【ライブレポート】零[Hz] 、「胸を張って俺達カッコいいぞ、俺達最強だぞと言える」
4月13日に前作から約2年10ヵ月ぶりとなるフル・アルバム『ZODIAC』をリリースし、4月16日から全国ツアー<ZODIACT TALE TOUR>へと旅立った零[Hz]。
力強さと洗練感を巧みに融合させた独自の音楽性を継承しつつより魅力を増した『ZODIAC』は高い評価を得たし、<ZODIACT TALE TOUR>は全36本とロングツアーで、さらにファイナルは零[Hz]史上最大キャパとなるZepp DiverCity TOKYOという形で開催。そんな彼らを見ているとパンデミックの影響で弱体化したり、迷走したりすることは全くなく、逆にパワーアップしたことを強く感じずにいられない。
◆ライブ写真
<零[Hz] ONEMAN TOUR「ZODIACT TALE:ACT1」>の初日から5ヵ月あまりを経て、最終公演が9月27日にZepp DiverCity TOKYOで開催された。今回のツアーの充実ぶりを裏づけるように、ファイナル公演はウィークデーでいながら多くのファンが集まり、Zepp DiverCity TOKYOの場内は開演前からいいムードで賑わっていた。
アッパー&サイバーなオープニングSEが響き渡り、零[Hz]のメンバー達がステージに姿を現した。客席が湧き立つとなる中、ライブはパワフル&スタイリッシュな「ZEUS」で幕を開け、華麗な雰囲気の「DISTURBO」、メタリックなサウンドとROY(Vo)のパワフルなボーカルを活かした「惡鬼招雷」などを続けて聴かせる流れからスタート。激しいパフォーマンスを展開しながら爆音を轟かせる零[Hz]に応えてオーディエンスも熱いリアクションを見せ、ライブが始まると同時に場内のテンションは一気に高まった。
3曲聴かせたところで、「Zeppに立っちゃってるよ、俺達がよ!」とROYが挨拶。「今日は零[Hz]がワンマンライブを開催する会場で、1番大きい箱でございます。<ZODIACT TALE TOUR>が無事に今日を迎えられて、本当に嬉しく思います。そして、皆さん集まってくれて、どうもありがとうございます! 俺達の最高の音楽とロックを、Zepp DiverCityに響かせようぜ!」という熱いMCに続けて、セカンドブロックではRio(G)とLeo(G)が奏でるパーカッシブなアコースティックギターをフィーチュアした「raison d’etre」や、TEIKA(B)のワイルドなベースソロから、ハードチューンへと移行する「IDEATRUMP」、躍動感に溢れた「Othello」などが演奏された。
眩いオーラを発しながらステージを行き来して、力強さとエモさを兼ね備えた歌声を聴かせるROY。グラムロックに通じる退廃的なイメージとソリッドなギターワークのマッチングが最高にカッコいいRio。クールな雰囲気の立ち居振る舞いと職人を思わせるテクニカルかつフレキシブルなギタープレイで魅了するLeo。感情を露わにしてパフォーマンスしながら重厚にウネるベースサウンドを紡いでいくTEIKA。強い存在感を発して、勢いと安定感を併せ持った上質なドラミングを展開するRYOGA(Dr)。メンバー全員が個性をアピールすることで生まれる零[Hz]の強固なバンド感は本当に魅力的だし、幅広い楽曲を披露しつつ、常にサウンドがタイトだったのもさすがといえる。
ライブ中盤では翳りを帯びたスローチューンの「Is This Love~夜明けの前~」が届けられた。心に染みるROYのボーカルと楽器陣が奏でる抒情的なサウンドは聴き応えがあって、深く惹き込まれる。力強く突き進んでいくライブの中で、こういうエモーショナルなナンバーをしっかりと聴かせる辺りは実に見事だし、彼らのバンドとしての表現力にさらなる磨きがかかったことも強く感じさせた。
「2020年はステージに立つ俺の目の前にあったのは、モニターとカメラ達でした。でも、今日は沢山のファンのみんな、そして零[Hz]のみんなと音楽ができています。ありがとうございます! この2年で、ここまでやって来れました。これから先も俺達と一緒に未来の幸せを掴んで、そして零[Hz]らしいライブをいっぱいしていきましょう! 聴こえるかい、チームゼロヘルツ(ファンの呼称)! やろうぜ! 楽しみつつ飛ばしていくぜ!」というROYのアジテーションからライブは後半へ。
パレード感を湛えた独自のダンステイストが光る「enigma」やスリリング&ハードな「VENOM」、アグレッシブに疾走する歌中とアッパーなサビを配した「BAKEMONO carnival」などが畳みかけるように演奏された。フィジカルなステージングを織り成しつつ爽快感に溢れたサウンドを聴かせるメンバー達と華やかなリアクションを見せるオーディエンス。場内のボルテージはどんどん高まっていき、本編を締め括りとして心に響くサビを配した「TRAUM」が演奏されると盛り上がりは最高潮に達した。Zepp DiverCity TOKYOは零[Hz]とオーディエンスが放出する膨大なエネルギーが渦巻く空間と化した。
ロングツアーでメンバー個々が得たものを遺憾なく発揮して、最終公演で更なる進化を遂げた姿を披露した零[Hz]。『ZODIAC』の収録曲をメインにしたセットリストで完成度の高いライブを披露したのはさすがの一言に尽きる。パンデミックが起こり、思うような活動が行えなくなった中でも彼らは気持ちを切らせることなく、逆に爪を研ぎ続けていたことが伝わってきた。
もうひとつ、今回の公演は深い世界観とコンパクトなサイズを兼ね備えた楽曲を相次いで聴かせる構成で、なおかつ夾雑物が一切ないため凝縮感や緊密感に満ちていることが印象的だった。そんな零[Hz]のライブは現在のファンが求めているものと完全に一致している。時代感を読み取る鋭いセンスを持っていることも零[Hz]の大きな強みであることを感じさせた。そんな彼らは“ヴィジュアル系が香る個性的なロックバンド”として、今後より多くのリスナーを虜にしていくに違いない。今回のライブの終焉後に早くも次の動きがアナウンスされたこともあり、今後の零[Hz]も本当に楽しみだ。
最後に、アンコールを終えた後にメンバーそれぞれが語った言葉を記しておこう。
「バンドをやっていて良かったなと思うし、この日が自分達の証明になるんだなと思います。なので、これからもよろしくお願いします」(Rio)
「<ZODIACT TALE>Act1とAct2で合計36本、零[Hz]としても最長のツアーを組んで、今日このメンバー5人とみんなでZepp DiverCityに集まれたことを本当に誇りに思えます。ありがとうございます。俺らは音楽を始めてから長くて、楽しいこともいっぱいあると同時に逃げたくなるときもあったけど、今日ステージからみんなの顔とかを見ていて、音楽をやって、この5人で零[Hz]というバンドでライブができている今は本当に幸せだと思いました。まだまだカッコいい音楽を届けられると俺らは確信しているので、これからも皆の生活の糧になれるような活動をしていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」(RYOGA)
「本当に、俺今月入ってからずっと緊張がヤバくてさ。もう昨日は本当に酷くて、目の横がずっとピクピクしてて、さっきまでピクピクしてたの。でも、ライブに出たら治りました。おめでとうございます(笑)。もう本当に、バンドをやってて良かったなと思います。Zeppは2階席から先輩のライブとかを観ていて、いつかやりたいなと思っていた。4年活動して、こうしてZeppに立てたことが本当に嬉しいです。みんなのお陰だと思います。これからもがんばるので、よろしくお願いします」(TEIKA)
「僕はTEIKAと中高生の頃に出会って、1回離れ離れになったりしたけど、こうして零[Hz]でまた再会して。最高のメンバー4人に恵まれて、最高のチームゼロヘルツと一緒にここまで来れて、本当に誇りに思います。これからもカッコいい音楽を沢山届けられるようにがんばりますので、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました」(Leo)
「Zepp DiverCityに今自分が立っていると思うと、まだここから離れたくないというか。もう喋るでもいいからずっとみんなを見ていたいと思うくらい、今日は始まってからすべての1分1秒が本当に楽しかったです。多分まだ見ぬチームゼロヘルツもこの全国にはいて、もっともっと大きい会場もそうだし、いろんな場所でライブをしていきたいと思います。俺達がやってきたことが正しいとか、間違っているとか、人それぞれあるかもしれません。でも、胸を張って俺達カッコいいぞと、俺達最強だぞと言えるバンド、そしてファンの皆だと思います。これからも俺達のでっけぇ旗を掲げて、最高の未来を目指していきましょう。今日は本当に、ありがとうございました!」(ROY)
取材・文◎村上孝之
写真・菅沼剛弘
セットリスト
2.DISTURBO
3.惡鬼招雷
4.raison d’etre
5.IDEATRUMP
6.Othello
7.Is This Love~夜明けの前~
8.エンドロール
9.enigma
10.VENOM
11.BAKEMONO carnival
12.N0.name
13.TRAUM
En-1. The DOPERA
En-2. j am out
En-3. skeles me dop HEADz
En-4. AXIZ
En-5. RENDEZVOUS
リリース情報
NEW SINGLE「DAZZLING ABYSS PARADE」
2022年11月23日 RELEASE
ライブ情報
2022年12月13日(火)横浜Bay Hall
<零[Hz] ONEMAN TOUR「DAZZLING ABYSS PARADE」>
2022年
11月23日(水・祝) 西川口Hearts
11月26日(土) 柏ThumbUp
11月27日(日) 前橋DYVER
12月3日(土) 京都MOJO
12月4日(日) 神戸太陽と虎
12月10日(土) 静岡SUNASH
12月17日(土) 横浜NEW SIDE BEACH!!
12月18日(日) 渋谷WOMB
12月25日(日) 仙台MACANA
2023年
1月13日(金) 福岡OP’s
1月14日(土) 福岡OP’s
1月21日(土) 名古屋SPADE BOX
1月22日(日) OSAKA MUSE
1月29日(日) 高松DIME
-TOUR FINAL-
2023年2月9日(木) 中野サンプラザホール
◆零[Hz] オフィシャルサイト