【ライブレポート】eill、「最高な24歳の幕開けになりました」

メジャー1stアルバム『PALETTE』のリリース後、東名阪を巡った＜BLUE ROSE TOUR＞。eillの誕生日である6月17日、神奈川・川崎CLUB CITTAで追加公演が行われた。このライブの模様をレポートする。

◆ライブ写真

ブルーのライトに染まったステージにバンドメンバーたちが現れたのに続いてeillも登場。待ちわびていた観客の拍手が高まった。そして最初に届けられたのは「花のように」。歌声を伸び伸びと響かせる様が眩しい。温かなサウンドに包まれながら自由に羽ばたくように歌う姿に一気に引き込まれた。


続いて「palette」がスタートすると観客の手拍子が加わり、ますます鮮やかな色合いを浮かべた歌声。骨太なビートを巧みに乗りこなしながら歌った「Night D」を経て「ただのギャル」に突入すると、ダンスユニット・GANMIが登場。切れの良いパフォーマンスが繰り広げられた。彼らと一緒に踊りながら歌うeillが、とにかく抜群にかっこいい。　「((FULLMOON))」は、椅子を効果的に用いたパフォーマンスが印象的だった。彼女を中心としながらGANMIのダンサーたちが次々現れる様がドラマチック。ミュージカルの一場面のような空間が生み出されていた。


「会えない時にみんなから手紙をもらったりして、いつも心がほくほくしていました。手紙っていいなあって思って。想いを伝える素敵なツールですよね。私もみんなにお手紙を書いてきました。大切なみんなに今からその手紙を読もうと思います」と語り、手書きで歌詞を綴った便箋を手にしたeill。

アコースティックギターによる伴奏で届けられた「letter...」は、優しく語りかけてくるかのようだった。続いて「いけないbaby」も披露された後、会場内のムードを一気に温めたのが「HARU」。GANMIのダンスパフォーマンスが再び加わった「FAKE LOVE/」と「ここで息をして」も、観客の軽快な手拍子がライブならではのフレッシュな熱気を感じさせてくれた。


「今日はお誕生日なんです。24歳になりました」と少し照れくさそうに言ったeill。たくさんの観客から祝福されて、「今まで生きてきて一番素敵なバースデイです」と言いつつ浮かべた笑顔が明るい。「2019年から＜BLUE ROSE TOUR＞というタイトルでツアーを始めました。青いバラは“不可能を可能にする”という花言葉。私もそんな自分でありたいし、このツアーに来る度にみんなのできることが1個増えていたりして、お互いに報告し合えたら素敵だなと。だから“やっぱ＜BLUE ROSE TOUR＞にしよう”って思ったんです」と、今回のツアータイトルについて説明した後、彼女はさらに語った。

「“自分のヒーローって誰だろう？”って考えた時、“やっぱり自分だな”って改めて思いました。だって自分の人生を変えられるのも、自分を救えるのも自分しかいないんだもん。私はずっと友だちみたいにみんなのそばに居続ける音楽でありたいなって思っています。つらいことがあったらいつでも話してください。呼んでください。イヤホン越しでも、ライブでも、近くにいても、遠くにいても、どんな時もみんなのことを見守っています。みんながみんなのヒーローになれます。みんながみんなのスポットライトになれます。みんながみんなの中にある光に気づけます。忘れないでほしいのは、いつだって人生の物語の主人公はあなた自身だっていうこと」──このメッセージを添えて歌い始めた「SPOTLIGHT」は、耳を傾けていると自ずと心が鼓舞される素敵なひと時であった。


「20」で鳴り響いた観客の手拍子は、「23」がスタートすると、一際力強さを増した。20歳から23歳となり、その先でさらに重ねた日々の濃密さを、彼女は歌いながら実感していたのかもしれない。本来ならば“23”である部分を“24”に替えて歌い終えた瞬間、前進を続けようとしている姿勢がまっすぐに伝わってきた。そして本編は締め括られたのだが、鳴りやまない手拍子に応えて、すぐにステージに戻ってきた彼女。バンドメンバーを紹介した後、集まった観客に改めて感謝する姿が、とても活き活きとしていた。


配信がこの日にスタートした新曲「HAPPY BIRTHDAY 2 ME」のミュージックビデオのディレクションを自身で務めたことに触れた後、全国9ヶ所を巡るツアーを秋に行う旨も発表したMC。そして、「最高な24歳の幕開けになりました。本当にありがとう。“自分、おめでとう！”って心の中で叫びながら聴いてくれたら嬉しいです」という言葉を添えた「HAPPY BIRTHDAY 2 ME」をアンコールで披露。どんな状況だったとしても誕生日ぐらいは自分自身を祝福することを提案するこの曲は、爽やかなエネルギーを体感させてくれた。

全曲を届けた後、バンドメンバーやGANMIと一緒にステージ上に並び、深々とお辞儀をしたeill。「ありがとうございました！」と生声で感謝の言葉を届けた彼女を、大きな拍手が祝福した。24歳の素敵な第一歩は、今後の活動を支える力になっていくに違いない。

取材・文◎田中大
撮影◎山川哲矢

■＜BLUE ROSE TOUR 2022＞
2022.06.17 川崎・CLUB CITTA'公演セットリストプレイリスト
https://lnk.to/BLUEROSETOUR2022_CLUBCITTA



◆eill オフィシャルサイト