【ライブレポート】鈴木愛奈、表現力を増した2ndライブツアー完遂

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鈴木愛奈が、4月30日から1ヵ月に渡って大阪・名古屋・千歳で<Aina Suzuki 2nd Live Tour Belle révolte -Invitation to Conquest->を開催。その千秋楽公演が5月29日、神奈川のパシフィコ横浜 国立大ホールで行われた。

アルバム『Belle révolte』を引っ提げての今回のツアーは、ゴシックな世界観を表現しつつ、新旧の楽曲を織り交ぜた彩り豊かな内容に。彼女自身の大きな成長も感じられた当日のライブレポートをお届けする。

◆ライブ写真

仄暗い照明の中、重厚かつ荘厳な音に導かれるように鈴木愛奈が大きなフラッグを持って現れると、やがてステージ上段までゆっくりと進み、フラッグを勢いよく地に突き刺す。アルバムとツアータイトルにもなっている“Belle révolte”(美しい反抗)。そのテーマを体現した演出でライブは幕を開けた。


オープニングを飾ったのは「WONDER MAP」。力強さのある歌声が彼女の魅力だが、ここではさらに歌詞に合わせ、“迷い”の感情も繊細に観客に届けていく。続く「暁のdetermination」ではそんな弱さを払拭するように、後半になるにつれてパワフルさを加速。まさしく“determination=決断”を全身で表現しているかのようだ。また、「遙かなる時空-そら-を翔ける 不死鳥-とり-のように」では、これから飛び立たんとばかりに手足を大きくエモーショナルに動かし、序盤から立て続けに披露した物語性のある3曲で、一気にオーディエンスの心を惹きつけた。


最初のMCでは、約1年前の1stライブツアーで初めて立ったパシフィコ横浜に再び帰ってこられた喜びを語る。また昨年末にリリースしたアルバム『Belle révolte』にも触れ、「私の大好きなゴシックな世界観がたっぷり詰まった一枚になっています」とコメント。その言葉を証明するように、続いてはアルバムの中から「RED BLAZE : BLUE FLAME」「Cocoon」「月夜見Moonlight」を披露。いずれもメロディに緩急のある幻想的な楽曲で、サビではきれいなファルセットをきかせていく。中でもハイトーンを巧みにコントロールして圧巻の歌唱力を見せてくれた「Cocoon」は、歌い終わったあと、しばらく拍手が鳴りやまないほどだった。


この日はツアーの千秋楽ということもあり、何度も「皆さんと会えて本当に嬉しいです!」と言葉を残していった愛奈。「でも、もっと楽しくなりたいです!」と投げかけて歌ったのは「Happiness」。ファンを幸福な時間へといざなっていく、極上のポップナンバーだ。さらに、「手拍子しよう!」とクラップで一体感を作ったのは「やさしさの名前」。ライブ序盤で見せた力強さとは打って変わって声に穏やかさが灯る。


しかし、「antique memory」では一転。ワルツのリズムに合わせ、自身がマリオネットになったかのような人形的な動きで幻想的な異空間を生み出していく。さらにストーリー性のあるステージを見せたのは「魔女ノ策略」だ。舞台上段のソファに倒れるように身を預けていた愛奈が、やがて彷徨うように歩きまわる……。こうした演劇的な要素を取り入れた演出に、改めて彼女の表現力の幅広さを感じたファンも多かったことだろう。


バンドによるセッションを挟んで始まった後半では、それまでのブルーを基調としたゴシックの衣装から白のドレスへとチェンジ。そして「横浜、もっともっといくよ!」のあおりとともに「Reverse-Rebirth」を。畳み掛けるようなサビで会場のボルテージを上げていくと、間髪を入れず「Endless Pain」へ。何度も拳を振り上げて歌う姿に、ファンもクラップで熱く応えていく。さらにギアを上げたのは『祭リズム』。幼少期より民謡で鍛えた節回しとロックなサウンドを融合させ、ジャパネスクな世界を生み出していった。


ラストスパートは「isolation」から。勢いのある楽曲ながら、ピアノの繊細な音色が焦燥感を醸し出し、歌声から心の葛藤やもどかしさが伝わってくる。そんな不安な気持ちを断ち切るように、「もっと高く」では突き抜ける壮大さでポジティブな思いを届けていった。そしてラストは、応援してくれているすべての人に感謝の気持ちを伝えながら、「私にできるのはその恩を歌で返すこと」と「愛の名が響く場所」を。この歌は“奇跡の仲間との出逢い”を表現したもので、「愛奈バンドの皆さんが私のために作ってくださった、本当に本当に大切な楽曲」とのこと。それだけに、バンドが奏でる音、観客のクラップ、そして彼女の歌声が混じり合って作り出されたこの時間は、何よりも尊く、特別なものに感じられた。


アンコールでは「ありがとにゃ〜!」と叫びながら再びステージに登場し、まずは「えとにゃんらん」を。縦横無尽にステージ上を駆け巡り、時おり猫ポーズを交えて魅せるダンスがとってもキュートだ。また、MCではツアーを振り返り、「1stライブツアーの時は、楽しむより緊張や不安のほうが強かったなって思うんです。でも今回は、皆さんと一緒に物語を作っていることを実感し、“ツアーってこんなに楽しいものなんだ!”と思えて、どの公演もリラックスして挑めました」と気持ちの変化や自身の成長を吐露。


そして、「これからも良い歌をたくさん歌っていきたい」と、この横浜公演でのみ披露された「今日のわたしをこえて」へと繋げていった。しかし、これだけでは終わらない。ラストを飾ったのは「ヒカリイロの歌」。ツアーを通して必ず最後に披露してきたこの曲。歌詞に何度も登場する“未来”や“輝き”という言葉たちが指し示すように、鈴木愛奈のこれからをさらに期待させられる感動的なエンディングだった。

横浜公演セットリスト

01.WONDER MAP
02. 暁のdetermination
03.遙かなる時空-そら-を翔ける 不死鳥-とり-のように
04.RED BLAZE : BLUE FLAME
05.Cocoon
06. 月夜見 moonlight
07.happiness
08. やさしさの名前(TV アニメ『モンスター娘のお医者さん』ED テーマ)
09.antique memory
10. 魔女ノ策略
BAND inst
11. Reverse-Rebirth(TV アニメ『逆転世界ノ電池少女』ED テーマ)
12.EndlessPain(アプリゲーム『N-INNOCENCE-(エヌ・イノセンス)』主題歌)
13. 祭リズム
14.isolation
15. もっと高く(TV アニメ『いわかける! - Sport Climbing Girls -』OP テーマ)
16. 愛の名が響く場所
EN1. えとにゃんらん (アニメ『えとたま〜猫客万来〜』テーマソング)
EN2. 今日のわたしをこえて
EN3. ヒカリイロの歌

◆鈴木愛奈 オフィシャルサイト
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