【インタビュー】Grasis、葛藤や困難を乗り越えて自分自身を見つけた二人の決意
■初のワンマンは二度とないのでいろいろ考えて準備しています
■結成2年で全く印象が変わっていると思うので今の私たちを見にきてほしい
――『Floret Flowers』には、先行配信シングル「PINK MOON」「STAY」以外にもライブで披露している曲が収録されているんですか?
jessica:はい。リード曲「scarlet」は7月の企画ライブで初めて披露した曲で、みんなが手を挙げて盛り上がれる曲です。音源に先駆けてミュージックビデオが公開されたので、見た人はライブとはまた違う爽やかさとか切なさを感じてくれたかもしれないですね。
――ギターロック的なアプローチですね。
caho:バンドサウンドで、Grasisにはあまりなかった曲調です。ライブで初めて歌った時、「今日やった新曲、なんていうタイトルだっけ?」とか「もうリリースされているんですか?」って聞いてくれる人が多かったですね。歌詞は誰の中にもある甘酸っぱい記憶みたいな。まっすぐな気持ちを書いた曲です。ミュージックビデオもそういう映像になっています。
jessica:青春を思い出すような感じ。完成した音源を改めて聴いたら学生時代が恋しくなるようなサウンドと歌詞だなって。
――歌詞にも“ギター”というワードが出てきて、失った夏の恋を振り返るような内容になっていますね。
jessica:“スカーレットまた歌ってくれないか? 僕のギターで”という歌詞なのでもうお別れしているとは思うんですが、私自身も物語の二人はその後、どうなったのかなって想像してしまいました。
caho:サビの“スカーレットどんな顔してる? スカーレット上手く笑えているの?”という箇所は二人で掛け合いで歌っているんです。台詞のように歌おうと意識した部分でもあります。今は届かない相手だけど、問いかけているような気持ちで歌っていてお気に入りの部分です。
jessica:私は後半の部分ですね。“火花散る夏の 淡い帰り道”という歌詞が出てくるんですが、昼間のシーンだったのが途中から夜の場面に移り変わって、花火大会の帰り道を思い起こさせてくれます。
▲jessica
――場面転換のような?
jessica:はい。その部分は私が歌っているんですが、大事なところだと思いながらライブにも臨んでいます。“スカーレット今度は届く様に スカーレット夜空に咲かせよう”からわーっと盛り上がっていくセクションが好きですね。
――ちなみに作詞はGrasis名義ですが、どんふうに二人でやりとりして書いているんでしょうか?
caho:最初の頃はそれぞれが書いたものを持ち寄ってひとつの歌詞にしていたんです。
jessica:特に何も話さず、テーマも決めず。最近は同じ場所で一緒に書くこともありますね。
caho:「YOUTH FLAG」という曲はヒデヲさんのアトリエで「この歌詞はこうした方がいいんじゃない?」って話しながら。
jessica:そっちの方がはかどる感じがするよね(笑)。
caho:ラップの部分はjessicaが書いているんですよ。
jessica:私はサビを書くのがあまり得意ではないので「cahoさん、お願いします」って(笑)。
caho:私は「英詞はお願いします」ってjessicaに(笑)。
――良いコンビネーションですね。シングル以外の他の楽曲についてもエピソードをお聞きしたいのですが、1曲目の「Polar」は白い景色がふわーっと広がるようなサウンドで透明度が高く良い曲ですね。
jessica:ありがとうございます。
caho:タイトルはPOLAR BEAR(白熊)からとったんですが、“Polar”には“極地”という意味があるんです。そういう場所を大切な人と抜け出していくみたいな歌詞がサウンドとマッチして初めて聴いた時、「これは1曲目だな」と思いました。
jessica:音がふわーっと広がっていく感じが“真っ白な世界”のイメージとピッタリですよね。私はハモりを担当することが多いのですが、できるだけ尖りがないメインのメロディに寄り添うようなハモりを心がけていて、特にこの曲ではそれが大事だなと思いました。
――いろいろなことを想像させる気になる歌詞でもあります。
caho:そこは聴いた方の解釈にお任せします。まだライブでやっていない曲なので、どういう感じになるんだろうなってワクワクします。
jessica:今の季節にピッタリの曲ですね。
▲caho
――「scarlet」が夏ソングなら「Polar」は冬ソングですね。「LOVE SONG」はアルバムの中でいちばんロマンティックでおしゃれなナンバーです。
jessica:歌詞を書く前の段階で「早くLIVEでやりたい」って。
caho:ギターのリフが印象的で、聴いてくださる方も盛り上がりやすい曲調ですね。私たちのデビューシングル「TAKE ME OUT」はダンスナンバーなんですが、自然と身体が動く曲がまた生まれたなって思いました。
jessica:ラップの部分は書いていていちばん楽しかったですね。ミニアルバムの最後の曲「YOUTH FLAG」は希望とかエールを送る気持ちで書いたんですけど、この曲では好きなことを自由にラップしています。
――感覚的に書いたというニュアンス?
jessica:そうですね。遊び心も入れて。
caho:歌はファンクのグルーヴなども意識して歌ったんですが、楽しかったですね
――恋をした女のコのトキメキを歌ったスイートな曲ですよね。
jessica:歌詞を書くときに想像していたのはイルミネーションを見に行くデート。“平日デートは大変 荷物が多くてノックダウン”っていうのはキラキラした場所にいくから仕事用じゃないヒールの靴をバッグの中に入れてるからかな?とか、イメージを膨らませて書きました。
caho:“勝手にアナタが作ったプレイリスト”を聴くっていうのも経験ある方が多いんじゃないかなって。
――あれ? 実体験じゃなく想像で書いているんですか?
二人:(笑)。
caho:プレイリストは私は共感しますね。
jessica:勝手に作られたことはないんですが、学生時代に好きな人のお勧めの曲を聴いていたことはあります。
――学生時代あるある、ですよね。先ほども話に出た「YOUTH FLAG」は今までにない曲調ですか?
caho:私たちの葛藤だったり希望だったり、いろいろな想いを込めてGrasisという旗を掲げて進んでいくぞっていう、アンセム的な曲です。
jessica:これまでは“私たちはこう思っていて、こういう風に見せたいんだ”っていう曲が多かったんですが、この曲はみんなで一緒に行こうみたいな。
――いちばん熱い歌詞ですものね。
jessica:そう。私たちと一緒にっていう曲。そういう意味で新しいなと思います。
caho:“ここにいるよ 風を切って 自分の旗をなびかせるんだ”っていう歌詞が好きです。自分たちの決意を込めた曲なので、最後に持ってきたんです。“まだまだ進んでいくぞ”という想いを感じとってもらいたいと思います。
jessica:確かに。ラップパートは今までいろんなところに寄り道してきて、よそ見もしてきたけど、Grasisが答えだっていうことを伝えたかったので受け止めてもらえたら嬉しいですね。
――ラップと歌がかぶさるような構成もポイントですね。
caho:歌っていてアンサンブルが気持ちいいです。
――2023年1月29日には下北沢CLUB251でワンマンライブ<Grasis ONE-MAN LIVE“Floret Flowers”>が開催されます。どんなライブを届けたいですか?
caho:初のワンマンは二度とないので、考えていることも準備していることもあるんですけど、ちょうど結成2年で初期の頃のGrasisのライブを見てくださった方も、今見たら全く印象が変わると思うんです。今の私たちを見にきてほしいですね。
jessica:いちばん最初のライブも企画ライブも下北沢CLUB251だったんですよ。あんなに緊張して歌っていた私たちも今はこんなに変わったよっていうのを見てほしいという想いがいちばん強いかもしれないですね。
――対バンや企画ライブの倍ぐらい曲数を歌えますしね。
caho:私たちの楽曲、世界観をじっくり堪能していただきたいです。
jessica:わー、緊張してきた(笑)。開演は夕方ですけど、それこそ前日から「明日はライブだ」ってワクワクして楽しんでほしいです。
caho:ワンマンでしか味わえないものがあると思うので、是非楽しみにしていてください。
取材・文:山本弘子
リリース情報
2022/12/14 リリース
1. Polar
2. PINK MOON
3. scarlet
4. STAY
5. LOVE SONG
6. YOUTH FLAG
ライブ・イベント情報
2023/01/29(日)
東京 下北沢CLUB251
OP 18:00 / ST 18:30
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