【インタビュー】『マガツノート1周年』コンテンツPが語る、こだわりと思い「マガツノートはうまく生きられない人たちのお話」

ポスト

■マガツノートは「うまく生きられない人たち」の物語

──そして、マガツノートの大きな魅力となっている楽曲。楽曲はどのように制作をしていますか?

うちP氏:楽曲はテーマに合うと思ったアーティストさんに交渉し、承諾をいただき次第、依頼書を制作してお渡ししています。コラボ楽曲ではマガツノートの世界観とアーティストさんのカラーを活かした形で掛け合わせたいため、アーティストさんの楽曲を聴きこんで、その中からイメージを作ってお渡ししています。

──楽曲提供という形ではないんですよね。

うちP氏:マガツノートの楽曲の最も代表的な形である「DRAMA ver」はアーティストが歌う楽曲に声優のボイスを乗せるという形をとりました。まずは本質的な部分を組み合わせてみたかったんです。声優はボイス、アーティストは歌や演奏という本質同士で掛け合わせることで、必ず新しく魅力的な楽曲が出来上がるはずだと思いました。また、声優が楽曲をカバーする「CHARACTER ver」ではキャラクターらしく歌う、という点を重要視しているので、原曲とはまた違う魅力で1つの楽曲を様々な形で楽しんでいただけるかと思います。

──しかも、どの曲もちゃんとその陣営のイメージに合っているんですよね。

うちP氏:私が思ってるもの以上のものを皆さんにご制作いただいています。本当に素敵な楽曲ばかりなので、ぜひアーティストの皆さんにはボイス無し版音源のリリースや、ライブでの演奏もどんどんしていただけたら嬉しいです(笑)。

──アーティストを決める基準は?

うちP氏:例えばザアザアさんの時は、ある対バンイベントで拝見した際に世界観が蛇-ウロボロス-陣営らしさがあり、煽りはMAD FANG陣営のような勢いもある等と感じていたのですが、その後にライブで見た世界観にぴったりの楽曲テーマが上がったので、ご相談させていただきました。とにかくまずはいろいろなアーティストを見てみようと思い、去年は40本程のライブに足を運びました。



──それも信頼できるところですね。だから曲と陣営のイメージがぴったり合っているんだと思いました。最新のコラボアーティストとして発表された甘い暴力さんはどうですか?

うちP氏:今回の戦シーズン2ではパターンの違う3曲が必要で、それを1つのバンドさんにお願いしたいという希望がありました。そんな3つバラバラの楽曲を作れるのは誰だろうと考えたときに、以前ライブで拝見した甘い暴力さんが浮かびました。コミカルな楽曲、歌モノ、暴れ曲など、楽曲のバラエティ性が高く、本編とは違ってワイワイ楽しめる戦シーズンの物語にもぴったりだと思いご相談させていただきました。

──そうやって実地で見て適切なアーティストを選んでいるからか、BARKSでインタビューしたときも、みんなワクワクしていました。

うちP氏:インタビューを拝見するとアニメやゲームが好きなアーティストさんも多いようです。マガツノートもチャレンジコンテンツなので、いろんなチャレンジをしているアーティストさんと相性が良かったのかもしれません。

──バンドだけでなく、ボーイズグループのBXWさんや歌い手のluzさんも起用されています。それもぴったり合うなって思ったんです。

うちP氏:当初から、中心はヴィジュアル系に置きつつもジャンルを絞りすぎず音楽を重視したいと思っていました。最近のアーティストさんって、カテゴライズされてないなっていうのは思っていて。音楽性もそうだし、見た目に関しても、お化粧していて見た目もダーク、でもヴィジュアル系じゃない、という方もたくさんいますよね。聴き手側も1つのカテゴリに縛らず色々な音楽にアクセスしていると思います。マガツノートはあくまで「うまく生きられない人たち」の物語と楽曲の親和性がメインで、ヴィジュアル系バンドの物語ではないのであまりヴィジュアル系という言葉にとらわれすぎずに、でもジャンルへの愛とリスペクトは込めて制作をしています。



──そんな中でも、あえてマガツノートのジャンルをカテゴライズするとしたら、「ダーク」になるんでしょうか。

うちP氏:そうですね。概念のワードですけど、暗い、ダークなもの……言い換えると、キラキラしたものが眩しくてつらいという人に届けるコンテンツということでしょうか。その方がわかりやすいかもしれないです。

──そこまで振り切っていると、小気味がいいというか。

うちP氏:眩しいものは、嫌ですね(笑)。自分のことを上手く生きられている人だと思えないし、そういう人に向けてコンテンツを作りたいと思う。上手く生きられていない人が上手く生きられてる人を見た時に感じる焦燥感、不安、不満とかって、結構あるじゃないですか。未来への希望、明日への夢みたいな大きなことじゃなくて、単純に今日ムカついたことを今日消化したい、みたいなネガティブなパワーだとか。そういうものを作りたいというのはありますね。

──なるほど、わかります。

うちP氏:それと同時に、私は自分が楽しいと思って救われてきたものは後世の乙女たちにも伝えたい……!というエンタメ作りのポリシーを持っていて…(笑)。人生大変な時とか学校や会社でイヤなことがあった時とかに、こういう逃げ方ないしは進み方もあるという選択肢の一つを作れたら良いなと思ってます。私自身も学生の頃しんどくなったらMUCCさんの「大嫌い」を爆音で聞いていて。その曲に救われてた部分も大きかったんです。

──しかもそれって、“好きなもの”がたくさんあれば、救われるものがたくさんあるということで、より良いですよね。……ということを、マガツノートの始動が発表された一番最初のイベント<マガツノート Special Event「解放区」>で感じたんですよね。

うちP氏:人間って好きなものに救われて生きてると私は思います。誰かがきっと好きになれるもの、を作りたい気持ちはずっとあって。そうシンプルにいかないことは分かってるんですけど、元ギャでオタクだったら、バンドも声優も見れたら楽しいのではないか、みたいな……「こうだったら楽しいかも」「こうなるとイヤかも」というキッカケから発想を広げることが多いです。

──というか、そもそもいきなりイベントを打って、そこでプロジェクトの詳細を発表するという手法も驚きました。

うちP氏:あれはすごく思い切りで、多くの方々の協力あってこそ成立したものでした。今となってはやってよかったと思うし、楽曲のイメージ、コンテンツのイメージ、インターネット上では伝えきれないものがあって。公演自体が形になった時、ああこのプロジェクトはこういうことがしたかったんだなって自分でもわかったというか。机上の空論としてやってきたものがこういう風に落とし込めるんだ、と実感できたんです。



──ライブのタイトルは<解放区>ですね。ラジオドラマ本編にも解放区というワードも登場しますが。

うちP氏:解放区が掲げる「好きなように暴れて楽しめる場所」って、世の中には意外とないものじゃないですか。でもヴィジュアル系をはじめとするライブの現場って、頭振って、大きな声出して、普段の自分を忘れる程の楽しみ方ができる。すごい熱量ですよね。だから何もかも解放して、好きに楽しめる場所になってほしいという意味も込めています。

──二次元のファンも、三次元のファンも、みんなが一緒に楽しめるライブ。私は初めての経験でした。お客さんの反応はいかがでしたか?

うちP氏:マガツノートをきっかけに、どちらも楽しんでいただけている方、バンドのファンだけど声優に興味を持った方、声優のファンだけどバンドのライブに行ってみた方がいるという話は聞きます。そういう交差があることが、素直に嬉しいです。もっとマガツノートのコンテンツのやりかたが浸透していくと、もっとわかりやすく受け入れられるのではないかと思い、チームでも試行錯誤を重ねています。



──素敵だと思います。さて、今後のマガツノートの展開は?

うちP氏:コンテンツとしてはキャラクターのパーソナルを掘り下げていくことを強化していきます。1周年を記念して武将たちの2面性を表現するソロ楽曲シリーズ【COVER&EXPOSE】が始動しました。このシリーズでは武将たちの表面的なイメージや、こう見られたいという「外面」をカバー曲で表現して、誰にも見せたくない内心や秘めた欲望をオリジナル楽曲で表現していきます。カバー曲もアーティストの方々やファンの方々にとって大切な既存楽曲をカバーさせていただくということで、キャラクターと楽曲を突き合わせながらかなりの時間をかけて考え、選曲させていただきました。公開を楽しみにしていただけたらと思います。また、4月から始まる戦シーズン2では武将たちが陣営シャッフルでバンドを組むということで、新しい関係性を垣間見ることができるのがポイントです。

──今後はキャラクターをもっと好きになっていけそうですね。ちなみに推しキャラは?

うちP氏:オリジナルの楽曲はコラボ曲とはまた違って「キャラクターソング」であることを重視しているのでキャラクターの心情を描く歌詞に注目いただきつつ、ゴリゴリの楽曲や制作陣にも期待いただきたいです。推しキャラは……どのキャラにも愛着がありますが好みで言うと小十郎ですかね。穏やかなロン毛が好きです(笑)。





──私も好きなキャラがいるので、楽曲展開が気になります。3月16日には、全16武将が歌うテーマソング「天下多事CHAOS」も公開されましたね。

うちP氏:全員で歌うテーマソングということで、どうしても前向きな感じの“明日へ向かって”みたいな歌になりそうなところを、絶対にマガツノートの武将たちは素直に明日に向かわないというか、仕方なく明日に歩いていく人たちもいるし、団結しないので(笑)。全員が違う方向を見ているような、夜明け前の薄暗い感じにしたい、といったオーダーをして、作詞家の中村彼方さんがイメージにぴったりの歌詞を書いてくださいました。MVも青空のカットはNGにさせていただいて、ずっと曇天になっています(笑)。



──徹底した姿勢と、実地に基づくリアルさが、マガツノートの魅力であることがよくわかりました。今後も、展開を楽しみにしています。

うちP氏:より多くの人に伝わるためにコンテンツを大きくしていくのは大事なことなので、今後も大きな展開をしていきたいと思っています。理想のコンテンツは遊園地みたいな感じだと思っていて。いろんなエリアがあって、ジェットコースターに乗り続ける人がいてもいいし、いろんなアトラクションに乗る人がいてもいいし。アトラクションに乗らずに風景を楽しむ人がいてもいい。マガツノートもボイスドラマだけ聞いてる人がいてもいいし、ライブにしか来ない人がいてもいいし、キャラの見た目がとにかく刺さってるという人がいてもいいし。コンテンツ展開ではそういう可能性やキッカケを広げていきたいです。3月28日にはマガツノートの1周年を音楽で祝う、というプロジェクト主催の対バンライブもありますので是非ひとつのキッカケとしてご来場、ご視聴いただければ幸いです!

取材・文◎服部容子(BARKS)


<マガツノート主催LIVE『大祝戦』>

日時 : 2023年3月28日(火) 17:30開場/18:30開演予定
会場 : 豊洲PIT
出演 : BabyKingdom/ザアザア/RAZOR/甘い暴力/峯田大夢(政宗役)

・2大特別セッション情報
セッション 1:政宗(CV.峯田大夢)×BabyKingdom「破壊天秤」
セッション2:政宗(CV.峯田大夢)×RAZOR×全出演バンドボーカル「DEVIL ASYLUM~大祝戦ver~」

・チケット
【現地】
S.特級有害人類チケット(前方VIPエリア):8,800円 ※完売
A.有害人類チケット(一般エリア):5,000円
B.初級有害人類チケット(後方エリア):3,000円 
※ドリンク代別

詳細:https://magatsunote.com/event-list/230328_daishukusen/
チケット販売URL:https://l-tike.com/magatsunote/

<マガツノート主催LIVE『大祝戦』>オンライン配信

・販売期間 
2023年3月21日(火)18:00~2023年6月30日(金)21:00

・販売URL
ローチケ:https://l-tike.com/magatsunote/
ミクチャ:https://magatsunote.mixch.tv/

・配信詳細
配信プラットフォーム:ミクチャ
配信開始日時:2023年3月28日(火)18:00~
開演時刻:2023年3月28日(火)18:30 予定
価格:2,500円
アーカイブ視聴期間:2023年3月31日(金)18:00~2023年6月30日(金)23:59
(オンライン配信チケットの販売は6月30日(金)21:00まで)

「戦シーズン 弐nd Battle 荒魂大祭」

・放送時期
2023年4月~

・媒体
ラジオ大阪・ミクチャ・YouTube

・キャラクターバンド
【喜】化楽²
(家康、才蔵、官兵衛、利三、蘭丸)

【哀】屠所之羊
(左馬之助、直政、幸村、光秀、小十郎)

【楽】益荒鬼-MASRAO-
(政宗、秀吉、佐助、清正、忠勝)

【怒】逆鱗
(信長、メフィスト)

・コラボ楽曲
【喜・哀・楽 コラボ楽曲担当アーティスト】
甘い暴力
【怒 コラボ楽曲アーティスト】
RAZOR

「天下多事CHAOS」

歌唱 :政宗(CV:峯田大夢)、小十郎(CV:堀江瞬)、
秀吉(CV:小笠原仁)、官兵衛(CV:馬場惇平)、清正(CV:仲村宗悟)、
光秀(CV:岡本信彦)、利三(CV:杉山紀彰)、左馬之助(CV:大河元気)、
家康(CV:美藤大樹)、忠勝(CV:岡本和浩)、直政(CV:沢城千春)、
織田信長(CV:神尾晋一郎)、蘭丸(CV:土岐隼一)、
幸村(CV:野島健児)、佐助(CV:小野将夢)、才蔵(CV:堂島颯人)
作詞 : 中村彼方
作曲 : イルマ
MV : https://youtu.be/QBGyZS8MhAw
サブスクリプション配信 : https://linkco.re/32ruuXgp

【COVER】シリーズ 一部ラインナップ

・『JESUS』LUNA SEA
・『PRECIOUS…』LUNA SEA
・『絶望の丘』Plastic Tree
・『猿』BugLug
・『未完成サファイア』少女-ロリヰタ-23区
・『ジャイアニズム天』ナイトメア


この記事をポスト

この記事の関連情報