【インタビュー】BURNABLE/UNBURNABLE、10ヶ月連続リリース「歌に希望がなくてもいい。誰でもそういう気分になれない時だってあるから」
■負の感情は私にとって忘れたいものではなく、大事にしまっておきたいもの
──続いて、4月5日に配信リリースされる「S.O.S.」について聞かせてください。こちらも今までにない曲調ですね。
re:caco:ロック調で、いつものバナブルとは違う感じがしますよね。私自身も新しさを感じましたし、制作はすごく面白かったです。歌詞はARAKIさんとの共作で、サビとBメロはARAKIさんが書いたもので、そのあと私が「この曲におけるS.O.S.という言葉はどんな意味なんだろう?」と考えながら、他の部分を書いていきました。
──re:cacoさんが書いたのはどの部分ですか?
re:caco:1番はAメロだけで、2番はサビ以外全部私が書きました。実は私は英語が苦手なんですけど、トラックを聴いた時、この曲調なら日本語はあんまり合わないかもと思って、1番Aメロでは頑張って英語の歌詞を書くことにトライしてみました。英語の発音も頑張ったので、ぜひ注目してほしいですね。あと、「流れる雲に抱かれる走馬灯」というところは、最初、この歌詞じゃなかったんですよ。だけど浮遊感のあるトラックなので、もっと曲に合う言葉を入れたいなと思って、考え直したんです。このフレーズがパッと降りてきた瞬間、「これだ!」と思いました。
──レコーディングはいかがでしたか?
re:caco:怒りを表現することに苦戦しました。私、普段あんまり怒ることがないんですよ。嫌なことがあっても「じゃあ自分がこうすればいいか」「この人とはもう関わらないでおこう」と諦めちゃうことが多いので。なので、レコーディングでは「生ぬるい」「怒る時ってもっと鋭いでしょ?」と指摘されました。「言わせんな」など、口調が強いところは特にちゃんと表現できるように頑張りましたね。
──MVは無人駅や工業地帯で撮影した、re:cacoさんがずっと何かから逃げている映像になっています。
re:caco:画質も味があっていいですよね。撮影にはレトロな雰囲気の出る8ミリカメラを使いました。この撮影、すごく楽しかったんですよ。小人数での撮影で、人がほとんどいない時間帯だったんですけど、日本一短い鉄道が停まる駅だったみたいで電車オタクの人を見かけました。
──ところで、BURNABLE/UNBURNABLEは“負の感情を肯定する”というコンセプトを掲げていますが、そもそもre:cacoさんが楽曲を通して負の感情を肯定したいと思うのはなぜなんでしょう?
re:caco:誰か他の人になりきって表現するアーティストもいると思うんですけど、私にはそれができなくて。自分という人間を掘り下げて、奥深くにある感情も全部歌にしたいという気持ちがあるんです。
──歌にすることによって、気持ちが少し軽くなるんでしょうか?
re:caco:いや、そうではないんですよね。負の感情は私にとって忘れたいものではなく、大事にしまっておきたいものだから、曲にしているんです。嬉しいことも悲しいことも、いつか忘れてしまうじゃないですか。だけど「この時こういう気持ちだったんだ」という一つひとつを大事に覚えておきたい。そういう気持ちが人一倍強いのかもしれません。あと、「自分はどういう人間なんだろう?」と常に考えていますし、自分や他の人のことを知らないのが怖いという感覚もあります。
──というと?
re:caco:今日ここに来るまでにキッチンカーを2台見かけたんですよ。私はそのキッチンカーを営業している人のことをもちろん知らないし、ここで話しかけなければ出会うこともないし、多分これから親しくなることもない。その人はどんな想いでキッチンカーの仕事に就いたのか、つらいと思っているか、楽しくやっているのかも知らない。「自分の知らない人が周りにこんなにいるんだ!」ということが怖くて、全部知りたいと思っちゃうんです。「もしも今後その人と関わる機会があるとしたら、その時自分はどう変化するんだろう?」とか、そんなことばかり毎日考えています。
──re:cacoさんは楽曲を通じて自分の状態を世に曝していて、さらに今、その楽曲を聴いたリスナーがご自身の周りに集まってきているわけじゃないですか。この状況に対して、どんな気持ちになるんでしょうか。“嬉しい”とはまた違うんですかね?
re:caco:“嬉しい”よりも“興味深い”ですね。自分のことも、その人のことも、もっと知りたいなと思っちゃいます。
──なるほど。事実として興味深いというのが一番にあるからこそ、その曲がどんな結末になるかよりも、自分の感情をちゃんと曲に出せるかどうかが大事ということですね。だからこそ、曲に救いがあってもいいし、なくてもいい。
re:caco:はい、そうです。
──よく分かりました、ありがとうございます。3月の「一日一日夜」、4月の「S.O.S.」に続いて、ここから毎月新曲を配信リリースしていくんですよね。
re:caco:はい。私がどんどんリリースしたいとスタッフさんに伝えて、こういう形になりました。ただ、速いペースで曲作りをしていかないといけないので、大変ですね(笑)。
──「一日一日夜」、「S.O.S.」は新鮮味のある楽曲でしたが、現時点での感触はいかがでしょうか。
re:caco:私自身は結構ノリノリで、新しい曲調にも楽しく挑戦できています。リリースされて自分の手から離れた時、聴いてくれる方がどうリアクションしてくれるのかが気になりますね。すごくワクワクしています。
──2023年はここからリリースを重ねていくことになると思いますが、どんな1年にしたいですか?
re:caco:聴いてくれる方、ファンになってくれる方をもっと増やしたいです。そのためにはみなさんと繋がれる場所を増やしたいなと思って、今までやらなかったインスタライブにトライしてみたり、カバー動画をYouTubeにアップしたりしています。BURNABLE/UNBURNABLEのダークポップをもっと浸透させたいですね。
取材・文◎蜂須賀ちなみ
撮影◎いわなびとん
8thデジタルシングル「一日一日夜」
配信リンク:https://lnk.to/haruharuya
9th Digital Single「S.O.S.」
ライブ情報
2023年4月6日(木)
会場: TOKIO TOKYO
出演: BURNABLE/UNBURNABLE / アマイワナ / チョーキューメイ / 幽体コミュニケーションズ
時間: OPEN 18:00 / START 18:30
チケット: ADV / DOOR 3000円 / 3500円 + 1D
https://hype-ticket.stores.jp/items/63ec99347d65da4883a9a6b0
この記事の関連情報
BURNABLE/UNBURNABLE、ボカロP・tamonを迎え自由になることについて描いた新曲「風になる」配信開始
BURNABLE/UNBURNABLE、事務所独立&ファンクラブ開設。1対1の人生相談会も実施
BURNABLE/UNBURNABLE、集大成となる1stフルアルバム『空恐ろしい』リリース。呪いがテーマのMVも公開
BURNABLE/UNBURNABLE、白い犬が天国とひたすら地獄を駆け回る新曲「逃げるユーフォリア」MV
BURNABLE/UNBURNABLE、10ヶ月連続配信リリース最後の作品「逃げるユーフォリア」リリース。初のフルアルバム発売も決定
BURNABLE/UNBURNABLE、亡き母が好きだった飲み物に気持ちを馳せた新曲「レモネード」
BURNABLE/UNBURNABLE、“回避性依存症”がテーマの新曲「血のカルテ」
BURNABLE/UNBURNABLE、新曲「水魚の交わり」リリース。信頼と依存の違い・友達と恋人の違いは何か
BURNABLE/UNBURNABLE、新曲「黒い犬」リリース。心の中に飼う“黒い犬”とは──