【ライブレポート】KEYTALK、約7年半ぶり武道館で作り出した“忘れられない風景”

ポスト

メジャーデビュー10周年を記念して3月1日に開催された<KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance? 2~>。彼らが日本武道館でワンマンライブを行うのは2回目、2015年10月28日以来、約7年半ぶり。この公演の模様をレポートでお届けする。

◆ライブ写真

開演時間が近づいたタイミングで突然始まった“巨匠”こと寺中友将(Vo & Gt)と八木優樹(Dr & Cho)による影アナ。注意事項を真面目に読み上げつつも、舞台袖で2人が和気あいあいとやっている様子が伝わってくる。

彼らの様子を想像しながら心を和ませ、開演を待ちわびていると、お馴染みのSE「物販」が鳴り響いた。巨匠、首藤義勝(Vo & Ba)、小野武正(Gt & Cho)、八木を出迎える観客の拍手がものすごい。

そして「新曲やります!」という巨匠の言葉と共に2月22日にリリースしたばかりの「君とサマー」がスタートした。回転するミラーボールが光の粒子を放つ真下で、瞬く間に構築された4人の黄金のアンサンブル。大量のスモークがステージ上で吹き上がり、観客が手拍子をしながら踊り始めた様は、早くもライブが佳境に差し掛かったかのような様相を呈していた。

続いて「大脱走」「夜の蝶」「MATSURI BAYASHI」も披露されて、幸福度100%のパーティー会場と化した武道館。最高のライブになることを思いっきり確信させてくれるオープニングであった。


用意されていたセットリストは新旧の代表曲を網羅しつつ、粋な選曲も随所に盛り込んでいた。2013年にリリースされたインディーズ時代のアルバム『ONE SHOT WONDER』の収録曲「fiction escape」。2018年リリースのC.C.レモンオリジナルソング「Cheers!」。2016年リリースの美メロソング「Love me」。2015年リリースのアルバム『HOT!』の1曲目「YURAMEKI SUMMER」……KEYTALKの音楽と共に歩んできた日々をいろいろ思い出して、ライブ序盤の時点で既に胸が熱くなった観客が、たくさんいたのではないだろうか。


今回のライブのために新しいドラムセットを作った八木。年始から身体を絞って8㎏痩せた武正。前日に歯のホワイトニングをした巨匠……近況報告を交えたメンバーのトークが観客を沸かせていたMCタイム。「10年間、いろんなことがありました。そしていろんな節目がありましたが、常に音楽、曲が存在しました。何曲か持ってきたので、聴いてもらいたいと思います」と義勝が言い、スタートしたのは2013年11月にリリースされたメジャーデビューシングルの表題曲「コースター」。

この曲を皮切りに、活動の軌跡を辿る曲たちが次々と披露された。「スターリングスター」は、2015年の武道館公演の際、「この会場でやりたくて作った」という旨を義勝が語っていたことが思い出される。2回目の武道館公演でも聴くことができたのは、とても感慨深いものがあった。

夏を先取りするかのような開放的なムードを作り上げていた「BUBBLE-GUM MAGIC」。巨匠がアコースティックギターを奏でて、肉親への温かな愛情を歌い上げた「照れ隠し」の後に再び迎えたMCタイム。


義勝が7年半前のことを振り返った。「1回目の武道館でみんなに作ってもらった景色で、どうしても忘れられない風景があって。すごい綺麗だったなあって思い出すんですよね」という言葉を聞いて、鞄の中からスマホを取り出していた人がたくさんいた。そしてスタートしたのは「バイバイアイミスユー」。2015年の武道館公演でこの曲が披露された時、観客がスマホのライトを掲げて星空のような空間を作り上げたのは、KEYTALKの4人にサプライズで贈られたプレゼントであった。無数の真っ白な光がアリーナ席、1階席、2階席で瞬く様を眺めながら演奏したメンバーたちは、新しい素敵な思い出を胸に深く刻んだのではないだろうか。

1回目の武道館公演を経て特別な人間になれたような気がしたが、その後に様々な体験をする中で考え方が変化したのだという巨匠。「自分は普通の人間で、幼い頃にギターを持って、歌を始めたあの時のまんまだなって。普通の自分だからこそ書ける歌、歌える歌があるんじゃないかなと思って新曲を作りました。こんな自分だから、この曲を歌えば心に届く人がいるんじゃないかなと。そう信じて生きていこうって決めました。そんな決心を詰め込んだ新曲です」という言葉が添えられて初披露された新曲「未来の音」は、このライブのことを振り返る度にまざまざと思い出すことになりそうだ。花道の先端でギターを弾きながら巨匠が歌い、メインステージから温かな音色を添えた義勝、武正、八木。4人で作り上げた温かなサウンドが、観客の心を動かしているのを感じた。

「黄昏シンフォニー」「桜花爛漫」「Monday Traveler」を演奏した後、これまでの活動を振り返りつつ、抱いている想いを語った武正。「ずっと応援してくれるみんながいるから今日があるし、今日があるっていうことはまた3回目の武道館があるんじゃないかなと勝手に思ってます! これからもよろしくな! ここからは踊るじゃなくて、暴れていこうぜ!」という元気いっぱいの言葉と共に「太陽系リフレイン」がスタートし、ライブはいよいよ終盤へと突入していった。


「DROP2」と「夕映えの街、今」も披露されて、急上昇し続けた会場内の熱気。本編を締め括った「MONSTER DANCE」は、お馴染みの振り付けを完璧に踊る人々のエネルギーが、ものすごい一体感を作り上げていた。

アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた4人は、今後の活動予定を発表した。新曲「未来の音」の配信がこのライブの終演後、21時からスタート。3月15日にもう1つの新曲「狂騒パラノーマル」も配信リリース。今年の夏にはニューアルバムをリリースし、全国ツアーも開催──という告知4連発が観客を大いに沸かせていた。

そして「shall we dance?」と「Summer Venus」を披露した後、「ここからまた、もっともっとかっこいいKEYTALKを作っていって、逞しいバンドに成長していきたいと思います!」と巨匠が力強く宣言。ラストは「アワーワールド」が届けられた。2011年にリリースされたインディーズ時代のミニアルバム『SUGAR TITLE』に収録されていたこの曲が明るいムードと共に最後を飾ったのは、長年に亘るファンにとっては特に胸が熱くなる出来事だったのでは? KEYTALKの活動の軌跡が濃密な日々な連続であり、名曲がたくさん生まれてきたことも改めて強く実感させられた。

こうして終演を迎えた<KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance? 2~>。特に気負い過ぎることなく、いつものように全力の歌と演奏を届けてくれていたが、2度目の武道館にふさわしかった美しい場面がたくさん思い出される。MCタイムでは度々あんなに無邪気にふざけながらはしゃいだりするのに、演奏を始めるや否や強力なサウンドで我々をときめかせてしまうKEYTALKは、やはり只者ではない。そんな彼らの今後の活動への期待も大いに高まるライブであった。


取材・文◎田中大
撮影◎後藤壮太郎/高田梓/木村泰之

<KEYTALKの武道館で舞踏会 ~shall we dance? 2~>

2023年3月1日(水) 日本武道館
開場 17:30 / 開演 18:30
公演詳細
https://keytalkweb.com/feat/d0c7646ce5665d8d913f4ee357472e55

リリース情報

配信シングル「君とサマー」
2023年2月22日配信 
https://keytalk.lnk.to/kimitosummerPR

配信シングル「未来の音」
2023年3月1日配信 
https://keytalk.lnk.to/mirainootoPR

この記事をポスト

この記事の関連情報