【インタビュー】棘-おどろ-、オルタナアイドルの1stシングルに新たなる想い「すごく笑顔が増えた」
視覚的新感覚オルタナアイドル“棘-おどろ-”が1月25日、1st シングル「キミキミ / てにてに」をリリースした。“ちくりと胸にささります、”をコンセプトに2017年に結成。メンバー変遷を経ながらも勢力的に活動を続け、結成5周年となる2022年3月に1st EP「キミキミ」をリリース、同月に自身最大規模となるLIQUIDROOMワンマンを成功させた。現在も渋谷CHELSEA HOTELで月1回の定期公演をおこなうなど活発な動きを見せている。
◆棘-おどろ- 動画 / 画像
⽩桜サキ正式加入後の初音源となる「キミキミ / てにてに」は、楽曲クオリティの高さに定評のある棘-おどろ-がみせた新境地に注目が集まるところ。収録は2022年3⽉にリリースされたEPより表題曲「キミキミ」のリテイクと、同年9⽉に初披露⽬された最新曲「てにてに」といった2曲だ。印象の異なる両曲からは、棘-おどろ-がこれからどこへ向かおうとしているのか、興味が尽きない。また、早くも次回作となる2nd EPリリースが発表されるなど状況が激動、加えて2nd EPではさらに多彩な楽曲を響かせているようだ。
インタビューではリーダーの田中しろめ、月奏ミサ、廻環美、白桜サキといった個性際立つメンバー4人に、グループのコンセプトや1st シングル「キミキミ / てにてに」制作秘話、2nd EPの予感や妹分のkijō no kūronなど、これまでの5年間を振り返りつつ未来へ向けての話を訊いた。
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■おどろおどろしいではなくて
■一緒に踊ろうの“おどろ”なんです
──棘-おどろ-は2022年に結成5周年を迎えましたが、試行錯誤を重ねながらの5年間だったりするんでしょうか?
しろめ:そうですね。私は最初から在籍してるのに、なんだか、いつまでも初心者みたいな気持ちなんです…(笑)。
──とはいえ、しろめさんがリーダーとしてグループをまとめてるわけですよね。棘-おどろ-のコンセプトを教えてもらえますか?
しろめ:“ちくりと胸にささります、”をコンセプトに掲げたオルタナアイドルです。振り付けの担当は私で、みんなで一緒に真似してもらえたらいいなっていう振りを考えている感じです。
──“ちくりと胸にささります、”というコンセプト自体は結成当時からのものですか?
しろめ:いや、途中からで。アイドルにはそういうキャッチコピーがあるのが普通だから、自分たちも欲しいなって。それなのに、ライブとかステージ上ではこれまでコンセプトを言ったことが一切ないんですけど(笑)。
一同:あはははは。
──“棘”と書いて“おどろ”と読むグループ名もインパクトがあります。
しろめ:解釈としては、“おどろおどろしい”ではなくて“一緒に踊ろう”の”おどろ”なんです。そこはメンバー全員の意識が統一出来ていると思います。
▲田中しろめ
──たしかに、客席と一体となって踊れるような曲も多いですね。では、メンバーおひとりずつにうかがいます。棘-おどろ-は個々のキャラクターがはっきりとしていますが、それぞれがアイドルグループで活動したいと思ったきっかけは?
しろめ:私は、もともとバンドとかアイドルを見るのが好きだったので。見る側から、今度は自分がやる側になってみたいと思ったことがきっかけです。新体操をやっていたので踊りはできたんですけど、歌うのがめっちゃ苦手だったので…そこは頑張りました。
──しろめさんは、どんなアイドルが好きだったんですか?
しろめ:バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIさんとか、Maison book girlさんが好きで憧れていました。自分は“めっちゃかわいい”みたいな感じはあんまり得意じゃなくて。“カッコよくなりたいな”というのはちょっとあります。
▲月奏ミサ
──月奏ミサさんはいかがでしょう?
ミサ:私は高校時代、バンドでベースを弾いていて。ロック系アイドルがいることをメンバー募集サイトで知ったんです。なので、最初はアイドルの知識が全然なかったし、事務所にお話を聞きにいったときも興味本位で。でも、BiSさんとかBiSHさん、解散しちゃったCARRY LOOSEさんとか、WACKさん所属グループをすごく好きになって。アイドル活動は、棘-おどろ-の前に所属していたグループから始めたんですけど、そのグループのときに棘-おどろ-と対バンしたことがあって、楽曲もすごく好きでした。
──バンドのベーシストから転身したとのことですが、棘-おどろ-ではその経験も役立ってますか?
ミサ:はい。もともとバンドマンだったせいか、「ミサちゃんは歌い方がロックだ」ってお客さんからよく言われるんです。私もかわいい系ではないので、“カッコいい”とか“歌で元気がもらえる”って言われるように日々頑張っています。
▲廻環美
──廻環美さんはまず、アーティスト名の由来から教えていただけますか?
環美:廻環美って名前は自分で付けたんですね。アイドル活動を始めるときが、『まどマギ』(『魔法少女まどか☆マギカ』)をちょうど全話見終わった頃と重なって、感化されてこういう名前にしちゃいました(笑)。
──アイドル活動を始めたのは中学生の頃?
環美:中学の同級生がアイドル事務所の研修生になって、その子を応援していくうちに別のアイドルも推すようになったり、“いいな、こういう世界があるんだ”と思うようになったんです。当時好きだったのは、マボロシ可憐GeNEさんとかHAMIDASYSTEMさんで。友だちもアイドルになったから、私にもできるかなって(笑)。
──環美さんが表現したいことは『まどマギ』に通じるところもあるんでしょうか?
環美:私はいつも「概念になりたい」って言ってるんです。…ちょっと何言ってるかわかんないですよね(笑)。『まどマギ』に影響されすぎなんですけど、拡大解釈すると、“めっちゃ有名になったら、みんなに私を知ってもらうことになる。それが概念になる”みたいなことなのかなと思って。そのために棘-おどろ-をもっともっとみんなに知ってもらいたいって思いながら活動してます。
──“共通の思考内容”を意味する概念だけに、観る人それぞれの気持ちの中で受け止めてもらいつつ、それが集合体として広がっていけばいい?
環美:そうです、概念なんで(笑)。
▲白桜サキ
──そして2022年9月に正式メンバーとして新加入したのが、白桜サキさんです。
サキ:はい。2022年4月末に候補生として参加して、9月に正式メンバーになりました。ただその5ヵ月間、他のメンバーと候補生と何が違うのかといったら特段変わりはなくて(笑)。ライブも全部出演するし、Twitter上も普通に稼働してましたから。唯一違うことと言えば、 ライブのセトリはメンバーがローテーションで組んでるんですけど、それには参加できなかったという(笑)。
一同:あはははは。
サキ:なので、参加当時から正式メンバーと変わりなく活動していました。
──サキさんが目指していたアイドル像とは?
サキ:私は小学生の頃から安室奈美恵ちゃんが好きで。唯一ライブに行ったことがあったのも安室ちゃんだけだったので、それ以外のライブ…たとえば地下アイドルの世界も全く知らなかったんです。なんなら、“闇深そうだな”ぐらいに思ってました(笑)。
──では、最初は他に目を向けていたという?
サキ:私、身長が170cmあるので、その長身を活かして“モデルになりたいかも”と思って、最初は芸能界に入ったんです。で、入ってみたら“やっぱり女優もしたいかも”って、モデルと女優の2つを目指してたんですね。2〜3年ぐらいやってたんですけど、あまり活躍の場もなくて“もうこれきついかも”って考えたりして。
──そんなときにアイドルという存在がサキさんの中で大きなものに?
サキ:はい。私の名前は“笑顔の花を咲かせる”という意味のサキだし、それが取り柄でもあるので。モデルとか女優より笑顔を活かせるのはアイドルのほうかもと思って。気付いたら棘-おどろ-に参加してました。私は歌もダンスもそんなに得意じゃなくて、今はまだどうこうできる感じではないので、笑顔でどうこうしていきたいなと(笑)。私の笑顔を見て元気になってくれる人がいたら嬉しいなと思ってます。
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