【ライブレポート】BREAKERZ、デビュー15周年記念公演＜Crystal＞に感涙「“M O S”＝みんなでお祝いしようぜ！」

BREAKERZが7月23日、デビュー15周年記念ライブ＜BREAKERZ XV -Crystal-＞をLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催した。先ごろ公開したオフィシャルレポートに続いて、詳細レポートをお届けしたい。

◆BREAKERZ 画像

会場にペンライトの光が揺れる中、LEDスクリーンに15年のヒストリーを振り返る映像が映し出された。そのスクリーンが上がるとセットの階段の上に浮かび上がった3人のシルエット。スモークが噴射される演出の中、ゆっくりと階段を降りるAKIHIDEとSHINPEI。サングラスをかけたDAIGOのみポジションはそのままに、オープニングナンバーとなった1stシングル「SUMMER PARTY」へ。“Crystal”の名にふさわしいキラキラしたアニバーサリー仕様の衣装をまとっての華やかなステージング。ポップチューンから骨太なギターリフで始まる「NO SEX NO LIFE」へと初期ナンバーが立て続けに放たれた。


「デビュー15周年ライブ＜BREAKERZ XV -Crystal-＞へようこそ！ ついにこの日がやって来ました。ホントにいろいろあったんだけど、今日このステージに立つことができて、ライブを開催できて、嬉しく思ってます。そして、15周年記念ライブを僕たちの思い出の地である渋谷公会堂で開催することができてホントに嬉しく思っています。世の中、大変な状況になってますけど、今日、来てくれたみんなのために、BREAKERZの15年を思いきり楽しんでもらおうと思うので。最後まで楽しんでいってください。ということで、“M O S”＝みんなでお祝いしようぜ！」──DAIGO

アンコールで改めて明かされたのだが、この日、BREAKERZの3人と共に15年の日々を歩んできたサポートメンバーのMAKOTO(Dr)とMatsu(B)が新型コロナウイルス感染により、参加が困難に。リズムセクションとして急遽、城戸紘志(Dr)とDAICHI(B)が加わったのが約1週間前のことだったという。




アニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマに起用された「Miss Mystery」ではLEDスクリーンにメンバーの姿が映され、2022年のBREAKERZが落とし込まれたスタイリッシュなヴァージョンへと進化。続いて演奏された「闇夜に舞う青い鳥」はエッジの効いたバンドサウンドと憂いのあるメロディが絶妙に溶け合うナンバーで、ミュージックビデオに登場した青い鳥の絵がスクリーン映し出される。DAIGOは鳥が飛び立つポーズでエンディングを締めくくった。AKIHIDEとSHINPEIのギターバトルがあまりにも刺激的な「CLIMBER×CLIMBER」では客席から拳が突き上げられ、セクシーなドレスに身を包んだダンサーが登場してDAIGOに絡みつく「BAMBINO 〜バンビーノ〜」はラスベガススタイルのショーアップされた演出で魅せた。ステージを見ながら、BREAKERZと過ごした思い出のライブシーンが蘇った人も多かったのではないだろうか。

メンバー紹介ではまず最初にDAIGOから、感謝の気持ちを込めて城戸とDAICHIが紹介された。そしてSHINPEIは「なんと素晴らしい景色が目の前に広がっているんでしょうか。本当にたくさんの人が集まってくれました」とコロナ感染が増大する中、会場に足を運んでくれたファンを目の当たりにして涙で言葉を詰まらせ、DAIGOが「俺の汗拭いたヤツだけど」とタオルを差し出す。AKIHIDEはライブに来てくれた人、来たくても来られなかった人に感謝の想いを述べ、「私、体調管理という名の下に最近、全く食事制限してまいりませんでした。もしかしたら、ちょい大きくなったAKIHIDEになっているかもしれないですけど。余分に獲ったカロリーは今夜、使い切ります！」と場内を和ませた。そしてDAIGOは唐突に自身出演の料理番組『DAIGOも台所』のテーマ曲を流しての自己紹介。「どうしてもこれがやりたかったんですよね」と笑顔を見せた。また、L'Arc-en-Cielのライブを観に行ったことに触れ、「歌えなくても、口を開けないハミングはOKらしいんです。楽しんでほしい」と客席に呼びかけた。


「BREAKERZの15年、僕たちが活動している中で東日本大震災があったり、最近では新型コロナウイルスが蔓延して、世界では戦争が行われたり。いろんなことがある中、本当にここはみんなと一緒にいることができる瞬間なんだと改めて思っています。そういう想いが込められた、僕たちにとってすごく大事な曲をここにいる全員に届けたいと思います」──DAIGO

会場を包むように鳴らされたのはAKIHIDEがダブルネックギターを奏でた2ndシングル「世界は踊る」、続いてSHINPEIがイントロでアコギを弾いたミドルチューン「オーバーライト」へ。練りに練られたであろうセットリストはBREAKERZの多面的な魅力を伝えていく。アッパーなロックナンバーのみならず、普遍的で染みてくるメロディの曲をまっすぐに届けられるDAIGOのボーカルも彼らの強みだ。

中盤ではスクリーンにBREAKERZの15周年を祝う錚々たる顔ぶれからの動画メッセージが映し出された。10周年のバトルイベント＜10番勝負＞で共演した超特急や親交が深いゴールデンボンバー。＜10番勝負＞をキッカケに2020年の15周年ライブにゲスト参加する交流が生まれたというGRANRODEO。初期からの付き合いでBREAKERZ初の日本武道館のリハを見て涙した思い出があるというカンニング竹山と番組で共演して以来の付き合いの安めぐみ。同じく長い付き合いで「闇夜に舞う青い鳥」のミュージックビデオにも出演している山本耕史。レーベルの先輩でBREAKERZのレコーディングにもゲスト参加しているほか、DAI語で温かいメッセージを送った倉木麻衣。敬愛する大先輩で＜10番勝負＞やレコーディングでの共演も話題となったGLAY、BREAKERZのヒストリーはこの人なしでは語れないHYDE、そして最後は『YOSHIKI CHANNEL』でも共演したYOSHIKIからのお祝いメッセージで締められた。




ライブ後半は3人がステップを踏みながら歌い演奏した「Everlasting Luv」で始まり、コロナ禍という時代を反映して生み出されたメッセージソング「UNDER THE MASK」へ。新旧織り混ぜたセットリストにはレア曲も盛りこまれ、まさにBREAKERZの15年を凝縮したもの。スクリーンにアメコミ風の映像が映し出された「LOVE STAGE」でポップに弾け、DAIGOが「久しぶりの曲をやりたいと思います」と予告したアニバーサリーライブのタイトルにピッタリの「Crystal Night」では配信で観ている人にも呼びかけ、振り付けをレクチャー。ミラーボールの光が反射するカラフルな照明の中、ダンサーたちと華やかなアクトを繰り広げた。

DAIGOとAKIHIDEがお祝いメッセージを送ってくれたアーティスト全員とのエピソードを話しながらお礼を述べたMCは、こんな誠意ある姿勢も愛される所以なのだろうことがよくわかるシーンとなった。そして、「ペンライトを青にできますか？」と客席に呼びかけ、演奏されたのは、昨年『名探偵コナン』のエンディングテーマに起用された「SWEET MOONLIGHT」だった。また、DAIGOがくるくる回ってダンスした「絶対 ! I LOVE YOU」ではAKIHIDEとSHINPEIのツインギターの見せ場やパフォーマンスも楽しく、きっとマスクの下はみんな笑顔に。「思いっきり楽しんでほしい」と前半でメッセージしたDAIGOの言葉通り、最後まで飽きさせないステージ運びだ。


終盤戦は“今宵 封印された 禁断のあの曲を 解禁”というテロップの後に、BREAKERZ史上最も不埒な色気のあるシャッフルナンバー「REAL LOVE」が放たれた。軍帽を被ったDAIGOとAKIHIDEの禁断のチェインプレイも健在。客席を魅了した後は、タオル回しでおなじみの「灼熱」で会場をクライマックスへと導き、「オマエら、まだまだ暴れられるだろ!?」とDAIGOが叫んだ「DESTROY CRASHER」で客席も全力でヘドバン。BREAKERZの変わらぬ熱量で会場を昇天させ、本編が終了した。アンコールではスタッフからのサプライズで15周年を祝うケーキがステージに運びこまれた。

「15周年、嬉しいね。やっぱり」──DAIGO
「バンドで15年やるなんて思ったことなかったからね。ホントみんなのおかげです。ありがとうございます」──AKIHIDE
「嬉しくて嬉しくて胸いっぱいですよ。15年やってきてよかったですね」──SHINPEI

感謝の気持ちを込めて、この日のために制作された新曲「LIKE A CRYSTAL」が届けられたこともスペシャルサプライズ。キラキラ輝くナンバーはBREAKERZとファンの月日を繋ぐ曲だ。“僕たちの誓いは 限界をぶっ壊す！ BREAKERZ!!”というメッセージが盛り込まれていたのも印象的だった。


「いろんな人たちに助けられて、ここまで歩んできた」と語るDAIGOが、途中で溢れる涙に言葉を詰まらせながら伝えたメッセージにも胸を打たれた。

「BREAKERZは3人で始まって、3人で続けてきて。このバンドを僕は誇りに思っています。そして、こういう大変な時にも関わらず、この場所に集まってくれたみんなは何より大切な存在です。本当にありがとうございます。この15年、みんなが俺たちを照らしてくれました。この先も20年、30年、音を奏でて、BREAKERZのファンであることをもっと誇りに思えるようなバンドに絶対になっていきたいと思っています。そして、みんなが辛い時、俺たちがみんなの心の中にいて、みんなを元気づけられるバンドで絶対にいたいと思ってます」──DAIGO

「みんなをありったけの想いで照らしたい」と演奏されたのは愛に溢れたナンバー「光」。熱唱するDAIGO。みんなのハミングが場内に響きわたった。


ダブルアンコールに登場した3人は感無量の表情。「この時間が永遠に続けばいいのに」と口にしたDAIGO。「ひとつ言えるのはBREAKERZに対する愛だけは俺、自分の中で世界最強だったなと思います」と宣言したSHINPEI。「マスクをしてようがどんなことがあっても、みんなと一緒だったらこれからも乗り越えていけるんじゃないかなと強く感じました。ありがとうございました」と強い気持ちを伝えたAKIHIDE。彩り豊かな楽曲たちをBREAKERZという1本の線で結んだような濃密でエンターテインメントなライブは15年という月日を経て彼らがワン・アンド・オンリーなバンドになっていることを証明していた。

急遽の決定だったにも関わらず、全ての曲をマスターして素晴らしい演奏を届けてくれた城戸とDAICHIに改めて感謝の言葉を述べ、バンドのヒストリーを支えてくれたMAKOTOとMatsuの写真もスクリーンに映し出された。

「また新しいスタートが始まるぞ！」──DAIGO

ラストを飾ったのは青春感たっぷりの「GRAND FINALE」。3人からのメッセージ入りのゴールドとシルバーのテープが勢いよく放たれ、お立ち台で並ぶ3人が一瞬、少年のように見えた。鳴り止まない拍手。BREAKERZの15周年イヤーはここから始まる。

取材•文◎山本弘子
撮影◎達川範一(Being)