【インタビュー後編】ammo、“新生ammo”が送り出す2ndフルアルバム『我々の諸々』
大阪スリーピースロックバンドammoが、2ndフルアルバム『我々の諸々』を10月5日にリリース。北出大洋を5月に正式メンバーに迎えて制作された書き下ろしの全11曲を収録している。現体制のバンドをメンバーは“新生ammo”と表現する。ワンマンがソールドアウト、ツアーのチケットも手に入りにくいほど注目されているバンドが生み出した新曲やライブについてのインタビュー後編だ。
■今までは“青”というか“若さ”しかなかったのが
■もうちょっと混沌とした感じになったのかなと思います
──岡本さんと川原さんは高校時代からの長い付き合いで前回の取材では岡本さんの歌詞を見て「こんな詞を書く人は見たことない」っておっしゃってましたが、今回、歌詞や曲調で驚いたことはありました?
川原創馬(以下川原):今回は良い意味で優星っぽくないなと思いました。これまでは送ってきたデモは、「ammoっぽい。いいやん」と思っていたんですけど、今作の曲は「ぽいけど、なんか今までとちゃうな」みたいな。「ホンマに優星?」って気持ち悪かったですよ(笑)。
──いつのまにか違う人に入れ替わってる?ぐらいな(笑)。
川原:なんか、全然、優星っぽくないなって。アレンジするのに今回はけっこう困りました。
──いつもはパッとベースとドラムのフレーズが浮かぶんですよね?
川原:そうなんですよ。だから、自分も新しいことにチャレンジするキッカケになりましたね。優星がいつも通りの感じだったら、「こう来たらこうやな」ってフレーズが浮かぶんですけど。
──例えば、どのへんの曲ですか? ヒップホップでジャジーな「ちょっと思っただけ」だったりとか?
川原:それもめっちゃ悩んだし、「最後は繋がるわかれ道」も何も思い浮かばなくて、大洋くんに丸投げしました(笑)。今回のアルバムはどうアレンジしていいかわからなすぎて、ドラムはあまり考えていないんですよ。
──「この曲は大洋に任せたわ」みたいな感じですか?
川原:そうですね。「なんかカッコ良いのつけてや」って(笑)。
岡本優星(以下岡本):「ちょっと思っただけ」に関してはベースすらもわからんって言ってましたね。ふだん、ヒップホップ調の曲、聴かないしって。
川原:そう。めっちゃ困ったっすね。自分にとって苦でしたね。
──(笑)苦とまでいいますか?
川原:(笑)でも、そのおかげで成長できました。「こういうのもあるんや」って。「ヒップホップのこんなん、あるで」って大洋が参考になる音を見つけてきてくれたり。だから、この3人でしかできなかったなって。
▲Vo.Gt / 岡本優星】
──ほかに今までと違った曲はあります?
川原:「紫春」もそうですね。
──「紫春」はメロディックなベースが間奏でフィーチャーされてますね。
川原:「紫春」はすぐに思いついたんですけど、今までとやっぱりなんか違うんですよね。だから、“我々の諸々”ってタイトルがめっちゃ好きなんです。今までのツアー、ライブを経てのタイトルなのかなって。すごく新しくなっていると思ったので。
──アルバム全体も今までよりちょっと明るいトーンなのでは?
川原:どうなのかな? 確かに。歌詞はひねくれたところがちょっとなくなったのかな。逆にメロディ、コードはダークでカッコ良い感じだと思いました。前まではかわいくてポップで優しい感じだったんですけど、今回は「最後は繋がる別れ道」はロックでパンクな感じだし、「ジブナイル」とか「ちょっと思っただけ」「箱の中から」「おやすみ」も今までと違う。「突風」はらしい感じですけど、僕が聴いた印象ではダーク寄りというか、嵐っぽいイメージ。歌詞は明るくなったけど、曲調は暗めだと思いましたね。
──北出さんはアルバムをどう捉えていますか?
北出大洋(以下北出):自分がサポートで入る前からammoのアルバム『会うは別れの始め』を聴いていたので、奥行きが出て曲の幅も広がったなと完成した時に思いました。
──驚いた曲というと?
北出:やっぱり「ちょっと思っただけ」ですね。「こんな曲、持ってくるんや」って思いました。その曲だけ、他の曲とガラッとサウンドを変えたくて、音作りにレコーディングでも試行錯誤しました。
──「ジュブナイル」とか女性目線の歌詞は生々しかったりしますけどね。
岡本:そうですね。別にモデルがいるわけではないんですけど。韻を踏みつつ、物語を考えつつ、どれだけ仕掛けを盛りこんで、キレイな歌詞にできるか。変化としては歌詞にあまり私情を持ちこまなくなりました。だから、ネチネチした感じじゃなくなったのかな(笑)。自分の気持ちを赤裸々に書くと陰湿な感じになってしまうので、書き方を変えたから僕っぽくなくなったのかもしれない。
川原:その分、メロに出たのかも(笑)。
▲Ba.Cho / 川原創馬
──歌詞に物語性を持たせるようになったということは、自身の気持ちを吐き出していたスタイルとはずいぶん変わったということですものね。
岡本:全部を説明しなくなった感じですね。全く自分のことを書かなくなったわけではなく、自分の気持ちは短くまとめて「どう?」みたいな。最近のライブのやり方も数をたくさんやるより、鋭いのを一発やりたい。歌詞もそういうイメージですね。
──ammoの曲にはパッと聴いて耳に飛び込んでくるキャッチーさがありますが、さらにそこが強調されて、季節の色だったり、色合いが鮮やかになったような印象を受けます。
岡本:ホントにそうですね。今までは“青”というか、“若さ”しかなかったのが、もうちょっと混沌とした感じになったのかなと思いました。
──どんどんライブの動員も増えているんですよね。
岡本:おかげさまでそうですね。
──そんな変化、成長が感じられるammoですが、ライブでどんなリアクションが返ってくると嬉しいですか?
岡本:ずっと好きでいてくれた人、最近、出会ってくれた人にも感謝しています。あと飽きられたくないというか「ammoはもういいや」ってなられるのは寂しいですね。お客さんありきで俺らも続けられている、頑張れているって感じがするので。「今日はちょっとよくないな」と思ってもお客さんが飛び跳ねたりしたら気持ちもアガったりするし、自分たちだけでライブをやっていないなと思います。
──そういう気持ちも今作の新曲たちに繋がっているのかもしれないですね。
岡本:ですかね。
──自分たちだけではない“我々の諸々”が無意識に曲調や歌詞に反映されているのかなって今日の話を聞いて感じました。
岡本:たぶん、そうだと思います。
▲Dr / 北出大洋
──そんなammoの今が生で感じられる『我々の諸々』Release Tour <それぞれの、この頃ツアー>はどんな内容になりそうですか? 今、感じていることを率直に教えてください。
岡本:ツアーとはいえ、ライブはライブなので。
──ツアーには旅という側面もあるので、いろいろな街に行って音を鳴らすって単純にいいなと思うんですよね。
岡本:そうですね。ホントに幸せですね。「カッコ良い曲を作ったので、カッコ良いライブします。だから来てください」しかないかもしれない。それをずっと続けていくだけだと思っているので。
──シンプルですね。新しい曲やるから見に来てとか。
岡本:いいライブするからって。全員、そうだと思います。
──もうまとめちゃいます?(笑)。
川原:今回のツアーからワンマンライブもあるんですよ。対バンとワンマンの違いを見てほしいです。だから、両方、見に来てほしいです。
──対バンだと、こういう曲をセレクトするんだとか?
川原:曲というより、ライブの感じがたぶん、全然違うものやと思います。セットリストは僕が組んでるんですが、たぶんいろいろな曲を演ります。全箇所、違うセットリストになると思います。
──アルバムの曲をやりつつ日替わりメニューのような?
川原:ライブごとに違うふうにするって、今、自分にプレッシャーかけています(笑)。
岡本:(笑)。記事になっちゃうけど。
──載っちゃった以上、同じだと怒られますよ。
川原:ははは。曲数も11曲増えたので、いろんなことができます。楽しみにしていてください。
岡本:(笑)またプレッシャーかけてる。
──北出さんはいかがですか?
北出:そうですね。優星が言っていたみたいにカッコ良いライブを届けるのはもちろんなんですが、ライブって自分たちがいちばん成長できる場所なので、これだけ廻れるのでツアーを通して一皮剥けたらなと思っています。
──3人の共通点の話をしてくれましたが、現時点のバンドの目標は? 武道館でやりたいと思っているバンドもいるだろうし、会場の大きさは関係ないと思うバンドもいると思いますが、ammoの場合はどうでしょう?
岡本:もちろん大きい会場でやりたいですし、どんどん成長したいですけど、近い目標でいうと大阪生まれ大阪育ちなので会場でいうと心斎橋のBIGCATでワンマンができたので次はなんばHatchでやりたいなと思います。
──東京の会場でいうと?
3人:渋谷のO-EASTですね。
──やっぱりライブバンドとして大きくなっていきたいということですかね。
岡本:そうですね。
取材・文:山本弘子
リリース情報
2022年10月5日発売
1.紫春
2.最後は繋がるわかれ道
3.ハート・フル
4.突風
5.おもしろい方へ
6.箱の中から
7.ちょっと思っただけ
8.ジュブナイル
9.包まれる
10.賭け愛
11.おやすみ
ライブ・イベント情報
10.21 東大阪kiruna★
10.25 名古屋RAD HALL★
10.28 山口LIVE rise SHUNAN
10.29 長崎STUDIO DO!
10.30 大分SPOT
11.03 上越EARTH
11.04 水戸LIGHT HOUSE
11.05 長野ALECX
11.07 神戸 太陽と虎
11.11 札幌SPiCE★
11.13 仙台Flying son
11.14 仙台Flying son★
11.15 下北沢SHELTER
11.18 高知X-pt.
11.19 愛媛WStudioRED
11.24 福岡Queblick★
11.25 福岡OP's
11.26 出雲APOLLO
11.27 岡山CRAZY MAMA 2nd Room
★:単独公演
記載なし:対バン公演
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