【ライブレポート】DOPING PANDA、新たなスタートを高らかに告げた<∞ THE REUNION TOUR>への喝采
「どこまでも行けそうな気がする」、「俺たちはもっと行くぞ!」と、Yutaka Furukawa(Vo/G)はライヴ中に発言していた。今回のツアーを通して、大きな手応えを感じていることがわかる言葉だ。さらに「俺たち3人、ありのままでやります」というMCを聞き、今のDOPING PANDAに対して揺るぎない自信を感じたほど。ヘンな言い方かもしれないが、憑き物が落ちたように、晴れ晴れとした表情で、伸びやかなサウンドを解き放つ彼らを観て、本当にどこまでも行ける気がした。もう、手放しで絶賛したくなる最高のツアーファイナルだったから。
◆ライブ写真
2022年1月に再結成を発表した我らがドーパン。3月にはセルフタイトルを冠した5thアルバムを発表し、再結成を祝した東名阪Zeppワンマンツアー<∞ THE REUNION TOUR>を開催。計4ヶ所に及ぶツアー最終日となったZepp Haneda公演は、見事にソールド・アウトした。SEが流れると、Furukawa、Taro Hojo(B)、Hayato Beat(Dr)の3人が登場。1曲目の「nothin’」から拳を突き上げ、フロアで踊る人たちが一気に増えていく。この音を待っていた!と言わんばかりの高揚感が場内を支配する。
「Mr.Superman」を経て、タロティのベースで始まる「Lost&Found」へ。Hayatoのコーラス、Furukawaのタッピングを交えたギター・ソロも抜群に映え、ドライブ感溢れる演奏は加速していく。
「あっという間の4本でした」とFurukawaは今ツアーを振り返り、セッション風のイントロを配した「We won’t stop」に突入。楽しげに会話を繰り広げるようなアンサンブルが心地良く、その流れで新作から2曲プレイ。笑い声と電子音を入れた「Can’t you hear the music」は3ピースのシンプルな演奏が際立ち、ゲーム音を用いた「Kiss my surrender」においては跳ねるドラムに体を揺さぶられ、新曲のリアクションもすこぶるいい。
そして、インディーズ時代の名盤2ndアルバム『PINK PaNK』から「The way to you」を披露。コロナ禍でなければ、大声で歌いたくなる珠玉のナンバーだ。ドーパンの魅力の一つに、メロディの良さがある。特にこの歌メロは、宇宙まで飛んでしまえる素晴らしさだった。
ここでメンバー紹介を兼ね、Furukawaがタロティをイジリ倒し、次の「Lovers soca」の出だしをHayatoが間違えてしまい、「ライヴ楽しいよね!」と本人は破顔一笑。バンドって最高だなあ、と再認識する一幕もあった。続いて「Moralist」、「Stairs」と演奏後、Furukawaが今年フジロック出演が決まったことを生報告。加えて、97年のフジロックにタロティを含むサークル仲間と参加した思い出、さらに、2002年の<ROOKIE A GO-GO>に出演した話を挟んだりと、ドーパン再結成を心から喜んでいる様子だった。
中盤には「Go the Distance」を皮切りに、∞ダンスタイムへ。レーザービームとミラーボールが煌めく中で「YA YA」、「The Fire」、「I’ll be there」、「Hi-Fi」と血湧き肉躍るダンサブルな曲調を連発。これにはフロアも「待ってました!」と言わんばかりの騒ぎっぷり。演奏中、タロティがお立ち台の近くに寄り、登るのかと思ったら登らない仕草を見て、「そこまで行くなら登れよ!」と、Furukawaにすかさずツッコみを入れられる場面も微笑ましかった。
再び新作から「Imagine」がプレイされるや、フロアはワッと盛り上がり、「beautiful survivor」、「transient happiness」と熱気は右肩上がりに上昇。本編は新作の中でも個人的に好きな「Silhouette」で締め括った。過去と現在のドーパンを結びつけたような曲調で、メロディの良さに気分は高まり、体の内側から熱くなるほどの感動に包まれた。
アンコールに入ると、Hayatoは10年の歳月を経たことにより、体の調子は抜群に良いそうだ。今日のライヴにおける絶好調ぶりを観ても、このタイミングでの再結成は来たるべき時が来たんだなと納得した。「BS」、「It’s my life」、「Crazy」と新旧3曲をやり終え、Wアンコールの選曲がまたニクかった。インディーズ時代のデビュー・シングル「Dream is not over」収録の「GAME」がここで炸裂。00年当時からライヴで大人気だった楽曲である。フロアの観客も激しく横に手を振る光景が広がり、「こんな凄い景色、見たことないぜ!」とFurukawaは興奮気味にコメント。ラストは『PINK PaNK』収録の「Candy House」が飛び出し、筆者を含む古参ドーパメイニア(ファンの総称)を感涙させる流れでライヴは終了。
全27曲2時間20分に及ぶファイナル公演は、バンドの新たなスタートを高らかに告げる素晴らしい内容であった。メンバー3人の空気感を含め、ドーパンにしか鳴らせないマジックが人間性込みで爆発している。そのグルーヴが観客の心まで無防備に開放し、今日のとんでもない盛り上がりに直結していたに違いない。ドーパンの未来は果てしなく明るい。それを確信した一夜だった。
取材・文◎荒金良介
写真◎橋本塁 [SOUND SHOOTER]
■セットリスト<∞ THE REUNION TOUR>
1.nothin'
2.Mr.Superman
3.Lost & Found
4.Blind Falcon
5.We won’t stop
6.can’t you hear the music
7.Kiss my surrender
8.The way to you
9.Lovers soca
10.Moralist
11.Stairs
12.Go the Distance
13.YA YA
14.The Fire
15.I’ll be there
16.Hi-Fi
17.Imagine
18.beautiful survivor
19.transient happiness
20.beat addiction
21.MIRACLE
22.Silhouette
EN1.BS
EN2.It’s my life
EN3.Crazy
W/EN1.GAME
W/EN2.Candy House
■5thフルアルバム『Doping Panda』
【初回生産限定盤(CD+DVD)】SRCL-12060-1 ¥3,727円(税抜)
DVD:「Imagine」「Silhouette」のミュージックビデオを収録
【通常盤(CD)】SRCL-12062 ¥3,300円(税抜)
01. Imagine
02. Kiss my surrender
03. Love is tragedy
04. Streaming man
05. Can't you hear the music?
06. Wonderland
07. Silhouette
08. You don't love me
09. BS
10. Hello
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