【ミュージシャンズ・リレー】やまもとひかるのこだわり機材「ATELIER Z M#265」
やまもとひかるが2023年1月20日(金)にVeats Shibuyaにて初のソロライブを開催する。鮮やかなブルーのAtelierZ M#265を抱え、ももいろクローバーZやYOASOBIのサウンドを支える、今最も注目を集める若き女性ベーシストのひとりだ。
ソロアーティストとしてすでにシングル5作品をリリースし、キュートな歌声とともにグルーブする8ビートから激烈なスラップまでをさらっとこなす実力派だが、最愛の機材ATELIER Zの話をもとに彼女の魅力を紐解いてみよう。
──使用ベースはすっとATELIER Zですね。
やまもとひかる:そうですね。メインの青色の5弦のベースです。
──アオリエ、ですね。
やまもとひかる:はい、アオリエです(笑)。ATELIER Zのベースを何本か持ってるんですけど、呼び分けで「アトリエの青」とか「アトリエの赤」とか「アトリエオレンジ」って呼んでたのが「アオリエ」とか「アカリエ」に短くなったって感じで(笑)。
──最初から5弦だったんですか?
やまもとひかる:そうですね。ほんとに最初に触った楽器は、年長さんの時にサンタさんにもらった子ども用の4弦ベースですけど。
──年長さん?
やまもとひかる:そうです(笑)。5~6歳くらいの時に「ベースをください」って言って。
──幼稚園児がどうしてベースを?
やまもとひかる:父がドラマーをやっていて、ライブを観に行かせてもらっていたりしていたので、ベース自体は知っていたんです。で、楽器が始めたいけどベースにするかギターにするかという時に、お父さんの知り合いで仲良くして可愛がってくれてる方…しもちゃんっていうんですけど(笑)、しもちゃんがベーシストなので、「ベースだったらしもちゃんに教えてもらえる」と思って。
──ドラムだったらお父さんにすぐ教えてもらえるのに(笑)。
やまもとひかる:そうですよね(笑)。ドラムは家で電子ドラムを叩いてみたりとか、現場に行かせてもらったときに触らせてもらったりしていたので、遊びでできるって思ったからかもしれない。
──幼稚園の頃からすでに未来は決まっていたみたいですね。
やまもとひかる:でもその時は、ちょっと弾いたら水ぶくれができちゃって弾かなくなっちゃったんです。で、ちゃんと始めた時に触ったのはお父さんの部屋にあったベースで、アオリエも父からの借りパク状態なんですよ(笑)。
──お父さんはベースも?
やまもとひかる:趣味でベースを弾いていて、お父さんがスネアを買いに行った時についでに寄ったアトリエZのショールームでカッコいいと思って、スネアを買うお金で買ってしまったものです(笑)。
──アホですね(笑)。最高のお父さんじゃないですか。
やまもとひかる:アホなんです。アホリエなんですよ(笑)。
──いい話だ。
やまもとひかる:ちゃんと始めたのは中2だったんですけど、その頃にはもう子ども用のベースは小さくて、で、家の中を物色したらそのアオリエがあったんです。フェンダーの4弦もあって、それが赤色のやつ。わりと初期から5弦を触っていました。
──今も借りパク状態なんですね(笑)。
やまもとひかる:そうです。今は自分のスペクターと交換してます。そろそろくれって感じ(笑)。もう多分くれてるんですけど(笑)。
──お父さんは、やまもとひかるのスペクターを使っているのか。
やまもとひかる:そうですね(笑)。アオリエはショールーム用の限定もので青と赤の2本で対で製作されていて、もう1本は富倉(富倉安生)さんが所有されています。35インチで作られているんですよ。
──スケールが違うんですか?
やまもとひかる:違うんです。レギュラーモデルではないので、多分限定なのはスケールぐらいだと思うんですけど、今でもAtelierZは35インチはほとんど作ってないんですよね。アクティブなのもあるんですけど、シンプルなセットや極論アン直でも結構できあがった音というか「こういう音だぞ」ってわりと強めのカラーですね。逆に現場は選ぶ感じではあるんですけど、攻撃力高めというかすごいローがガッと出てくれる。アトリエっぽいドンシャリな音もしますけどね。あと、年季が入ってるんでキマる音がします。私が生まれたのと同時に手に入れたものっぽくて、もう23年くらいは経ってるので。
──綺麗に見えますけど、使い込まれているんですね。
アオリエ
やまもとひかる:それこそ色が焼やけてちょっと緑がかった青になっていて。一昨年ぐらいにトラスロッドが回り切っちゃってネックを作り直したんですけど、マッチングヘッドの色とボディの色がちょっと違うねってくらい、照明焼けしてたり細かい傷とか年季の入り方をしてます。
──お父さんもゴリゴリ弾いていたのかな。
やまもとひかる:ステージで弾くとかいうより家でたまに弾くくらいだったので、多分そんなではないと思います。私が人前でこのベースを弾き始めて7年ぐらいになるので、わりと私が照明焼けを加速させているかもしれない。
──アカリエはどういうベースですか?
やまもとひかる:赤いアトリエは、私の高校卒業記念にゲットしたものです。基本ジャズベが好きなんですけど、ピック弾きを始めた時期でもあって、プレベを一本欲しいと思ってフェンダーを探していたんですけど、秋葉原のIKEBEでプレベの形をしたアトリエの、しかもマッチングヘッドがあるぞって。私、マッチングヘッドが大好きで。
──好みドンズバ(笑)。
アカリエ
やまもとひかる:「あ、これはちょっと弾いてみよう」って弾いてみたら「すげえいい音がする」「プレベの中でもやっぱり好きな音がするぞ」って思ってゲットしました。フェンダーやヴィンテージは「やっぱりこういう音するんだなあ」というプレベ的ないい音だったんですけど、アトリエを弾いたら「やっぱりこういう音が好きかもしれない」と思った。結局PJ(ピックアップ)なんですけど、プレベっぽいし、まあいいだろうって思って。そのあとにアトリエZさんに持っていって、結局アクティブに改造してもらったので、なんかもうほぼジャズベみたいになっちゃってるんですけど(笑)。
──アクティブとパッシブは、それぞれどういうところに魅力を感じますか?
やまもとひかる:結局アクティブの音が好きっていうところに尽きちゃうんですけど、アンサンブルの中ではパッシブっぽい音の方が抜けてくるとかパワーがあるかもしれない。単体で聞くとアクティブの音がすごい好きで、パッと聴きもアクティブの方がパワーがあるように感じるんですけど、聞こえ方はちょっと別かもな、とも思います。でもやっぱりアクティブが好きってなっちゃうんですけどね(笑)。
──単体で音作りをしてもアンサンブルでの聞こえ方はまた別ですもんね。
やまもとひかる:難しいですね。ひとりでの音作りの限界みたいのはあります。
──1月20日には初のソロライブが開催されますが、ボーカリストとベーシスト、どちらの意識が高いんですか?
やまもとひかる:根はベーシストです。これまで6年間ぐらいバンドをやってたんですけど、その時もずっとベース&コーラスでした。バンドが解散しちゃった後もほんとはバンドを組みたかったんですけど、まずはひとりで発信してみようってなったときに、だったら歌もあったほうが分かりやすいというので歌い始めたんです。それこそソロライブの中では、いくらベーシストだろうと主役は歌になりますから、ボーカリストという意識が強くなると思うんですけど、自分の根っこはベーシスト。ボーカル&ベースというよりベース&ボーカルかなと思います。
──バンドを組んでも、ボーカリストを食っちゃいそうだけど。
やまもとひかる:良くも悪くも抜けてしまう声なので、ボーカルによってはコーラスに向かない声なんですよね。パーンと飛び抜けてきちゃう。歌い方で調整できたらいいんですけど。
──この声も最高の武器だから。
やまもとひかる:ソロのプロジェクトでは、もしかしたら、ベースを置いて歌だけ歌うこともあるかもしれないし、シンセベース弾きながら歌うかもしれないし、全然わかんないですけどどうなるかな。
──足でタウラス(ペダルシンセベース)を弾くかもしれないし。
やまもとひかる:エレクトーンもやってたので、あるかもしれない(笑)。
──無敵ですね。歌いながら弾く難しさはいかがですか?
やまもとひかる:難しいは難しいですけど、中学生の頃に、スキャンダルのTOMOMIさんをかっこいいと思ってベースを始めたのもあるので、歌いながら弾くものと思っていて難しいことやっている意識はあまりないです。ベースを弾くときもメロディを口ずさみながらも歌うように弾いているので。でもさすがにふたつ歌うのはちょっと難しい(笑)。スラップしながら歌うより、わりと歌うように弾いてる指弾きで歌うほうが難しいんです。
──なるほど、そうかも。
やまもとひかる:スラップやピック弾きは「リズムを取りながら歌う」でわりといけるんですけど、指弾きだと「歌う・歌う」になるから意識が難しくて。レコーディングではベースも歌も好き勝手にやっちゃうので、これをライブで同時にやるとなるとどうしようかなと思いますけど、私をベーシストとして好きで見に来てくれる方もいる以上、あんまり端折るのもなあって思います。頑張って大道芸みたいに器用になっちゃってもしょうがないとは思うんですけど(笑)、ライブとしてカッコいいうまいバランスを探してます。
──自分に足りないところとか課題はありますか。
やまもとひかる:それこそベース&ボーカルとしてはライブをすることで課題は見えてくると思うんですけど、ベーシストとしては、もうちょっと大きい会場が似合うパフォーマンスができる人になりたいと思っています。映像を見ると、派手に動いているつもりでもそんなに動いてないんですよね(笑)。もっと派手に演りながら丁寧に演奏もできている人になりたい。YOASOBIとかセットがすごい派手な中で結構細かいことをたくさん弾いているので、そうなるとなんか地味だなあって(笑)。
──(笑)
やまもとひかる:なので、もうちょっとライブ的に見せ方の上手いベーシストになりたい。技術面での課題は細かい部分でたくさんあるんですけど、身につけた方がいいところはこまめに習得しつつ、見せ方だったり突出したい部分を頑張りたいです。音はいい音を出せる自信があるので、
──いいですね。
やまもとひかる:「この人、華あるな」っていうプレイヤーになりたい。ソロライブでも、わりと複雑に作られちゃってる楽曲を生演奏してみたときにどうなるかとか、自分を観に来てくれたお客さんのノリ方はどういう感じなのかとか、ライブを観ている時の会場の雰囲気とかも、どうなるんだろうって思いますよね。結構お客さんの柄ってアーティストから出るじゃないですか。それの一発目として、こちらもお客さんも伺いながらのライブになると思うんですけど、バンドっぽいライブができたらなって思います。
──不安よりも楽しみの方が勝っていますね。
やまもとひかる:そうですね。不安がってもしょうがないので(笑)。不安より楽しみなほうがいいかな。
取材・文◎烏丸哲也(JMN統括編集長)
<やまもとひかるソロライブ『AM Vol.1 』>
@渋谷Veats
開場18:00/開演 19:00
出演:やまもとひかる、眩暈SIREN
Bass & Vocal:やまもとひかる
Guitar:yu-ya from vivid undress
Drums:仄雲 from 眩暈SIREN
スタンディング:4,000円(税込) ※10代の方は身分証明書の提示で¥500のキャッシュバック
・ぴあ:https://w.pia.jp/t/yamamotohikaru/
・ローソン:https://l-tike.com/yamamotohikaru/
・イープラス:https://eplus.jp/yamamotohikaru/
[問]ディスクガレージ https://info.diskgarage.com 050-5533-0888 (平日12:00~15:00)
「ナムネス」配信中
https://orcd.co/numbness
◆やまもとひかるオフィシャルサイト
◆やまもとひかるファンクラブ「やまひかデコ団( ^ω^ )」