生放送前のマハラージャンを激写 勝負飯はコンビニおにぎりか

12月31日深夜にTBS系列で放送される「CDTV ライブ！ライブ！年越しスペシャル！2022→2023」に出演するマハラージャンが、彼にとって大きな飛躍の1年となった2022年を締めくくるエネルギッシュなパフォーマンスで、お茶の間のオーディエンスのハートをがっちりキャッチするはずだ。それくらい、2022年のJ-POPシーンにおけるマハラージャンの活躍は印象的だった。「この人誰？」から「この人知ってる」へ、そして「この人面白い、好き」へ、知名度と実力をぐいぐい上げてきた。マニアックな音楽ファンをうならせつつ、ライトな音楽ファン層へも強くアピールする存在感が抜群だった。さて、マハラージャンとは何者か？

ミュージシャンになることを夢見ていた青年が、世を忍ぶ仮の姿としてのサラリーマン生活を経て「マハラージャン」と名乗りインディーズ活動を始めたのは2019年夏のこと。作詞作曲から演奏まで一人で作り上げ、11月に配信リリースしたデビューEP『いいことがしたい』が耳の早い音楽ファンをざわつかせ、2020年にはセカンドEP『ちがう』を、ファーストアルバム『いいことがしたい/ちがう』をリリースして一気に注目される存在へとのし上がる。


音楽的には、強力なファンクやダンスミュージックを軸に、ジャズ、ロック、クラシックなど多様なバックグラウンドを感じさせるハイブリッドなポップチューン。さらに「よそはよそ」「自意識過剰」「権力ちょうだい」など、キャッチーな言語センスを駆使したタイトルと、地道なサラリーマン生活から生まれたユーモアとペーソスにあふれた歌詞世界がある。そして謎のターバンにスーツ、お洒落眼鏡というインパクト。噂が噂を呼び、2021年3月にSMEレコーズからEP『セーラ☆ムン太郎』でメジャーデビューを果たす。念願のミュージシャンに専念し、7月にメジャー初アルバム『僕のスピな☆ムン太郎』を、それから1年後にアルバム『正気じゃいられない』をリリースして…というプロフィールをここで長々と書くよりも聴いたほうが早い。迷わず聴けよ、聴けばわかるさ。






一つ付け加えると、アルバム『正気じゃいられない』に収録された“心の傷三部作”はぜひチェックしていただきたい。仕事も恋愛も思い通りにいかないサラリーマン時代の鬱屈をネタに、グランジ、ドリームポップ、ダンスミュージックなど多彩な楽曲に昇華した「先に言って欲しかった」「比べてもしょうがない」「持たざる者」の3曲は、面白くてやがて悲しきマハラージャンの世界観を見事に代表する。彼のプロフィールの中でも燦然と輝く「星野源のオールナイトニッポンのハガキ職人だった」という履歴は、自虐ネタさえも聴いて面白い楽曲に仕立て上げるタフな表現者スピリットに直結している。まさに職人。




2022年夏に東京・LINE CUBE SHIBUYAと大阪・心斎橋BIGCATの2大ワンマンライブを成功させると、11月からは初の全国ツアー「夢」で札幌、東京、名古屋、大阪、福岡を駆け巡った。同時期に東京・タワーレコード渋谷店で「マハラージャン イラスト展 音楽にしなかった風景」を開催し、20点近くの原画がほぼ売約済みになるという評価を得た。「マハラージャンがサラリーマン時代に受けた不遇な体験に対するセラピーとして描かれたものが中心」という、イラスト展の紹介文が涙をそそる。マハラージャンの世界は深く、そして優しい。

時間を2022年年末に戻そう。12月31日の夜からTBS系列で放送される「CDTV ライブ！ライブ！年越しスペシャル！2022→2023」に出演することは冒頭に触れた。続く2023年のマハラージャンの最初のアクションは、1月からスタートするTVアニメ「トモちゃんは女の子！」オープニング楽曲「くらえ!テレパシー」だ。「第2回 次にくるマンガ大賞」Web漫画部門1位に輝いた期待作のアニメ化に寄り添う、マハラージャン初のアニメタイアップとなる注目の恋愛ソングだ。ポップでロックな曲調に乗せてピュアな片想いパワーが炸裂する歌詞は、彼にとっても新境地だろう。配信開始は1月5日、CDパッケージのリリースは2月15日の予定だ。

さらに、その後の予定も続々決定中で、中でもひときわ目立つのは2023年5月27日、東京・日比谷野外大音楽堂での初の野外ワンマン公演。近年のマハラージャンのライブは凄腕メンバーを揃えた本物のバンドスタイルで、彼の愛する古き良きファンクやロックの生々しい息吹を感じられる。音源よりも良い意味でラフで開放的だ。「CDTV ライブ！ライブ！年越しスペシャル！2022→2023」でマハラージャンに触れたリスナーには、まずは音源、動画、そしてライブへと、深くて心地よいマハラージャン沼が待っている。


マハラージャンの歌詞にはダブルミーニングやトリプルミーニングが多く、それぞれの楽曲の世界観が実は繋がっていたり、音楽的にも様々な引用やリスペクトがあったり、彼が精魂込めて練りに練った仕掛けがふんだんに散りばめられていることにも触れたかったが字数が尽きた。続きは音楽で。2023年、マハラージャンはさらに飛躍する。目を離さないように。

文：宮本英夫

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