【コラム】音楽性を超えて、トンガったヤバすぎるメンツが勢ぞろい

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ニッポンのロックの年末年始の風物詩、<New Year Rock Festival>が今年もやって来る。1973年、旧名称・フラッシュ・コンサートとして始まってから一年も休まず、節目の50回目となる開催だ。それがいかにとんでもない偉業であるかについて、いくら言葉を尽くしても足りることはない。考えてもみてほしい。彼らは1970年代のオイルショックを、1980年代のバブルを、1990年代の湾岸戦争を、2000年代の911を、東日本大震災を、コロナ禍を、すべて見てきた。パンクの勃興を、ニューウェーヴを、グランジを、ミクスチャーを、ヒップホップを、すべて見てきた。ジョン・レノンを、カート・コバーンを、ジョー・ストラマーを、デヴィッド・ボウイを、そして内田裕也を、偉大なミュージシャンたちを何人も見送った。人は変わり時代は変わったが、スピリットは確かにそこにある。まるで「悪魔を憐れむ歌」のルシファーだ。<New Year Rock Festival>が今年も開催されるということは、つまりニッポンのロックがまた1年生き延びたということだ。

ただし、フェスティバルの象徴だったロックンローラー・内田裕也がこの世を去った2019年以降のNYRFは、様々な意味で変革の時を迎えている。「新生New Year Rock Festival」と銘打った2020-21の開催時は、新たにプロデューサーを引き継いだHIRØ(カイキゲッショク/湾岸の羊~Sheep living on the edge~)のカラーが強まり、より若い世代のロックに加えヒップホップのアーティストが一気に増えた。ロック色が薄くなった? 言いたい奴には言わせておけばいい。ここには、かつて内田裕也が忌み嫌ったフォークやニューミュージックに象徴される“みんなで仲良し”の中庸性や保守性から極端にはみ出した、音楽性を超えてトンガったアーティストばかりだ。それをロックと呼んでいいなら、内田裕也のスピリットはフェスティバルの指針として今もなお健在だ。


HIRØと内田裕也

今年、東京ガーデンシアターで開催される<50th New Year Rock Festival 2022-2023>は、例年以上にバリエーション豊かに、大ベテランから新世代まで、ロック、ミクスチャー、ヒップホップに至る凄いメンツがエントリーしている。中でもまず敬意を表さなければいけないのは1970年代からNYRFに出続けている二つのバンド、シーナ&ザ・ロケッツと亜無亜危異だ。日本のロックとパンクが生まれた当時の熱をそのまま今に伝えるレジェンドだ。今やシーナに代わって歌う娘のLUCY MIRRORも、またある意味でNYRFの象徴かもしれない。スピリットは受け継がれてゆく。


シーナ&ザ・ロケッツ


亜無亜危異

原田喧太、満園庄太郎と英二の兄弟によるスリーピース「KATAMALI」もまたNYRFではお馴染みのバンド。The BONEZも初登場だが、JESSEの単独出演も含めて関わりは強い。KYONO、瓜田夫婦、高橋和也(男闘呼組)といったメンツも、フェスティバルのカラーにぴたりと合う。初参加のDIR EN GREYも、持ち前のダークでヘヴィなロック美学で未知の観客に強烈にアピールするだろう。そしてもちろん、HIRØ率いるカイキゲッショク。お子様向けのいわゆる夏フェスや冬フェスでは絶対にブッキングできない、ヤバすぎるメンツが勢ぞろいだ。

ヒップホップ/レゲエ/R&B勢も負けちゃいない。重鎮・Zeebraを筆頭に、般若、AI、J-REXXX BAND、呂布カルマ、そしてBAD HOP。単独でもアリーナを満杯にできるメンツが集い、ロック勢としのぎを削る。昨今のMCバトルでトップを極めた猛者たちが、共演者だけでなく、客席にいる古参のロックファンにもバトルを挑む。ライブはパーティーでありバトルでもある、ヒップホップ勢のステージ美学は初めて見る観客にとって大きな刺激になるだろう。あらためて、凄いメンツだ。



NYRFはこの後、12月中旬に第4弾アーティストが発表されてすべての出演者が確定する。これ以上豪華になっても困るぐらいだが、なんといっても3年振り、配信だけで我慢しなければいけなかった2年間の鬱憤を吹き飛ばす、待望の有観客開催だ。コロナ禍の閉塞感をぶち破るためには何でもありだ。天国だかどこだかにいる内田裕也も「もっとやれ」と言うだろう。12月21日から12月31日まで渋谷PARCOにてPOPUPイベントが開催される。ダブルネームTシャツ「NYRF50×LIMI feu」「NYRF×UNDERCOVER」の発売も決まった。<50th New Year Rock Festival 2022-2023>は生きるレジェンドだ。見逃すという選択肢はない。

文◎宮本英夫



<50th New Year Rock Festival 2022-2023>

2022年12月31日(土・大晦日)
@有明・東京ガーデンシアター
OPEN 18:00/START 19:00
プロデューサー :HIRØ(カイキゲッショク /湾岸の羊~Sheep living on the edge~)
Co Producer: Zeebra
・TICKET アリーナ指定/スタンド指定 各¥9,900(税込)~特典グッズ付き~
・VIP ROOM TICKET(専用ゲート・専用ルーム・特典グッズ付き)
・A ROOM ¥165,000(税込)5名様までご入場可能 ※SOLD OUT
・B ROOM ¥88,000(税込)4名様までご入場可能
チケットサイト

◆<50th New Year Rock Festival 2022-2023>オフィシャルサイト
◆<50th New Year Rock Festival 2022-2023>チケットサイト
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