【インタビュー前編】bokula.、爽快・メロディアス・メッセージ性の強い楽曲でハートをわしづかみ
活気あふれる広島のバンドシーンから飛び出して、全国規模のブレイクを狙う若手バンド筆頭格。bokula.(ボクラ)の1stフルアルバム『FUSION』が良い。多作なソングライターにして無類のアイディアマン、えい(Vo&G)を中心に作り上げた音楽は、青春パンク、メロコア、ギターポップなど、爽快でメロディアスでメッセージ性の強い楽曲で同世代リスナーのハートをわしづかみにする。21~23歳の若さを追い風に突っ走るバンドの現状について、新作について、そして未来について。えい、かじ(G)、ふじいしゅんすけさん(Dr)の3人に語ってもらおう。(※さとぴー(B)は期限付き活動休止中)
■新しいことをやっているけどいつも通りだなというのもあります
■今回も「らしい曲」が作れたなと思ったし良い意味で手ごたえがないんです
えい:(ディスコグラフィーを見ながら)こんなに出したっけ。
かじ:多いなー。
――あはは。人ごとみたいな。でも結成2年半で、確かにリリースは多いですよ。それは正直、バンドの意志なのか、レーベルの要請なのか。
えい:僕がやりたいことをレーベルに言って、出したい時に出させてもらっている感じです。そのぐらい曲は毎日できているから、どんどん消化していかないと。
ふじい:(えいは)企画力がバケモンなんですよ。「これしたい!」と思ったらすぐ相談して、すぐにまた「これしたい!」って、永遠に。小学2年生みたいに「これ面白い!」って、どんどん出していくイメージがありますね。それはすごいなと思う。
――企画力に自信あり?
えい:そういう自覚は全然ないです。よく言っていただけるんですけど、自分は普通だと思いながらやっています。
ふじい:もう慣れましたけど、今年1年はかなりそんな感じだったよね。ずっと背中に何かがおる、みたいな。
▲えい(Vo&G)
――追われてる(笑)。でも2022年は本当にそうで、5月にミニアルバムを出したあとは、怒涛のリリースラッシュ。
ふじい:8月にコンピレーションアルバム、そこから3か月連続(配信リリース)している最中にフルアルバムを録って、その間にミュージックビデオも3曲撮って。えぐいスケジュールやったな。
――その間にベースのさとぴーさんの1年間活動休止宣言もあったし。2022年を振り返ると、どんな年だったのでしょう。
えい:やっぱり、フルアルバムを作りたいという目標があったんで、積極的に活動しながらも、次の年に向けての準備というか、でっかい武器を作るための、パワーアップも兼ねての2022年だったかなと思いますね。
――あの3か月連続リリースは、楽曲的にも相当チャレンジングだなと思ったんですけどね。ポップなサマーチューン「夏の迷惑」、せつないメロディで疾走する「美談にしないで」、ピアノとホーンの入った明るい「グッドラック」。
えい:「美談にしないで」という曲は、最初に出したEPと同じタイトルなんですけど。
――そうそう、あの時は曲じゃなくてEPのタイトルだけでした。
えい:本当は「美談にしないで.」という曲があったんです。メンバーにも聴かせていなくて、メロディも全然違っていて、それをあらためて、昔の自分ってどんな曲を作ってたんだろう?って、ボイスメモをさかのぼっていたらこれが出て来て。だから新しい一面を見せたかったのは「グッドラック」だし、ずっとやりたかったことは「美談にしないで.」で表現しているし、ライブに来て楽しいよと思わせたいのは「夏の迷惑」だし。みたいな感じで、僕らの幅広い一面を見せられたなと思っています。
▲ふじいしゅんすけさん(Dr)
――すごく考えていますね。
えい:考えていたんですかね。自然と「やりたい!」と思ったのが、この楽曲たちだったんで。
――そんな怒涛の1年を締めくくるフルアルバム『FUSION』。本当にいいアルバムなんで、まずは自画自賛コメントを全員に言ってもらいましょう。
ふじい:意外と、バラードがないんですよね。「まみれて」が一番スローテンポなんですけど、スローなのはあと「愛愁」ぐらいかな。今の時代って、テンポ的にゆっくりな曲が流行ってるイメージがあるんですけど、俺らはロックが好きで、ロックな曲を集めて、それぞれに個性のあるアルバムになっているから、すごく好きなアルバムです。今の流行りとかいろいろあるけど、自分たちらしさを武器にして、というのがこのアルバムの好きなところですね。
かじ:今回、宅録を初めてやってみて、全曲違うアプローチで、曲の雰囲気も全部違うから、とにかく聴いていて飽きないと思います。
▲かじ(G)
――宅録ってどういう感じで?
えい:普通だったらレコーディングスタジオでやるんですけど、パソコンで、DAWソフトを使って、自宅でギターを弾いて、録音して、そのまま音源化する感じです。
かじ:スタジオだと、限られた時間の中で弾ききらないといけないという気持ちがあるんですけど、自宅だったら時間にゆとりが持てるので。宅録のやり方だけ教えてもらって、みんな後ろで寝ている中で、ずーっと真顔で弾いていました。自分がOK出すまで。今までで時間は一番かかったと思います。
ふじい:ドラムだけはちゃんとスタジオで録って、宅録でベース、ギター、ボーカルの順番ですね。
えい:ほかのバンドがどうかはわかんないですけど、基本はスタジオで、エンジニアさんが録って、という感じだと思うんですけど。バンドの活動すべてにおいてなんですが、自分が納得いくまでやらないと満足しないタイプなんで。エンジニアさんが「これでいい」って言っても、なんか腑に落ちないというか、それがきっかけで、じゃあ自分たちの活動全部を、<インディーズジャーニー>っていうイベントも含めて、自分たちのやりたいようにやることにして。もちろんレーベルに許可をもらっているんですけど、そういうのも全部自分たちで、自主制作の頃からやっていた志を忘れない、じゃないですけど、なんでもかんでも自分たちでできるようにはしておきたいなというのはありますね。
――すべての動機はそこから始まっている。これぞロックバンドのDIY精神じゃないですか。
えい:たぶん僕の性格がひねくれてるせいだと思うんですけど(笑)。自分でやらなきゃ満足いかないっていう感じが、今のこの活動に出ていると思います。
――えいくんの、今回のアルバムが完成した手応えは?
えい:新しいことをやっているんですけど、いつも通りだなというのもあります。もちろん、より多くの人に聴いてほしいというのはあるんですけど、今回も変わらず「らしい曲」が作れたなと思ったし、良い意味で手ごたえはないというか。逆に、この曲に期待しすぎて、思ったより刺さらなかったとか、そういう不安がないというか、いつも通りの音源が「らしく」できたなと思います。初めてのフルアルバムだったら、普通は気合入れて、全然違う方向性のこととか、しちゃうと思うんですけど、そうではなくて。自分が好きに作れた1枚だなと思います。
取材・文:宮本英夫
※アルバムインタビューの後半は後日公開予定
リリース情報
2023.01.11(wed) Release
価格: \2,545(税抜) / \2,800(税込)
品番:LDSF-00010
レーベル:STAY FREEEE!!!!!!!!
<収録曲>
01. 2001
02. ハグルマ
03. 美談にしないで.
04. まみれて
05. FUSION
06. 夏の迷惑
07. ルーツ&ワープ
08. 愛愁
09. 何者にもなれるな
10. グッドラック
11. 満月じゃん。
12. ナイトダイブ
ライブ・イベント情報
<ULTIMATE ONE MAN TOUR>
1/19(木) 東京 渋谷Spotify O-Crest
2/03(金) 大阪 心斎橋BRONZE
2/10(金) 愛知 名古屋CLUB UPSET
2/18(土) 広島 ALMIGHTY
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