【インタビュー】植田真梨恵、<LAZWARD PIANO>10周年記念アルバム完成「もう一つのバンドだと思ってます」

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■シーンとしたところから
■バン!というところへ殻を破っていく

──せっかくなので、苦労話のエピソードをひとつかふたつ。一番大変だったのはどこですか。

植田:どこも大変でしたよ(笑)。ピアノの種類だけじゃなくて、基本的にそもそもレコーディングスタジオではない場所のほうが多かったので、必然的に場所によって録り方が変わらざるを得なくて、エンジニアがいつも頭を悩ませていました。ここにピアノがあって、じゃあ植田はどこで歌う?とか。録音ブースをどこに組み立てる?とか。その環境次第で一発録撮りで頑張ろうという曲ばっかりが集まってる日もあれば、レコーディングスタジオでオーバーダビングしてもいいなという曲もあるし、それを見越してどこでどの曲を録るかを振り分けないといけないんですけど、“この曲はこのピアノで聴きたいな”という思いもあるわけで、そういうことも含めて、考えをシェアしていったので、ややこしかったです。大変でした。



▲メルパルクホール大阪/REC風景

──ざっくり言うと、スタジオでは重ね録りも使って、ライブハウスやホールでは一発録りメインで、という感じですかね。そして基本的に無観客で。

植田:そこも大変でした。お客さんが入ったら入ったで、一回ずつしかできないし、逆に入ってなかったら、なんとか気持ちを高めて、本番さながらのものにしなきゃいけないという、緊張感を作るという意味でも難しかったです。

──ちなみに、植田真梨恵の選ぶマイベストテイクは、どの曲だったりします?

植田:私は…地味で申し訳ないんですけど、会社の小部屋でのレコーディングかな。そこに入ってるピアノが「朝焼けの番人」とか「ソロジー」を録った時のピアノなんですけど、ここのピアノで録った曲がどれも気に入ってて、「カレンダーの13月」とか。ダイナミックな<LAZWARD PIANO>ももちろんいいんですけど、本当に個人的な好みなんですけど、すごく日常に近い感じの、素朴な<LAZWARD PIANO>として気に入ってます。あと、西村さんがメルパルクホールで、最初にピアノ一本で「愛おしい今日」を弾いてくれたんですけど、それもすごく良くて、私は客席でそれを聴いていたんですね。“みんな、こんなふうに固唾を飲んで見守ってくれてるんだな”って、そんなふうに思いました。すごい気迫だなって思いました。



▲名古屋ボトムライン/REC風景

──ここにしかない緊張感がありますよ。<LAZWARD PIANO>には、確かに。

植田:ね。なかなか、お客さんにとっては緊張するライブだろうから。2019年に“凍てついた星座”というサブタイトルでライブをしたんですけど、それは<LAZWARD PIANO>のお客さんのことを指してるんです。お客さんが緊張感で固まってるから、凍てついた星座のようだ、というところから。私も客席で見ていて、“これは緊張するよね”と改めて思いました。

──でも心の中では、自由に楽しんでほしいわけですよね。クラシックコンサートのように聴いてほしいわけではなくて。

植田:そうなんです。その時々で、全然いいなと思ってます。

──そういう側面も含みつつ、このアルバムは図らずも、植田真梨恵というシンガーソングライターのベスト選曲にもなっていると思うから。入門編としても最高だなと思ってます。

植田:ベストアルバムって、いろんなものがありますけど、私はこういうベストアルバムだったらすごく素敵だと思うので、そういうものができてうれしいなと思います。


▲ストリートピアノ (ECOLL LILAS 神戸)/REC風景

──CDだけの通常盤もあるけれど、さっき話してた“blue morning, blues”ツアーの東京公演を丸ごとと、<LAZWARD PIANO>の歴史がわかるベスト選曲のライブ映像と、その他にも特典映像やおまけが山ほど入ったBlu-ray付きの『BEST OF LAZWARD PIANO -青い箱-』もあるので。映像だけで3時間超えですよ。それともう一つ、2月には2020年の<LIVE of LAZWARD PIANO “Academic!”>の東阪ホール公演2公演をまとめたBlu-rayもリリースされるという、なんともすごい物量作戦。

植田:“<LAZWARD PIANO>が好き”という方のために作ったようなものなので、みんなが楽しんでくれたらいいなと思います。“Academic!”の映像は初めてのホールライブで、「映像化しないんですか?」ってよく聞かれたものなので、待望のリリースじゃないかな、と思います。

──さらに、ライブもあります。2月23日、Zepp Haneda公演。<LAZWARD PIANO>10周年を飾る特別なライブ。

植田:コロナを経て、なかなかライブ会場にお客さんが帰ってこないので、どんな感じになるのかな?とは思いますけど。とはいえ、一夜限りしかない10周年のライブなので、一回こっきりが得意な私たちならではのライブになると思います。


▲<LIVE of LAZWARD PIANO “Academic!”>2020.1.26@メルパルクホール大阪


▲<LIVE of LAZWARD PIANO “Academic!”>2020.2.9@ヒューリックホール東京

──それこそ西村さんがnoteに、「指がそこそこちぎれる日になると思います」って書いてましたよね。それぐらいやらないと太刀打ちできないって。

植田:たぶん、指がほとんど繋がってないと思います(笑)。特に左手の3本が。西村さんの良さは、左手小指のパワーがすごく強いことなんですよ。人間の、一番力の入らない指がすごく強いから、低音がものすごく出る。そこが西村さんのいいところです。

──植田さんの話はたくさんしてもらったので、最後に西村さんを語って終わりましょうか。彼のどんなところが素晴らしいのかを。

植田:西村さんは、私がずっと憧れ続けていたJ-POP世代の方で、私が憧れて聴いてきたものを、西村さんはその時代に生きて、取り込んで、ピアノで表現されてきた方なので。同じ景色で、シンクロ率の高い音楽を届けられるところがいいところですね。すごく波長が合うので、何を話してるのか、何を言おうとしてるのか、お互いにすぐにわかるし、ラップの掛け合いみたいなこともすっとうまくいくんですよ(笑)。 相性がいいんでしょうね。あとは、西村さん自身が歌というものがお好きなので、ピアノというものと同じぐらい、歌というものを愛してらっしゃるから、どっちも主役になる音楽をきちんと作れるところがすごいなと思います。

──歌心あればピアノ心あり。

植田:シンクロ率が高いこともあって、どっちかが良くないと、どっちも駄目になっていくという性質もあるんですけど(笑)。なので、なるべく良い相乗効果を出して頑張りたいなと思います。殻を破るような、それが<LAZWARD PIANO>の一番いいところで、シーンとしたところからのバン!というところへ殻を破っていく、それを作っていきたいなと思います。ちょっと肩が凝るライブですけども、頑張りたいと思います。

取材・文◎宮本英夫



■ベストアルバム『BEST OF LAZWARD PIANO -青い箱-』

2023年1月18日リリース
【青い箱盤 (CD2枚組+Blu-ray】GZCA-5317〜5318 ¥10000 +税
※BOX仕様
(1).CD (2枚組アルバムケース)
(2).特典Blu-ray
・<live of LAZWARD piano “blue morning, blues”>2022.3.4 キリスト品川教会 礼拝堂
・History of LAZWARD PIANO
(3).歴代ラズワルドピアノツアーのスタッフパスレプリカ(サテンステッカー)全8枚セット

【通常盤 (CD2枚組)】GZCA-5319,5320 ¥3500 +税
※全32曲収録 RE:RECORDING


▲コレクション盤


▲通常盤

▼DISC 1 (CD)01. ハルシネーション
02. きえるみたい
03. 未完成品
04. センチメンタリズム
05. 壊して
06. メリーゴーランド
07. 愛おしい今日
08. 心と体
09. S・O・S
10. サファイア!
11. 彼に守ってほしい10のこと
12. ザクロの実
13. FRIDAY
14. スペクタクル
15. 夢のパレード
16. Stranger
▼DISC 2 (CD)
01. 恥ずかしい (新曲)
02. 眠れぬ夜に
03. まぜるなきけん
04. ハイリゲンシュタットの遺書
05. カレンダーの13月
06. a girl
07. 変革の気、蜂蜜の夕陽
08. 優しい悪魔
09. 世界の終わり
10. 流れ星
11. 愛と熱、溶解
12. スメル
13. 吠える虎
14. さよならのかわりに記憶を消した
15. 白い月
16. コンセントカー

vocal & acoustic guitar 植田真梨恵
piano 西村広文

【レコーディング使用ピアノ】
STEINWEYS & SONS D-274 / メルパルクホール大阪
STEINWAYS & SONS B-211 / ビジュアルアーツ専門学校大阪
YAMAHA CF / ストリートピアノ (ECOLL LILAS)
YAMAHA C5 / 名古屋ボトムライン
YAMAHA C3 / BASS ON TOP PIANO STUDIO
YAMAHA A1 / 小部屋 (GIZA studio)

■ライブBlu-ray『LIVE of LAZWARD PIANO “Academic!”』

2023年2月15日発売
【Blu-ray (1Disc)】GZXA-8041 ¥7000 +税
▼収録内容
<LIVE of LAZWARD PIANO “Academic!”>
・2020.1.26(日) メルパルクホール大阪
・2020.2.09(日) ヒューリックホール東京
上記、全2公演からセレクト収録予定


■<LIVE OF LAZWARD PIANO -青い旗->

2023年2月23日(木・祝)  Zepp Haneda(TOKYO)
open16:00 / start17:00
(問)H.I.P. 03-3475-9999
▼チケット
¥5,800 (税込/指定席)
※学生割引:¥1000キャッシュバック
一般発売日:2023年1月21日(土)

■中島卓偉 × 植田真梨恵<音渦-otouzu->

2023年2月4(土)  新宿ReNY
open16:45 / start17:30
出演:中島卓偉、植田真梨恵
▼チケット
前売¥5,500+1D
※学生割引:当日の場内にて学生証提示で1000円キャッシュバック
(問)新宿ReNY 03-5990-5561


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