【コラム】ClariS、『THE FIRST TAKE』までの道のりと2人の固い絆
ClariSのデビューのインパクトは強烈だった。話題のTVアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(2010年)のOPテーマに抜擢され、kzが作詞・作曲・編曲を手掛けたエレクトロチューン「irony」を完璧に歌いこなす謎のユニット。顔出しをしていなかったので、当時は中学生の女の子が歌っているということくらいしかわからなかったが、すごいアーティストが誕生したと感じた。
kzは初音ミクをボーカルにした楽曲で既に注目を集めていたクリエイターだったので、その楽曲を歌うClariSの声も、どこか無機質でボカロと人間の中間のような印象があった。ただ、憂いを帯びた歌声は心に残ったし、何より2人の声が合わさったときの存在感が際立っていた。顔を出していない分、誰がどのパートを歌っているのかなどはさほど気にせず聴いていたが、その個性は突出していたと思う。
さらなる衝撃は、デビュー直後にやってきた。TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)の大ヒットである。原作のないオリジナルアニメーションは、最初から大きな話題になることはない。だが、先が読めない展開が話題を呼び、人気が急上昇していったのだ。そのOPテーマが彼女たちの2ndシングル「コネクト」だった。かわいい魔法少女モノが始まると思いきや、第3話から急激にシリアス展開になり、物語の終盤になると歌詞がアニメとリンクしてくる……。この仕掛けは見事としか言いようがなかったが、それも、彼女たちの声の魅力があったからこそ、成功したと言えるだろう。前向きで爽やかな印象もありながら切なさや憂いもある。どちらも内包しているのがClariSなのだ。
そこから彼女たちは数多くのタイアップ楽曲を任されるようになり、そのタイトル数も、枚挙に暇がない。歌声だけで、顔を出さないというのもいい方向に転がっていった気がしていて、変なバイアスがかからず、純粋にアニメに寄り添った音楽を生み出すことができていた。2014年に、結成時のメンバーであるアリスが卒業。クララと同じスクールに通っていたカレンが新メンバーとして加入するのだが、歌声の持つ本質的な魅力は、変わらなかったように思う。
デビューから10年が経った2020年。それまでライブ会場のみでしか素顔を明かさなかった彼女たちが仮面を脱ぎ捨てた。それは配信ライブ『ClariS 10th Anniversary Precious LIVE~ Gift ~』でのことだったが、そのニュースはまたたく間に広がり、大きな話題となる。ここで彼女たちは新たな世界へと踏み出し、それ以降は、顔を出して活動をしていく。
そして再びClariSは、大ヒットアニメの主題歌を担当することとなった。TVアニメ『リコリス・リコイル』(2022年)である。こちらもオリジナルアニメーションで、やはり先の読めない展開とキャラクターたちの魅力で徐々に人気となり、後半は毎話放送後にトレンド入りするなど、ほぼお祭り状態になっていた。公式twitterのフォロワー数は放送後も伸び続け、現在オリジナルアニメとしては異例の37万人を超えている。そのオープニングを彩った「ALIVE」は、ClariSの激しさという一面を見せつけた、疾走感のある楽曲だった。また、これは個人的な感想になるが、顔を出したことにより、これまでClariSというひとつのアーティストとして聴いていた楽曲が、クララとカレンの個性を強く感じられるようになったと思っている。
そんなClariSが、アーティストが一発録りのパフォーマンスを披露する人気のチャンネル『THE FIRST TAKE』に初出演している。まず最初に紹介した「コネクト」は、ストリングスアレンジで、2人のユニゾンから始まり、クララの切なく洗練された歌声とカレンの力強くストレートな歌声が響き、そしてそれがまた合わさる。クララのロングトーンの美しさと切なさはデビュー当時から変わらない魅力だ。それにこの曲は、ライブで何度も歌ってきたことにより新たな意味合いも生まれてきている気がしていて、2コーラス目の“振り返れば仲間がいて 気がつけば優しく包まれてた”で、カレンがクララを見つめて歌い、それをクララが優しく受け止めて聴いているシーンは、2人の強い絆を感じられるシーンになっていた。
「ALIVE」は今年の楽曲なので、つい先日最終回を迎えた『リコリス・リコイル』の感動も引きずりつつ聴くことができた。だが、原曲の疾走感とはまた違う、ピアノとストリングスが魅力的な、しっとりとしたアレンジになっていた。やはり2人の声の個性がはっきりと感じ取れるし、サビではユニゾンの力強さとかっこ良さが詰まっていた。ちなみにアニメは、千束とたきなというバディが活躍する物語なのだが、大きな愛を持つ千束はクララ、真っすぐなたきなはカレンのような感じがしたのだが、どうだろうか。
動画からは、当然のことながら2人の高い歌唱力を感じることができるのだが、それだけでなく歌の表現力や、歌詞にどんな想いを込めているのか、そして2人の固い絆がはっきりと感じ取れた。あまり生で歌っている姿を聴いたことがない人にとっては、ClariSの新たな魅力を感じられるような動画になっていたのではないだろうか。ぜひ何度も繰り返し見て、彼女たちの世界に浸ってほしい。
文◎塚越淳一
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開場 17:00 / 開演 18:00(予定)
■会場
TOKYO DOME CITY HALL
https://www.tokyo-dome.co.jp/tdc-hall/
■チケット料金
全席指定 8,000円(税込)/枚 ※別途ドリンク代 ¥500
※6歳以上チケット必要/未就学児童(6歳未満)入場不可
※1公演につき2枚まで申込可能
問:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00〜15:00)
ClariS HALL CONCERT 2022〜Let's Snow Parade!〜情報
https://claris-room.com/ClariS-HALL-CONCERT.html
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