイナルの翌週末、また違うライブをやります（笑）。＜Atlantis＞っていうコンセプチュアルなタイトルを掲げて、もうロックバンドのライブというか、“これ、なに!?”っていうエンタテインメントにできるよう、今、話し合いを進めているところです。ベルーナドームって、半分野外的な造りをしているので、夏を感じてもらえるような熱いものにできればいいなと思っていて。だけど本当に、夏にドームライブができるなんて思いもしなかったし、まずもって4月1日の段階でアリーナツアーがソールドアウトになるなんて、信じられなかった。それだけ期待されているんだなと感じました。だけどドームでは、あまり肩に力の入り過ぎた感じではなく、僕らが本当に面白いと思えるエンタテインメントを作れたらいいなと思っています。去年はいろんな人に「おかえりなさい」と言ってもらえて、たくさんエネルギーをもらえたので、今年はそのエネルギーをエンタテインメントに変換して、みなさんに届けていけたらなと思っています。

藤澤：元貴が言うように、今までの10年間で一番エネルギーがあって、トップギアに入っているという感覚があるので、自分自身も、7月のツアー、8月のドーム公演と、今年の夏がとても楽しみです。

若井：そのツアーとドーム公演をやる頃って、もうアルバム『ANTENNA』が完成して、リリースもされているわけだから、アルバムを作り終えて次のステージに進んでいく自分たちのマインドを想像すると、そこも含めてすごくワクワクしています。

大森：そうだよね。そう考えると、次のアルバムが自分でも本当に楽しみになりました。アルバムの完成まで、あと少し。頑張ります！

取材・文◎布施雄一郎







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