【速レポ】＜JOIN ALIVE 2022＞トップバッター・THE ORAL CIGARETTES、「音楽シーンを支えてくれているのはあなた」

いよいよ始まった＜JOIN ALIVE 2022＞。新型コロナウイルスによる感染症の拡大の影響で2020年、2021年はやむなく中止を決断。今年が3年ぶり、待望の開催だ。

◆THE ORAL CIGARETTES ライブ写真

開演時刻になると、これから最初のライブが行われるROSE STAGEに＜JOIN ALIVE 2022＞の主催、株式会社マウントアライブの代表取締役・山本博之氏が登場。「みなさん、＜JOIN ALIVE＞へようこそ！　こうしてまたみなさんにお会いできることを嬉しく思っています」と挨拶すると、11回目の開催にあたる今年は、今までで一番いわみざわ公園を広く使い、来場者が安心してライブを楽しめるよう準備を進めてきたと明かし、「我々スタッフ一同も安全に楽しんでもらうよう努めていくので、ぜひお客さん同士も協力し合いながら、楽しい2日間にしましょう。よろしくお願いいたします！」と伝えた。

「2018年にROSE STAGEでトリをとってくれたバンドを紹介します、THE ORAL CIGARETTESです！」と山本氏が呼び込むと、THE ORAL CIGARETTESが登場。早速何発か音を鳴らす4人。いつになく笑顔が多く、リラックスしているなと思いきや、彼らが指さす先を追うと、マイクにトンボが止まっていた。バンドで鳴らすキメに合わせて山中拓也（Vo,G）が「ただいまより！」と挨拶するライブ恒例の“4本打ち”には、「今日はTHE ORAL CIGARETTES with トンボ2匹でお送りさせていただきます」とアレンジが加えられる。





インディーズ時代から歌い続けている「Mr.ファントム」でライブはスタート。タイトな4つ打ちとユニークなギターリフで進行しつつも、大胆に音像を変える中間部も印象的なアッパーチューン。“見えないAITSUは＜JOIN ALIVE＞を真っ二つにする”という日替わりの歌詞替え、鈴木重伸（G）、あきらかにあきら（B,Cho）が大きくジャンプしてから突入するラスサビの躍動感など、ライブだからこその醍醐味も盛りだくさんだ。16分のリズムを勢いよく鳴らすイントロから始まるのは「Shala La」で、こちらは禍々しい雰囲気。一方、バンドの肉体性が時折表出するアレンジになっており、例えばアウトロでは、ステージ最後方から中西雅哉（Dr）が踏み鳴らすバスドラが私たちをさらに熱い気持ちにさせてくれる。

「先ほども言っていただきましたけど、2018年にトリをとらせていただきまして、（トップバッターとして）帰ってきました。ここからまた……（指を折って数えながら）多分、7、8年後くらいにまた（トリに）返ってくるんでしょうね」と山中。そんなMCの直後は、ラップを交えながら畳みかける「ENEMY feat.Kamui」。そして「さあ＜JOIN ALIVE＞、思いっきり腕振って遊んでね」と観客を踊らせたのは、最新曲の「BUG」。さらに「この広大な土地で少しゆっくりした曲を」と紹介されたのはフェスで披露されるのは珍しい「Hallelujah」だ。ヒップホップやダンスミュージック、ゴスペルなどの要素を取り入れながら、2020年代ならではのミクスチャーロックを打ち出す彼らの現在地を見せるセクションとなった。



「Hallelujah」では、「何が正義か、何が正しいか、それはあなたが決めるものです」（山中）という言葉を添え、自分が好きな音楽を大切に思う気持ちを元に判断、今日ここに来ることを選択したオーディエンスを讃えていた山中。最後のMCでは、支えてくれる人、待ってくれている人がいるのは当たり前じゃないと前置きし、「コロナ禍でみんなも思うように暴れられないと思うし、マスクして苦しいやん。でも音楽シーンを支えてくれているのは、こうやってフェスティバルに来てくれているあなたですので。これから先も一緒にこのシーンを支えてほしいと思っています」と語った。

さらに「いち早く、元々あった＜JOIN ALIVE＞の形に戻ったらと思っています。俺、その時はここじゃなくてサーカス（VELVET CIRCUS）でやりたいです。大きいステージ、ありがたいですけど、やっぱり俺らはライブハウス出身のバンドなので」とかつてのライブハウスにあった、心も身体も“密”になれる光景に想いを馳せると、ラストには「カンタンナコト」、「狂乱 Hey Kids!!」を演奏。



ライブハウスを彷彿とさせる熱い演奏に願いを乗せた。カメラマンをステージ中央に呼び込み、盛り上がる観客をバックに写真を撮ってもらう山中。鈴木とあきらが揃ってタッピングしたあとのギターソロ。直後、中西による追い込み。「心で飛ばしてくれ！　声出せる日のことを願ってな！」と伝えてからのDメロ。そうして突入したラスサビでは熱い気持ちのまま、“出会うはずだったお前と！”と歌詞を替える。全曲を終えると、中西も前に出てきて、観客に手を振ってから去っていった4人。爽やかな高揚感が余韻を呼び、＜JOIN ALIVE 2022＞の朝を彩った。

取材・文◎蜂須賀ちなみ
撮影◎岸田哲平