ANZA(HEAD PHONES PRESIDENT)が見せる、ソロ活動の歴史

ポスト

HEAD PHONES PRESIDENTのボーカルを務めるANZAが、ソロ活動30周年を記念したライブ<Anza 30th Anniversary Solo Live>を2022年10月9日、東京・天王洲アイル KIWA TENNOZで行った。

活動のメインはロックバンドアーティストだが、ソロアーティストとして、ミュージカル俳優としての顔をもつ彼女。今回のステージは、時代ごとに、作品ごとに、ゲストを迎えてステージとなった。

第1部は、ANZAソロ。1998年リリースの「Dream」でスタート。続いて、「扉を開けて」。いずれも20代で歌った曲だ。アイドル感もあるポップな曲は、ロックアーティストである今とは違うが、曲に合わせた表情を見せる彼女は、まさに演者だと感じる。MCでは、30周年を迎えたこと、年齢を重ねたことに触れつつ「永遠の38歳」宣言を。

彼女のソロ活動は、20代、30代、40代にリリースがある。20代での歌のあとには、2006年にリリースした「彼方へ」。彼女自身が作詞にも関わった曲には、生きてきた日々の苦しさや叫びや未来への希望が歌われている。そして、2021年40代でリリースしたアルバム『Voice of My Heart』へ。「My Will」「Guiding Light」「Forever」は、どの曲にも“生きる”という言葉が歌われた、生きづらいといわれる今の時代を、象徴するメッセージソング。彼女自身の経験、現実、未来への思いが言葉に乗っている。


続き、本田美奈子.さんのように美しくは歌えないかもしれないけれど自分らしくと、「Amazing Grace」。この曲もまた、“生きる”ことがテーマだ。そして、ベッド・ミドラー主演・主題歌のジャニス・ジョプリンをモデルにロック歌手の生涯を描いた映画『ローズ』から、事故で亡くなった初恋の人への思いを歌った「Dearあなたへ」。

ミュージカル共演もある笠原竜司さんが、ウクレレを始めたと聞き、制作を依頼し一緒に歌った「旅の栞」。1部ラストは、ソロで歌うのは初めてというセーラームーン楽曲「“らしく”いきましょ」。

第2部は、出演ミュージカルの楽曲を、舞台を共にしたゲストを迎えて。『AIDA』から「ファラオの娘だから」。『GIFT』からは、小田マナブさんを迎えて「笑ったら」、「GIFT」、「空を見上げてごらん」。ライブであるにもかかわらず、ミュージカルのシーンを見るよう。生きることの苦しさ、自らの命と向き合うことを伝えるストーリーは、今の時代にも響く。

そして、エレン役を演じた『ミス・サイゴン』から「I Still Believe」、エポニーヌ役を演じた『レ・ミゼラブル』からは、泉見洋平さんを迎えて、「プリュメ街~心は愛に溢れて」、「オン・マイ・オウン」、「恵みの雨」、「カフェソング」、「ピープルソング」。途中“小僧がバリケードを登ってくるぞ!”のセリフが入り、ミュージカルの世界に引き込まれる。

ミュージカル俳優としての彼女の存在は、HEAD PHONES PRESIDENTのボーカリストANZAとは、まるで違うようにも見えるが、彼女の歌に対する思い、生きることに対する思いはきっと同じだ。それが、彼女の声から痛いほどに伝わってくる。

そして、ANZAのソロ活動と同じく、原作コミック開始30周年を迎える『美少女戦士セーラームーン』。1993~1998年まで主役の月野うさぎを演じた彼女は、ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』を経験したことで思いを込めて歌うことを知ったという。セーラーマーズを演じた岩名美紗子さん、笠原竜司さんを迎えて「思い出してあなたを」「アマゾンからサーカス団がやってきた」「ギャラクシアの独裁」を。その後、岩名美紗子さん共に7曲のメドレーも披露。


ライブラストは、『Voice of my heart』に収録されている「ひとりじゃない」。ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』を終えたあとに作ったという曲。ミュージカルは終わったけれど、スマイルを忘れず生きていこう、という思い。コロナ禍で“ひとり”を感じてしまうことが多い今だからこそ、ひとりじゃないことを伝えたい。そして、客席に向かい「今日こうやって会えることは、ひとりじゃない」と伝える。

1部、2部合わせて3時間を超えるステージ。彼女の声は、まさにギフトだ。ソロとミュージカル、違うスタイルの歌を、完璧な声で歌いあげる。常に声を鍛え、守り続ける彼女だからこそ、作り上げることができたライブだ。

2022年11月17日~20日まで品川プリンスホテル ステラボールで上演される<「美少女戦士セーラームーン」30周年記念 Musical Festival -Chronicle->では、11月17日にゲスト出演する。

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/


<HEAD PHONES PRESIDENTライブ>

2022年12月21日(水)
@東京・WildSide
OPEN 19:30 / START 20:00
ADV TICKETS:5,000(+1Drink)
DOOR TICKETS:5,500(+1Drink)

◆HEAD PHONES PRESIDENTオフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報