【インタビュー】MARiA、2ndアルバム『Moments』発売「自分の好きが詰まったアルバムになった」
GARNiDELiAの活動と並行してソロワークスを展開するMARiA。2021年にリリースした1stアルバム『うたものがたり』に続き、2ndアルバム『Moments』を6月22日に発表。
◆撮り下ろし画像
アルバムには、テレビアニメ『闘神機ジーズフレーム』エンディングテーマ「Galactic Wind」、スマホ向けRPG『メメントモリ』キャラクターラメント「Pray」、アニメ『Artiswitch』MVシリーズ#09「Labyrinth」ほか、全10曲が収録される。
また、luzと堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)とのコラボレーションも実現。そのほか、アルバムにはevening cinemaの原田夏樹やCarlos K.、GARNiDELiAのtokuも参加している。
今作も、多様なクリエイターとのコラボによる新しいMARiAを感じることができるはずだ。誰もが感じたことがある“一瞬”を切り取った全10曲を収録した今作について語ってもらった。
◆ ◆ ◆
■みんなが経験したことがある瞬間や景色を切り取った曲が集まりました
──ソロとユニットでは、どういう棲み分けをしているのでしょうか。
MARiA:GARNiDELiAとしての活動も13年目になるのですが、どうせソロをするのであれば、ユニットではできないことがしたいと思ったんです。GARNiDELiAのMARiAとしての在り方は、すでに確立されていて。「GARNiDELiAのMARiAはこういうことは言わないよな」みたいに、自分で作詞やプロデュースをしているユニットだからこそ貫いてきたこだわりがあるんですよね。なのでソロは「こんなMARiAもいるの?」という発見の場所にしたかったし、音楽を楽しむ遊び場みたいな感覚もあります。なので1枚目の『うたものがたり』は、あえて私が作詞をせず、いただいた楽曲をすべて受け入れて歌うということをしてみたんです。
──リテイクなどもせずに?
MARiA:はい。来たものをすべて受け入れる感覚でやりました。だから言葉選びも自分にはないものがあって、「こんなこと言っちゃうMARiAがいるんだ!」って自分としても面白いと思ったし、ファンも驚いたところがあったと思うんです。普段できないこと、やらないことを自由に面白くできる場所がソロで、発見の場所であり、インプットの場所でもあったんです。それに対して、ずっとアウトプットしているのがGARNiDELiA。自分の中にあるもの……信念、生き様みたいなものを発信し続けてきているんですよね。
──だからソロでは、いろいろな人とコラボをしているのですね。
MARiA:そうですね。いろんなクリエイターとコラボすることによって、新しい私の扉を開けることができるし、ソロの活動のあとにGARNiDELiAの制作に入ると、また違った感覚になるのが面白いんです。それを1枚目のアルバムで経験することができたのは大きかったです。
──フィードバックすることができていたんですね。とはいえ、2枚目のアルバムは、すべて受け入れるスタイルではなかったようですね。
MARiA:前作よりもMARiA節を出しているアルバムではありますね。前作はMARiA節を封印するという引き算のアルバムだったんですけど、私らしさを見つけないと引き算ってできないんです。だからMARiA節を封印することで、より私らしさが浮き彫りになったというか。歌い方もそうですけど、「これが私だよね!」っていうのを見つけられた1枚だったから、今回は私の好きなサウンド感や言葉の選び方をして、制作段階からリテイクもしたりしています。楽曲もデモがいくつかあって、そこから自分でチョイスしていったので、自分の好きが詰まったアルバムになったと思います。
──それはコンペという形だったのですか?
MARiA:サウンドプロデュースで清水信之さんに入っていただいたんですけど、信之さんがMARiAに合うと思うアーティストさんを見つけてきてくれて。お願いしたいアーティストやクリエイターを決めてから曲を書いていただき、何曲か作っていただいた中から選んでいった感じです。完全にコンペだった曲もあるにはあるんですけど、まずは誰に書いてもらうかを決めてから曲を選ぶという流れでした。
──その段階だけでも、自分好みには近づきますしね。
MARiA:かなり自分の好みは出ますね。前作はクリエイターを決めてからは自由に書き下ろしていただくみたいな感じでしたから、作り方が全然違うんです。だからファンのみんなからしても、今までの私のイメージに近い感覚はあるのかもしれない。
──アルバムの全体像やコンセプトはあったのですか?
MARiA:まっさらな状態で始まりました。最初に届いた曲がevening cinemaの原田夏樹さんが書いてくれた「Think Over」だったんですけど、それがリード曲にもなって。これはね、信之さんから「めっちゃいいバンドがいるんだけど」って紹介してもらったのがevening cinemaさんで。楽曲を聴いてみたら、めちゃめちゃ良くて、お願いすることになったんです。
──どんな風に感じました?
MARiA:届いた曲もすごく良くて、自分の中で衝撃的な出会いでもあったんです。歌詞も“ほんの一瞬を 駆け抜けるようにして”から始まっていて、そこで世界観が見えたというか。「これだわ!」ってなった(笑)。そこから、この曲を軸にして楽曲を選ぶようになったので、そこからだんだんアルバムの全体像が見えてきた感じがします。
──『Moments』というタイトルの意味とも重なりますしね。
MARiA:そうですね。「Think Over」にめちゃめちゃ引っ張ってもらったところはあるんですけど、そこから選んでいった曲も、日常の中の一瞬だったり、気持ちが動く瞬間だったり、みんなが経験したことがあるような瞬間や景色を切り取った曲が集まったので、全曲揃ってから、これは『Moments』だわ!ってなりました。
──ぴったりハマったと。歌詞の内容もどこか共通するものがあるし、「Think Over」を軸に選んでいった結果、何かに導かれるようにうまくできていった作品なんですね。
MARiA:そう、不思議と引き寄せられた曲たち、みたいな感じなんですよね。運命的な出会いをした楽曲が多くて、それも面白かったです。
──「Think Over」のどこに惹かれたのか、詳しく教えてください。
MARiA:世界観にガーって引き込まれる感じが自分の中で面白かったんです。「Think Over」とか「Long Distance」もそうですけど、こういうシティポップ的な楽曲をMARiAが歌う感覚があまりなかったんです。でも、めちゃめちゃ歌ってみたいなと思ったのと、シティポップって淡々と歌う感じがあったんですけど、その中にも鋭さやスピード感があったりするのが印象的だったんです。歌詞も実はエグい言葉使っていたりするんですよね。「Long Distance」の“血肉になるよ”とか面白いですよね。そういう引っ掛かりは、きっと原田くん節だと思うんですけど、柔らかいとかかわいいとかキュートなだけでなく、毒っ気というか、そういうところがあるのがMARiAっぽいなってちょっと思って。相性がいいのかもなって思いました。
──Night Tempoなどの影響もあって、シティポップは今、世界で聴かれているんですよね。確かに昔のシティポップというよりは、ビート感のある今の時代に合ったシティポップ感がありました。
MARiA:GARNiDELiAでは激しい曲やスピード感のある曲、がっつりEDM系の曲を歌うことが多かったので、こういう曲を歌うことがあんまりなくって。だから歌い方も張って歌ったりパワーで押していく感じじゃなくて、裏声とかミックスボイスを使ったり息を多めにしたり、柔らかさやしなやかさを意識して歌いました。
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