【インタビュー】BLUE ENCOUNT、2拠点での活動を前に発表した『Journey through the new door』に宿る“確信”

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辻村勇太(Ba)がアメリカの音楽学校に入学することが昨年の6月に発表された。BLUE ENCOUNTは、“2拠点での活動”という新しい体制を今年の春からスタートさせる。未知の世界へと踏み出す彼らの決意も真っ直ぐに伝えてくれるミニアルバム『Journey through the new door』を2月8日に発売。昨年リリースされた「青」「終火」「Z.E.R.O.」、新曲の「vendetta」「DOOR」が収録されている今作は、このバンドが切り拓いていくはずの未来を確信できる仕上りだ。濃密な作品を完成させた4人が抱いている想いとは? じっくりと語ってもらった。

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■今の結論に行き着いて良かった

──辻村さんがアメリカの音楽学校に入学するのは、当初の予定では2020年の春だったとお聞きしています。

辻村:そうなんです。でも、コロナ禍でいろんな制約が出てきて、授業がオンラインになってしまったんですよね。アメリカに行ってもオンラインだったらあまり意味がないですから、しばらくは日本に残ってやるべきことをやろうということになりました。メンバーには「1年遅らせたい」と伝えて、そこからまたいろいろ事情が変わって今に至るという感じです。

──2020年11月に出したアルバム『Q.E.D』は、この4人体制での最後の作品のつもりで制作したんですよね?

田邊駿一(Vo&Gt):はい。みなさんには伝えていなかったですけど、「最後だよ」という感覚で作っていました。

──2021年4月17日、18日に行われた横浜アリーナ公演で辻村さんが脱退する予定だったということも聞いております。

辻村:最初はその予定でした。だからDVDを観ると、僕、泣いてたりするんですけど。

──コロナはいろいろやりきれないことをしてくれていますけど、このことに関しては、ポジティブに捉えられるかもしれないです。

田邊:そうですね。もちろん様々なカルチャーがつぶされてしまいましたけど、そういう中でバンドの未来を模索できた気がします。

江口雄也(Gt):今の結論に行き着いて良かったなあって思っています。今回のミニアルバムの曲は辻村がアメリカにいることを想定してリモートでやってみたりもしたんです。その結果、「2拠点でもできるな」って確信することもできました。

──「青」のレコーディングは、辻村さんは敢えてリモートだったんですよね?

辻村:はい。今回のミニアルバムに関しては、「Z.E.R.O.」以外は全部リモートです。「青」からそういうやり方を始めて、音の違いに成長を感じられています。そういうことを去年1年で試せたので、安心してアメリカに行けます。

──クリエイター同士のオンラインのやり取りで楽曲制作をする流れがここ数年で一気に高まっていますし、こういうバンド活動の仕方にも様々な可能性があると思います。

辻村:そうですよね。もし今後、遠隔でバンド演奏できるようにもなったら、今までになかった形のライブもできますし。

田邊:こういうのはどんどん技術が進歩していくからね。

高村佳秀(Dr):この数年は激動ですけど、様々なことの積み重ねの中でメンバーそれぞれが考えてきた結果でもあると思うんです。それに対して完全に逆らうんじゃなくて、受け入れた上で新しい選択肢を見つけることができたというのは自信に繋がっていますね。





撮影:浜野カズシ

田邊:今後に関しては、辻村が向こうに行って身体を慣らして、どのような感じで楽曲を一緒に作っていくのか? まずはそこからです。やはり日本にいる時とは違うので。

辻村:俺、わりとどこ行っても寝れちゃうんで、時差ボケとか住環境に慣れるのは大丈夫だと思う。「今ここで寝ろ!」と言われたら寝れます(笑)。でも、実際にやり始めてみないとわからないことはあるでしょうね。

──入学する音楽学校では、どのようなジャンルを勉強するんですか?

辻村:一通りです。ラテン、ブルース、ロック、ポップスとか。2人の先生がグラミー賞を獲ってたりするんですけど、日本にいるとそういう経験をしてきた方々のお話を聞く機会もなかなかないんですよ。「そういう人と毎日一緒にいたら、俺、どうなるんだろう?」というワクワクもあります。

江口:現時点でも辻(辻村)が発信するものから教わることが多いんです。海外で流行っている音の感じとか、そういうのをバンドに持ってきてくれるのがありがたいです。

田邊:今回のミニアルバムの5曲を含め、「これを膨らませてみて」って辻村に原案を渡すと、思ってもみなかった良い感じのものが返ってくることが度々あったんです。

辻村:前からDTMとかデジタルなことはやっていたんですけど、一時期はBLUE ENCOUNTに持ち込むのはやめようと思っていたんです。でも、今はそういう要素も取り入れられるようになっているので、いろいろ広がっていますね。

高村:アメリカに行ったら日本にいたら習得できないことも吸収できるはずですし、そういう要素がバンドにどう反映されていくのかが楽しみです。









撮影:浜野カズシ

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