【速レポ】<JOIN ALIVE 2022>大地に響め島の歌、「沖縄を愛する気持ちは一緒。短い時間でも一つになれたら」

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その音楽は、北国のフェスに沖縄の風を届けてくれた。

◆大地に響め島の歌 ライブ写真

オーガナイザーの宮沢和史の下に、BEGINの島袋優、沖縄とアルゼンチンをルーツに持つシンガー・大城クラウディア、沖縄在住の4人組バンド・HoRookies、伝統芸能をベースに創作エイサーを生み出したグループ・琉球國祭り太鼓より北海道支部のメンバーが集まり実現した企画、“大地に響め島の歌”のステージである。


波の音が聞こえてくると、まずはHoRookiesと大城が登場。HoRookiesの新曲「むるうちなー」を大城の三線とともに届けた。2010年代のギターロックに沖縄民謡を融合、さらにラップを取り入れた曲で沖縄在住、かつ若い世代ならではの音楽という印象だ。なお、“むる”はすべて、みんな、“うちなー”は沖縄という意味とのこと。のちに宮沢から語られたこのライブに込められた想いと通ずる言葉だ。

ここで大城の呼び込みにより宮沢が登場。2曲目は、元々は舞台音楽として沖縄で生まれ、今では甲子園の応援歌として全国に浸透、大城も「沖縄のスタンダード曲となりつつある」と紹介していた「ダイナミック琉球」だ。大城が滑らかに歌い、宮沢がアコースティックギターを爪弾く冒頭はしっとりとしているが、「イーヤーサーサー!」と声を合わせたのをきっかけにバンドの編成を活かした情熱的なサウンドに。コントラストの効いた演奏で魅せたあとの「サーサー節」(沖縄民謡)は、宮沢と大城が三線を弾きながら2人で歌った。




大城が一旦捌けると、宮沢の「素晴らしいギタリストであり、シンガーであり、作詞作曲家でもあります」という紹介を受けて島袋が、さらに琉球國祭り太鼓のメンバーが登場。宮沢の三線が紡ぐイントロに拍手が起こっている辺り、あの曲だと察した人が多かっただろう。浦島太郎こと桐谷健太が歌唱、後にBEGINもセルフカバーした、島袋作曲の「海の声」だ。歌もバンドも太鼓も舞いも一体となり、温かい空気が生まれる。

その後、島袋がエレキギターで弾いたのはあまりにも有名なフレーズ。そう、THE BOOMの代表曲「島唄」だ。沖縄戦とその犠牲者への想いを歌った鎮魂歌。宮沢と島袋、ステージに戻ってきた大城、さらに全員歌えるバンドであるHoRookiesのメンバーと総勢7名で歌い繋ぎ、祈りを繋いだ。テンポアップするアウトロでは、拳を上げる観客もいれば、カーチャシーを踊る観客もいる。





「次の曲はBEGINの代表曲ですけど」(宮沢)、「“恋しくて”って曲を……嘘つきました(笑)」(島袋)と冗談を交えたやりとりを経て、「島人の宝」が披露されるというスペシャルな展開。島袋は「島唄」に引き続き、この曲でもギターヒーロー感溢れるプレイを見せ、バンドを引っ張った。

「今日いらしている方は北海道の方も多いと思うんですけど、沖縄を愛している方が多いと思うんですね」と宮沢が切り出した最後のMCでは、“うちなーんちゅ”という言葉に象徴される、自分の島にアイデンティティを持つ気持ちや、自分は山梨出身であること、琉球國祭り太鼓には北海道の人がいることに言及。



「沖縄を愛する気持ちは沖縄の人じゃなくても一緒ですね。今日のステージは、短い時間でも一つになれたらと思ってプログラムを組みました」と語り、その想いをまさに歌った「シンカヌチャー」を届けた。文化や人に対する愛情と尊重の気持ちが形になったエンディング。……いや、むしろこれは始まりかもしれない。例えばライブ終わりの帰り道、歌詞の意味を調べ、演奏曲に込められたメッセージを受け取ることで、あの空間に流れていた温かな空気はもっと継続的なものとして育っていく気がする。

取材・文◎蜂須賀ちなみ
撮影◎中河原理英

<JOIN ALIVE 2022>

日程:2022年9月3日(土)、4日(日)
時間:開場 9:00 / 開演 11:00 / 終演 20:30予定 ※雨天決行
会場:北海道・いわみざわ公園〈野外音楽堂キタオン&北海道グリーンランド遊園地〉(北海道岩見沢市志文町794番地)

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