【インタビュー】Homecomingsという場所が心地いい
■どんどんいい曲を作れるようになれているなという実感もすごくある
──「光の庭と魚の夢」は『Moving Days』のマインドを引き継ぎつつ、サウンド面から見るとこれまでにないアプローチの楽曲になったのではないでしょうか。ストリングスとキーボードアレンジには、くるりの岸田繫さんが参加しています。
福富:岸田さんはもともとすごく良くしてくださっていて、最近は彩加さんが<京都音楽博覧会>に岸田繁楽団のメンバーとして参加していたりもするので、いつか一緒に制作ができたらとはずっと思ってたんです。この曲にはストリングスを入れたかったし、この曲を作ったときにくるりの作った『ジョゼと虎と魚たち』のサントラ(※2003年11月リリース)を聴いたりもしていたので、このタイミングで岸田さんにお声掛けをしました。
──なぜストリングスが必要だと思われたのでしょう?
福富:もともと最初にメンバー4人でlogicを使ってアレンジを組んだとき、なるちゃん(石田成美/Dr,Cho)が簡単なストリングスを入れていたんです。そのふわっとした、壮大ではない感じがすごく良かったので、岸田さんのセンスでその雰囲気を作っていただけたらなと。あと僕はくるりの『THE WORLD IS MINE』(※2002年3月リリースのフルアルバム)がとても好きで、ここ最近改めてじっくり聴き込みなおしたりもしていたので、そういう意味でも岸田さんにお願いしたかったんですよね。ストリングスだけのデータを聴いても、すごく岸田さん節が効いているなと感じます。
畳野:あと最初のデモを作っている段階からパーカッションを入れたいとは話していて。
福富:それでYOUR SONG IS GOODのサポートをしている松井泉さんにお願いをしていて。松井さんともよく一緒にやれたらいいですねと話していたので、パーカッションを入れるって話になって、真っ先にお声掛けしたんです。
──ストリングスとパーカッションが入ることで、今までのHomecomingsにないようなドリーミンな雰囲気もあって。それもあってかメロディも新鮮で、特にAメロの畳野さんのヴォーカルは松任谷由実さんを彷彿とさせます。
福富:あら(笑)。
畳野:恐れ多い(笑)。
福富:彩加さんは<音博>でも「ひこうき雲」を歌ってらっしゃたのでね。
畳野:「光の庭と魚の夢」に限らず、そう言っていただくことが結構あって。確かにユーミン大好きですしうれしいんですけど、全然意識してないので、どうしてそう受け取っていただけるのかなと不思議なくらいなんです。
福富:彩加さんは歌うシーンによって歌い方が全然変わるんですよ。たとえばカラオケだと倖田來未さんや絢香さんの曲を、“街中に響け!”ってくらいの強さでバシィン!と歌うんです。バンドで歌ってるときと全然違う。それが不思議やな~と僕も前々から思っていて。
畳野:カラオケはその人の真似をしているところがあるかも(笑)。でもHomecomingsは自分が歌いやすい、自分が気持ちよく歌うところを優先してるのかなという気はしていて。「光の庭と魚の夢」もサウンドを踏まえたうえでの自分の気持ちいい歌い方と、自分なりに歌詞のメッセージを伝えようとした結果なのかなと思います。
福富:彩加さんが曲を作るときに出てくるメロディやキーは、たぶん彩加さんのいちばん歌いやすい、作りやすいところというか。その音域を歌うとこの感じになるのかな。彩加さんの作る曲が、彩加さんのこの声を呼んでいる。曲を作っている人の歌なんやと思います。
──Homecomingsは、メンバーの皆さんが素直にいられる場所になっているのでしょうね。
畳野:そうですね。そう思います。
福富:だから4人も仲がいいけど、強い結束でつながっているというよりは、Homecomingsという場所が心地いいという感覚なんです。“手を伸ばしたら届く”みたいな距離感は大事にしたいんですよね。それが結果的にバンドの空気感とかクリエイティビティにも作用していて、どんどんいい曲を作れるようになれているなという実感もすごくあるんです。
──10年というキャリアを重ねたからこそ、好きな音楽や表現というものとご自身のマインドがより密接になっているのかもしれませんね。
福富:僕らはこの10年、何かひとつを目標にしてきたというよりは、いろんなものを得てそれを音楽にしてきた感覚があるんですよね。だから“自分たちのあの頃のあのアルバムの雰囲気を蘇らせよう!”みたいな感じになったことはなくて。それは“これこそ最高傑作だ”と思えるものを作れていないということなのかもしれないけど、今制作中のアルバムは最高傑作なんじゃないかなと感じていたりもするんです。とにかく自分たちが好きなものを集めたような作品にしよう、っていう思いがあって。
──『Moving Days』以降にリリースされた楽曲の歌詞に“花束”というワードが入っているように、カラフルなアルバムになるとは以前からおっしゃっていましたが、どんな作品になりそうでしょうか。
福富:2022年は一応全曲シングルになるような曲を目指して作ってみようというテーマもあったので──ってこの続きは言わんとこ(笑)。
畳野:なんでよ(笑)。
福富:ネタバレになってしまう(笑)。『Moving Days』の制作中に自分たちが本当に得意なことや、自分たちに求められてることに気付いたので、そのフォーカスがぎゅっと合ったアルバムにはなる気はしていて。1991年生まれの自分たち好きなものを照れずにちゃんと出せたし出しながら、それを今の自分たちの手でアップデートできたと思う。それで、なおかつカラフルな作品になるんじゃないかなと思っていますね。
畳野:……言うのやめたわりに言いすぎてない?
──あははは。畳野さんはいかがですか?
畳野:わたしは全部完成したときにどんなアルバムなのかが見えるのかなと思っていて。まだちょっと、本当にアルバムができるのかどうかあんまり信じきれないというか(笑)。
福富:タイトルの後ろの“(仮)”が全部消えないと実感が湧かないというか(笑)。
畳野:そうそう(笑)。全部をちゃんと終えないと、どんなアルバムになるのかが見えない性格で。でも今できることは全部やったので、ちゃんと完成させたいですね。
取材・文◎沖さやこ
写真◎いわなびとん
<Your Friendly Neighborhood Homecomings>
OPEN17:15 START18:00
2023年4月23日 (日) 名古屋 今池 CLUB UPSE
OPEN17:30 START18:00
2023年4月28日 (金) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM
OPEN18:00 START19:00
2023年6月10日 (土) 宮城 仙台 enn 2nd
OPEN17:30 START18:00
2023年6月11日 (日) 北海道 札幌 SPiCE
OPEN17:30 START18:00
2023年6月15日 (木) 福岡 the voodoo lounge
OPEN18:30 START19:00
2023年6月17日 (土) 石川 金沢 GOLD CREEK
OPEN17:30 START18:00
2023年6月18日 (日) 京都 京都 MUSE
OPEN17:00 START18:00
【TICKETS】
STANDING 4,500円
学割STANDING 3,300円
https://w.pia.jp/t/homecomings-yfn/
◆Homecomings オフィシャルサイト
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