【インタビュー】BLUE ENCOUNT、2拠点での活動を前に発表した『Journey through the new door』に宿る“確信”
■楽曲制作でもお互いにぶつけ合いたいことをぶつけ合った
──新しい活動スタイルに対して前向きなBLUE ENCOUNTの姿は、今作にもすごく表れていると思います。
田邊:そうですね。昨年の春に辻村のことを発表してからは、ライブも楽しかったんです。楽曲制作でもお互いにぶつけ合いたいことをぶつけ合っていました。
──去年の11月にリリースした「Z.E.R.O.」も、新鮮な仕上がりでしたよね。ラウドであると同時に聖歌のような清らかさもあるのが、このサウンドの独特さです。
辻村:その印象は嬉しいですね。
──『コードギアス 反逆のルルーシュR2』のEDテーマですよね?
田邊:はい。『コードギアス』の制作サイドから、「鎮魂歌、レクイエム的な曲をぜひ」という話をいただいたんです。それで辻村からのアイディアも聞きつつ、レクイエム的な曲を聴いてみました。プリプロの段階では、しっかりと音像のイメージができていましたね。
──アメリカのラウドロックの香りも感じるサウンドです。
田邊:前からそういうものを作りたいとイメージしつつも、実はなかなか思うようにできなかったんです。でも、セルフプロデュースで作っていったこの曲は、「近づけたな」っていう感覚があります。
高村:この曲って5、6年前とかだったら「ライブでやりづらい」とかなっていたかもしれないですけど、今の僕らだったら何の問題もなくやれますね。それも、ずっと活動してきたバンドだからこそです。
田邊:「今の私たちをどうぞ召し上がれ!」というか。昔だったら想像できなかった楽曲が作れるようになっているので、「これからさらに面白いものを作れるんじゃないかな?」っていう手応えを「Z.E.R.O.」によって感じることができました。
──アニメは海外でも観られていますから、こういう曲がきっかけでアメリカとかでライブをする機会も今後あるかもしれないですよ。
田邊:ぜひやりたいですね。
──辻村さんとみなさんがNYで現地集合するとか、かっこいいじゃないですか。
田邊:そうですね。タイムズスクエアガーデンで待ち合わせをしましょう。
辻村:タイムズスクエアガーデン? なんかタイムズスクエアとマディソンスクエアガーデンが混じってる気がするけど(笑)。
撮影:ヤマダマサヒロ
──(笑)。「vendetta」は、新曲ですね。何かをするとすぐに批判される世の中で萎縮して生きることへの違和感を描いた曲として受け止めました。
田邊:SNSが便利な時代ですけど、僕はそこで毒を吐くことをしたくはなくて。思っていることは楽曲で示したいので、抱えていた毒を全てここに出したという感覚です。僕、鹿威し(ししおどし)みたいに溜め込むんですよね。溜め込んだタイミングで、こういう曲ができるんです。
──サウンドに関しては、ループ感のあるギターリフがかっこいいです。
江口:田邊が「こういうのを弾いて」って口で言ったのを音にしました。
田邊:口で言った時点で、俺、弾けなかったけど(笑)。
江口:それを弾けるようにアレンジしました。これ、テンポが遅いけど、弾くとめっちゃ速いっていう曲なんですよ。コピーしようとするとむちゃくちゃ難しいと思います。レコーディングではギターを重ねて録っているので、1人では絶対に弾けないですね。
田邊:この前も収録の本番前にめっちゃ練習してたよね?
江口:うん。
辻村:「ガチで難しくて不安なんだろうな」って思った。
江口:その通り(笑)。
──(笑)。ベースのスラップとラップの絡み方も、この曲の聴きどころです。
辻村:前からこういうのをやりたいっていうのが僕と田邊の中であったんです。ようやく具現化することができました。僕、フュージョンも好きだったりするので、そういう風に捉えられるニュアンスもあるかもしれないです。あと、ピンク・フロイドっぽくも聞こえますし。今の日本の若者が弾くベースの感じではないので、これもコピーしようとする人は大変なのかも。カポ1で弾いているので、カポを使わない人は耳コピがほぼ無理です。
──リズムの展開もドラマチックですね。
高村:全部打ち込みでフレーズを作っていって、TDの段階まで細かい修正を重ねていきました。
田邊:この曲もそうですけど、活動を重ねる毎にメンバーそれぞれのヒーロー感が出てきているんですよね。そういうバンドであって欲しいと思っています。
──「かっこいい曲だからコピーしよう!」ってなった人が挫折を味わうバンドでもあるのかもしれないですけど。
辻村:そうかもしれないですね(笑)。でも、難しいのはギターだけとかの曲もあるので、ぜひトライしてもらいたいです。コピーしている海外の人の動画とかもあるんですけど、めちゃくちゃ上手いですよ。
江口:海外の人、めっちゃ送ってくるよね?
田邊:うん。「本家よりも上手くてどうする?」ってなるくらい上手かったりするけど(笑)。そういえば、横浜かどこかのバンドコンテストの動画が、音楽業界の友だちから送られてきたことがありました。俺らの「バッドパラドックス」を高校生がやってたんですけど、コピーしてるっていうよりも自分たちのものにしてたんですよ。
辻村:それすごいね。
田邊:演奏自体は上手くないんだけど、自分たちのものにしているその感じがめちゃくちゃかっこよくて。「関係ねえよ! 俺らの曲、聴いてくれ!」っていう感じが良かった。
辻村:難しかったらアレンジしてくれるのが一番良いよね?
田邊:ほんとそうだね。
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