【インタビュー】港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズ「いいものを作りたい…それを突き詰めたいだけ」
スタイリッシュな音楽性とエモーショナルなボーカルに、シュール&コミカルな歌詞を融合させた唯一無二のスタイルが熱狂的な支持を得ている港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズ。2022年8月に配信リリースが始まり、10月12日にCDリリースされた彼らの3rdアルバム『ポーッー』はより音楽性の幅を広げると共に、あらゆる面に更なる磨きがかかった好盤に仕上がっている。
それを実現させたバンドの中心人物、港町銀じろうは自身が表現したいものが明確であると同時に、周りから一切の制約を受けることのないスキルの高さを備えた、非常に魅力的な音楽家だ。そんな彼に『ポーッー』について多いに語ってもらったインタビューをお届けしよう。
──アルバムの話をうかがう前に、ひとつお聞きしたいことがあります。ご自身の名前の表記を、“港町ぎんぢろう”から“港町銀じろう”に変えられたそうですね。
港町:2022年11月5日に変えました。横浜の野毛に『すみれ』といういつも行くラーメン屋があって、その近くに占いをやっているお店があるんですよ。しょっちゅう『すみれ』に行っているのに、気付かなかったんですよね。占いをやっている店があるんだと思って、フラッと入ったらオーナーみたいな人がいて「何で占ってほしい?」と聞くので、タロットで占ってほしいと言ったんです。そうしたら、「タロットの人は、今日はもう帰っちゃっていないんだわ」と言われて(笑)。「誰がいるの?」と聞いたら姓名を字画で見る人と生年月日で見る人しかいないと言われて、「どっちの人でいいよ」と言ったら志村けんさんが演じていた“ひとみお婆ちゃん”みたいな先生がいて、その人と話をしても全然通じないんですよ。そうしたら、オーナーが「その人93歳だから、大きい声で話してくれないと」と言うんです(笑)。
──す、すごいことになっていますね。
港町:本当に(笑)。それで、質問するのもめんどクサくなっちゃって、「なにを見てほしい?」と言うから「趣味で音楽をやっていて、自分の名前はどうなのか見てよ」と言ったんです。そうしたら、字画が最悪だと言うんですよ。金運は悪いし人間関係も悪いと。「どうしたらいいの?」と聞いたら「いい名前を考えてあげる」と言って“銀じろう”が最高だと言われたんです。占い師のお婆さん、手を叩いて喜んでいました。「この名前なら間違いなくヒットする」と言って。
──おおっ!これからさらに運気が上がりそうですね。
港町:金運がすごく良くなると言われたのいで、ヒットしたら1億円ずつオーナーとお婆ちゃんに持ってくるからと言ったら、ものすごく喜んでいました(笑)。そんな流れで“銀じろう”になったという(笑)。ただ、バンド名の表記は“港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズ”のままです。バンド名を変えると別アーティストみたいになって、めんどクサいので。
──なにかに導かれるように、そのお婆さんのところに行ったこともあり、明るい未来が待っているような気がします。では、最新アルバム『ポーッー』について話しましょう。本作を作るにあたって、テーマなどはありましたか?
港町:特にないですね。一言で終わってしまいますけど(笑)。
──大丈夫です(笑)。今の自分達が純粋にいい、カッコいいと思うものをまとめたということですね?
港町:そう。僕は音源のリリースが決まってから曲を作るんじゃなくて、日常的に曲を作っているんです。それで、曲がどんどん溜まっていくので発表したいなという気持ちになって、アルバムを作ることにしました。
──根っからの音楽好きといえますね。『ポーッー』は音楽性の幅をより広げていながら決して散漫になることなく、むしろ世界観が深まっていることが印象的です。
港町:本当ですか?前回のアルバムは歌詞の内容が結構ギリギリで、ちょっと問題になったりしたんですよ。テレビに出ても放送できない曲とかがあったので(笑)。「この人は前科がある人じゃないですよね?」と疑われたりとか(笑)。だから、今回は多少歌詞に気をつけるようにしたので、世界観は薄まったような気もするんですよね。
──音楽性の面でより深度を増していますし、気を遣ったとはいえ今作の歌詞もかなりキテます。あらためてお聞きしますが、歌詞はいつもどんなふうに書かれているのでしょう?
港町:歌詞を書くときは、まずテーマをひとつ決めるんです。それに少し時間がかかりますけど、テーマが決まったら“バァーッ”と書いていって、もう本当に10分くらいで書けます。あとは歌ってみて、歌いまわしが上手くいかないところとかは直していくという感じですね。
──そうすると、重要なのはテーマ探しですね。とはいえ、狙って面白い歌詞にされているわけではないんですよね?
港町:違います。僕が歌詞を書くと、自然とそういうものになるんです。僕は洋楽が好きで日本のアーティストは聴かないんですけど、洋楽を聴いているときは、歌詞はあまりわからないじゃないですか。だから、そういう感覚ですよね。何でもいいじゃん…みたいな(笑)。
──かといって、無難な歌詞で済ませないというところが本当に素敵です。変わった歌詞を男前に歌うことは、今でも違和感はないですか?
港町:ないですね。本当に洋楽を歌っている感じで、歌詞に感情移入して歌うということはほとんどしていない。ただ、適当に書いているわりには、詞はいいと言ってくださる方が多いです。たとえば、「放尿のカタルシス」という曲は、小説家をしている同級生の友達がいるんですけど、彼の本を読んでいたら主人公がおしっこをするシーンで、“放尿のカタルシスを云々かんぬん”という文章があって、難しい言葉を知っているなと思って、そこから広げていって書いたんです。曲ができあがって彼に聴いてもらったら、お前は詩の才能がすごくあると言われました。職業作家にそう言ってもらえたんです。
──銀じろうさんが書かれる歌詞はお世辞ではなく、いいと思います。「放尿のカタルシス」はすごくリアリティーがありますし、メロディーに対する言葉のはまり方なども絶妙です。ただですね、「放尿のカタルシス」は楽曲的にはブラック・コンテンポラリーに通じるオシャレなテイストの曲じゃないですか。それなのに、歌っていることが…。
港町:そうですよね(笑)。ちなみに、「放尿のカタルシス」のドラムはJ.スティックスという黒人のドラマーに叩いてもらったんですけど、彼はあまり日本語がわからないんですよ。マネージャーの女性の人がいて、いつもドラムを叩くときは必ずどういう歌詞なのか通訳しているそうですけど、今回は歌詞の内容を聞かれてもあえて通訳しなかったと言われました(笑)。
──そ、それは正解だったような、残念なような…(笑)。「放尿のカタルシス」に限らず、たとえば「YOKOHAMA MIDNIGHT PATROLLER(feat.小林大河)」もファンキーな楽曲でいながら、歌詞は“国定忠治が昭和の時代に表れて悪人を斬る”というシュールな内容です。
港町:この曲は頭に大衆演芸みたいな語りを入れたいなと思って、いろんな言い回しをしていたんですよ。そうしたら、国定忠治の“赤城の山も今宵限り”という言葉が出てきて、いいなと思ったんです。それを語りで使ったから、歌詞にも国定忠治を無理やり入れた…みたいな(笑)。
──な、なるほど。さらに、国定忠治が昭和に表れたというSF的な話なのか、自分が国定忠治のような役割を果たしているという話なのかも曖昧です。
港町:それは、自分でもよくわかっていないです(笑)。
──そういう手法で破綻しないのは、銀じろうさんならではといえますね。「YOKOHAMA MIDNIGHT PATROLLER(feat.小林大河)」は三味線が鳴っていて、ファンクと和感を融合していることも見逃せません。
港町:この曲を作ったときは怪しいというか、ダークな感じの曲を作りたいなと思って、ウッドベースとパーカッションから始まる形にして、Aメロ、Bメロと作っていったんです。最初は全編ウッドベースで作っていたんですけど、サビはウッドベースだと疾走感が出ないので、サビだけエレキに変えたんですよ。そうやって曲を作って、それに合う詞ということを考えたら、昭和の横浜の繁華街のイメージがすごく合うなと思って…という流れだった。で、オケを自分で打ち込みで作ったときに、これに三味線を入れたらどうなるのかなと思って。それで、入れていったら意外と面白かったから、活かすことにしました。だから、和感は作っていく内に出てきたんです。
──発想の柔軟さを、あらためて感じます。「生霊飛ばす!!」も洗練されたミディアム・チューンですが、“毎日わら人形を作る”という歌詞で、思わずのけ反りました。
港町:この曲を作ったのは大分前で、先行シングルで出しておいて、今回アルバムに入れたので、1年前くらいに書いたんです。だから、なぜこういう詞にしたのかは忘れちゃいました(笑)。僕は『月間ムー』とかが好きで読んでいるし、アマゾン・プライムで『超ムーの世界R』もずっと観ているんですよ。それを観ていたら生霊の話があったんでしょうね、多分。それで、“これでいいや”みたいな感じだったんだと思います。
──えっとですね。そういうスタンスで歌詞を書いても、いざレコーディングするとなったら躊躇う方もいるような気がしますが、そういうことは…。
港町:全くないです。
──さすがです。『ポーッー』は注目といえる曲が揃っていて、ハードロック調のギター・リフとゴージャスなファンク・テイストを融合させて、さらに途中でサンバに移行する「GOAST PASTA」や、テクニカル&アーバンなインストゥルメンタルの「UBER DRIVER」なども聴き逃せません。
港町:「GOAST PASTA」はハードロックとラテンの融合というのを、やりたかったんです。サンバはキーボード兼アレンジャーのジミー岩崎がサンバにしたんですけど、ハードロックとラテンの融合というのがテーマとしてあった。それで、ギターのリフを僕が適当に考えたら、それがそのまま採用されてしまったんです。後で、もうちょっとカッコいいリフを考えようと思っていたのに、これでいいということで。
──わかります。この曲のギター・リフはストレートなところがキャッチーさに繋がっていますよね。
港町:だったら良かったです。ちなみに、この曲のタイトルは「GOAST PASTA」ですけど、オバケとか幽霊という意味のゴーストは“GHOST”じゃないですか。これは、間違いなんです(笑)。それに気づいたのが、1週間前くらいだったんですよ。スペルが違うのは深い意味があるんだろうと、みんな思っていたみたいなんですよね。違っていることに気づかないヤツもいたし。レコーディングしている間もずっと誰も言わなくて、1週間前に僕の後輩がこの曲を聴いて、「これって、“H”が正しいんじゃないですか?」と言われて、“あっ!”という(笑)。なので、スペルが違うのは意味があるんじゃなくて、単なる間違いです(笑)。
──そ、そうなんですね。「GOAST PASTA」というタイトルは映画『ゴーストバスターズ』にちなんでいると思いますが、なぜ“パスタ”にされたのでしょう?
港町:えっ? どうしてだったかな…思い出した!『ゴーストバスターズ』の新作が最近あったんですよ、女性が主人公のバージョン。それを観て、ゴーストバスターの曲を書こうと思って、“ゴーストバスター!”と歌いたいけど、怒られそうだから“パスタ”にしたんです。で、パスタにしたから、どこかでパスタを出さなきゃと思って、最後に“つるつるすべるぞ オバケのスパゲッティ”とか歌っているんです(笑)。
──すごいことに、なっていますねぇ…(笑)。インストの「UBER DRIVER」についても話していただけますか。
港町:これはうちのベーシスト(鳴海克泰)が書いた曲です。僕が全部曲を作ると同じような感じになってしまうので、アクセントになる曲がほしいなと思ったんです。彼はジャズ・ベーシストで、僕は彼のベースが大好きなんですよ。ファンなんです(笑)。なので、ベースをフィーチュアリングしていいから、カッコいいベースをいっぱい入れた曲を作ってくれないかとお願いしました。
──出だしのベース・リフから、すごくカッコいいです。
港町:ですよね。ただ、この曲のレコーディングは、みんなすごく苦労していました。うちのメンバーは腕利きが揃っているけど、みんな難関だと言っていましたね。この曲は楽器をやっている人に、すごく楽しんでもらえると思います。
──同感です。それに、途中に銀じろうさんの語りが入っているのもいいですね。
港町:そこはラップ・パートにしようかなと思っていたんですけど、ラップはいまいちハマらなかったので、語りもありかなと思って。それで、何種類か考えて、やってみて、ベースのヤツにどれがいいか聞いて、ウーバーイーツが選ばれました。その頃ウーバーイーツをよく頼んでいたので、いいかな…みたいな(笑)。で、“ウーバー”つながりで某バンドさんの名前を歌詞で使わせてもらうことにしたんですけど、トラブルの原因になると困るので、“v”を“b”に変えました。だから、それは間違いではないです。
──某バンドさんのファンの方はよく知らなくて表記を間違えたのではなく、ちゃんと知っているうえで表記を変えたことをわかってほしいですね。それにしても、銀じろうさんの語りはすごく雰囲気がありますが、録るときもスムーズでしょうか?
港町:いえ、意外と難しいです。ああいう喋りをするのは苦にならないけど、ちょっとしたタイミングのズレとかがすごく気持ち悪いんですよ。なので、何回も録り直しました。最終的にはエンジニアとかバンドのメンバーのジャッジに任せたというか、「どのテイクがいいと思う?」といって選んでもらいました。
──ああいう喋りがツルッとできるというのは才能ですね。
港町:どうなんでしょうね。でも、歌よりも喋りとかのほうが好きかもしれない(笑)。歌は本当に難しいから(笑)。
──とはいえ歌も魅力的です。さらに、小林大河さんやDonatelloさん、IKURAさんといったラッパーをフィーチュアされる一方で、ご自身もラップをされますよね。
港町:ラップをやっている曲、ありましたっけ?
──えっ?「待たせないで!!」のラップは銀じろうさんでは…。
港町:あれは、ラップと言えるのかな。
──ラップと捉えていますし、すごく良いと思いま…。
港町:なんか、田舎もんみたいじゃないですか?(笑)
──そんなことはないです!ゲストの皆さんのビシッとしたラップとは一味違う、柔らか味のあるラップがいいなと思います。
港町:ラップも適当なんですよね(笑)。たしか、面白い歌詞だったので、面白さが伝わればいいやという感じで、楽しんで録った気がします。
──語りにせよ、ラップにせよ、肩に力が入っていないのにこの仕上がりということからは、銀じろうさんのセンスの良さを感じます。では、ゲストでラッパーを迎えるときは、どんなふうに決めているのでしょう?
港町:「YOKOHAMA MIDNIGHT PATROLLER」は、小林さんは歌も歌われるんですよね。『ワンピース』の主題歌とかを歌われていて、それを聴いてラップのスタイルというよりは彼の声がこの曲には合うだろうなと思ったんです。「春色の風に吹かれて」はDonatello君がやっているんですけど、この曲も彼のラップと声が合うと思ってお願いしたし。いつもそういう感じで、ラッパーとしてのスキルが高くても声が合わない感じの人は選ばないかもしれない。
──話題作りなどでゲストを迎えるのではなく、楽曲の世界観を深めることを重視されていることがわかります。「春色の風に吹かれて」の話が出ましたが、今作は「春色の風に吹かれて(feat.Donatello)」や「恋はマスカレード」「HEART and SOUL(feat.IKURA & Donatello)」といった曲は打ち込みのドラムを使って、他の曲とは異なるテイストを打ち出していることもポイントです。
港町:それはですね、めんどクサかったんじゃないですかね、生で録るのが(笑)。というのと、「春色の風に吹かれて」に関しては、この曲はリメイクなんですけれどもドラムは堀正輝君という米津玄師さんとかで叩いている人で、彼はバスエのキャバレーズのメインのドラム(阿部一仁)の教え子なんです。そういう縁で前々から何か一緒にやろうと言っていて、彼は生ドラムだけじゃなくてドラムのプログラミングも得意なんですよ。それで、ちょっとお願いしようかということで、やってもらいました。
──そういう経緯があったんですね。コロナ禍で生のドラムを録るのが難しい時期がありましたので、そのときに打ち込みで形にして、これも“あり”だねというようなことがあったのかなと思いました。
港町:違いますね。「春色の風に吹かれて」はああいう感じの曲にしたかったんです。「恋はマスカレード」はもうめんどクサくなっちゃって、打ち込みでいいや…みたいな(笑)。あと、「VOICE」は生ドラムで録ったけど、いまいちだったので打ち込みに差し替えたんです。本当は生でいきたかったけど、録り直すとなると時間も、お金もかかるから、だったら生ドラムっぽい打ち込みにしようということで。
──打ち込みを使った理由はいろいろあったようですが、港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズならではの生々しいグルーブを活かした曲と、打ち込み曲の透明感というコントラストが絶妙です。
港町:そう言われると、そうですね。そこまで、こだわりはないですけど(笑)。でも、生ばかりだと飽きちゃうかなというのはあるんです、作っている僕自身も。今はJ-POPにしても、K-POPとかにしても、打ち込みの曲が主流じゃないですか。そういうものも好きで聴くので、自分もやってみたいなというのもありましたね。
──王道的なファンクやブラック・ミュージックが大好きなことが伝わると同時に時代感を備えていることも港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズの魅力になっています。「VOICE」についてもお聞きしたいのですが、この曲はせつないバラードということに加えて、シリアスな歌詞になっていて驚きました。
港町:最近はアコースティック・ギターを使った楽曲をメインにしているアーティストも沢山いるじゃないですか。そういう曲も作ってみたいなと思って作って、それに乗せる歌詞はちゃんとしたほうがいいのかなと思った…というか、そういうこともやってみたかったんです(笑)。それで、やってみたけど、クオリティーがいまいちだったという(笑)。
──ええっ!クオリティーは低くないです。純粋にいい曲ですし、“染みるキャバレーズ”もすごくいいなと思いましたよ。
港町:本当ですか?やってみたいなと思って作っただけで、歌詞もこういうことを真剣に考えているわけではなくて、“こんな感じで、いいんじゃん?”みたいな歌詞なんですよ(笑)。珍しくちゃんとした歌詞を書いたのに、結局感情移入できないという(笑)。やっぱり、こういうのはもうちょっと勉強しないと無理かなと思いました。
──やりたくないことを無理にしてほしくはありませんが、こういう側面ももっと見れると嬉しいです。さて、『ポーッー』はさらに魅力を増した港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズを堪能できるアルバムになりました。今作を完成させて、今はどんなことを思っていますか?
港町:そうですね…特に、何もないです。
──えええっ!いや、なにかしらあるのでは…。
港町:溜まっていた曲を纏めることができたので、次にまた何か違うものを作りたいなという気持ちになっています。やりたいことが沢山あるんですよ。音楽を聴いていると、こういうのをやりたい、ああいうのもやりたいという気持ちになるんです。詞は後からですけど、こういうことを詞にしたら面白いぞというのが常に思い浮かぶし。だから、曲を作るのはすごく楽しい。曲をたくさん作っていって最終的にこういうところにいきたいという目標とかも全くなくて、ただいいものを作りたいという気持ちがあるだけなんです。曲作りを重ねていくとアレンジとかも含めて、だんだん上手くなるじゃないですか。僕は、それを突き詰めたいだけなんですよね。今回やってみて、もうちょっとこうすれば良かったという反省みたいなものが出てきて、次はもっと上手くやれるだろうというのもあるし。アルバムを完成させた達成感よりも、そういう気持ちのほうが大きいです。なので、もう曲を作り始めています。今のところライブをする予定もなくて、その前にまたレコーディングしたいなと思っています。
──意欲的ですね。次に作りたいと思っているものを、少しで構いませんので教えていただけますか。
港町:よりファンクなものとか、シティポップとか。ただ、今はネオ・シティポップをやっている若い子がいっぱいいるじゃないですか。それと同じになってしまうのは僕の中で違うので、ほんのちょっとクオリティーを上げたものを形にしたいというのはありますね。僕は特にグルーブにこだわりがあるので、そこを追究したい。だから、今回も黒人の方に2曲叩いてもらったんです。今後もこの曲は黒人のドラマーだなと感じたら、お願いすると思う。歌詞の内容は知らせずに、叩いてもらうことになると思います(笑)。
撮影◎大橋祐希
取材・文◎村上孝之
港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズ『ポーッー』
2.放尿のカタルシス
3.GOAST PASTA
4.UBER DRIVER
5.春色の風に吹かれて(Feat.Donatello)
6.恋はマスカレード
7.HEART and SOUL(feat.IKURA & Donatello)
8.生霊飛ばす!!
9.VOICE
10.待たせないで!!
11.YOKOHAMA MIDNIGHT PATROLEER2(feat.小林大河)
◆港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズ・オフィシャルサイト