【ライブレポート】vistlip、AL『M.E.T.A.』の世界が完成「15年で今がいちばん楽しい」

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vistlipが5月6日に東名阪ツアー<vistlip ONE MAN LIVE TOUR「META TOXIC」>のファイナル公演を、東京・なかのZERO大ホールにて開催した。

◆ライブ写真

未来のvistlipを見据えて制作された3年4ヶ月ぶりのフルアルバム『M.E.T.A.』は、“ポップでアダルトでセクシー”がキーワード。ジャズやシティポップの要素を取り入れたサウンドはvistlipのミクスチャーロック、ラウドなテイストを残しつつ、新たなアプローチの作品となった。とはいえ、初期からラップを取り入れつつ、メロディックな曲が圧倒的に多かったバンドの歴史を振り返ると、これはvistlipらしさを軸にした15周年のアップデートと言っていいだろう。ファイナルにスタンディングのライブハウスではなく、椅子のあるホールが選ばれたことにも納得の演出とアクト。vistlipが幾多の困難を乗り越え、不動の5人で活動してきたことが浮き彫りとなるようなステージだった。


メタバースの世界に導く美しく近未来的なイントロダクション「PW:Invitation」が流れ、照明がバイオレットから白く眩い光へと色を変えていき、ファイナルの幕開けだ。オープニングは大人の艶っぽさを感じさせるvistlipの“今”を象徴する仮想空間の入り口の曲「BGM「METAFICTION」」。ドラムセットの横に置かれた椅子に智(Vo)が座りながら歌う演出に目を奪われる。コンセプトから最新の映像技術を駆使するのかと思いきや、まるで演劇の舞台のようなセットだ。vistlipのアジト、もしくは秘密基地に招待されたような気持ちにさせられる。

Tohya(Dr)のドラミング、瑠伊(B)のランニングベースが粋な「"TOXIC"」はYuh(G)のジャジーなギターソロと海の間合いを活かしたカッティング、智の色気のあるヴォーカルが混ざりあい、ノスタルジックな異世界に迷い込んだよう。客席がジャンプした「DANCE IN THE DARK」ではスモークが派手に噴出される演出。続いて“強く僕の名前を呼んで欲しい”と歌う「John Doe」が放たれ、声援の代わりに力強い拍手が沸き起こった。

「META TOXIC」にようこそ! もうツアーファイナルですね。けっこう大人っぽい曲なので、ノリがどうなるのか最初は不安になってたけど、名古屋、大阪とやってきて全然、楽しめますね」──智


そんな智の呼びかけにYuhが「すごく楽しかった」と同意。「これだけ俺たちの世界観に浸かってもらうライブは初めてだったと思います。ちょっと時代に逆行してるというかね(笑)。目に見える形で俺の頭の中を具現化したから最初はどうなるかなと思ったんだけど、みんな気に入ってくれたみたいで嬉しいです。楽しんで年を重ねて昔、思っていたような理想の大人になれているのかがわからないけれど、ひとつ答えを出したのはいいヤツにはならなくていいから、カッコいい大人になっていきましょう」──智

ライブは『M.E.T.A.』の世界にグイグイ引き込まれていく構成。ピアノがフィーチャリングされた「ENTRY MODEL」では海(G)がアコギを奏で、瑠伊がステップを踏みながらベースを弾き、歌詞とリンクする繊細でアダルトなアプローチ。智と海が交互に歌うツインヴォーカルが新たな可能性を引き出した「無音」はライブで聴くと激しさ、切実さがいっそう伝わってきた。そして智が拡声器を手にした「ID:ID [Extend Song]」に続き、「踊れよ! 東京!」と叫んだおなじみの「HEART ch.」を投下。アグレッシブなアクトが繰り広げられた。

「楽しんでますか? 東京! 楽しいと寂しいんだよね。終わっちゃうのが。でも、すでに発表した通り、七夕にライブがあるのでみんな来てくださいね。じゃあ、今日は七夕のタイトルを発表したいと思います」──智


毎年、恒例、結成記念日の7月7日に開催されているアニヴァーサリーライブ。15周年の今年はタイトルが<DomesticStrawberryJam>だと発表するとファンはもちろん、メンバーも大盛り上がり。海がグッズがかわいいものにすると予告すると、期待の空気が満ちた。

「まだ先に楽しみがあるので、こういう状況ですけど、まっさらな状態をすごく楽しめると思うんです。何もなくなったら、何か創らないとならない。俺たちとみんなで楽しいことを創っていきましょう。ついてきてくれますか?」──智


そんなvistlipのアティチュードを反映するかのようにコロナ禍にあっても欲張りでいたいというメッセージを届けたポップで疾走感たっぷりの「蟻とブレーメン」が演奏され、瑠伊のベースが合図の「CRACK&MARBLE CITY」へと。

冒頭でアジトのようなセットと記したが、床に絨毯が敷かれ、ソファーとブラウン管の画面、ネオン管が配された空間の上を見上げると、空が覗き、木々が見えている。これこそが智が頭の中に描いていた仮想空間の都市なのか、それとも「Underworld」で歌われた“秘密基地と呼んだ廃墟。”なのか。もしくは「-OZONE-」で綴られた約束の場所なのか?

雨がシトシト降る情景が浮かび上がるvistlipらしいメロディアスなラブソング「アンサンブル」から海が再びアコギに持ち替え、Yuhが洗練されたエモーショナルなソロで魅了した「Re:明日晴れたら」に移行する演出もドラマ性があり、vistlipが13年前にAOR、ジャズ風のアプローチの曲を生み出していたことにも改めて驚かされる。


「晴れたね」と智が笑い、後半は弾ける展開。アルバムの中で最もキラキラした開放感のある「STAR TREK」ではメンバーもファンも多分マスクの下で満面の笑顔。上手で智、Yuh、瑠伊が絡み、3人揃って下手へと移動し、海と4人でわちゃわちゃしたかと思えば、智がTohyaの側に駆け寄り、息を合わせたり。

再び、場面が切り替わるようにサイレンの音が鳴り響いてセットの空が赤く染まり、アルバムのエンディングテーマとして描かれたというヘヴィ且つメロディックな「RED LIST」へと。そして仮想空間の旅の終わりを告げる「PW:ReAct」がステージに響いた。「どうですか? 現実に戻れそうですか?」と智が問いかけ、本編はハンドクラップの中、光が降り注ぐストレートなナンバー「Act」で締められた。


アンコールではひときわ賑やかだった「STAR TREK」のパフォーマンスについて話に花が咲き、海が恒例の物販の説明(ほぼ売り切れらしい)に入ると、メンバー4人はソファーですっかり、くつろぎの体制に。この自由さがまたvistlip。突然、海が「6月は暇だから何かやろうと思ってる」と言い出して客席をザワつかせるなど、先が読めない展開だ。

過去の曲を巧みに混ぜながら物語性のあるセットリストと演出で楽しませた本編とはうってかわって、ここからは暴れたおす曲を連続投下。Yuhと海が背中合わせでギターを弾いた「[glider]」、「Timer」、「GLOSTER IMAGE」で場内を熱くさせた。ラストにはアルバムの中で最もハートウォーミングなナンバー「Sunday」が贈られたのだが、5人の変わらない関係性、コロナ禍にあっても揺らがないファンとの絆が羨ましくなるような、そんなライブでもあった。ステージから投げかけたメンバーひとりひとりのの言葉もそのことを物語っていた。


「15周年を迎えるに当たってパワーアップした作品が作れて、ライブで楽曲の良さや意義が生で伝えられる喜びをこの15年味わってきましたが、この先も直接、たくさんたくさん僕たちの音楽を伝えていきたいと思います」──Tohya

「Tohyaも言ったようにすごく良いアルバムができたので、だからこそ表現しきれるのかなと心配だったんですけど、1本目から最高のライブになりました。3本で終わっちゃうのがもったいないぐらい良いツアーができたと思うので、これからもよろしくお願いします」──瑠伊

「マスクしてて、声も出せないってなると伝えるのが難しくなるじゃないですか? でも、最近、楽しそうにしてるってのが前以上に伝わってくるなって勝手に思ってるんだけど。全身で表現してぶつけてくれてるのかなと思っててすごく嬉しいなと」──海

「徐々に入れられる人数が増えてきて、次は声出せたらいいと俺は思ってて。俺たちも声が聞きたいし、また別の力をもらえるから。七夕は置いておいたとしても早く声を出せる日が来たらいいなとすごく思ってます。あと、智も言ってるけど、俺もこの15年の中、今がいちばん楽しいと思っているし、深い意味はなくて、おじいちゃんになるまでこの5人で何かやっていきたいなって」──Yuh

「ここまで思い描いた世界を表現できたのは初めてだったし、こんな素晴らしいセットを組んでいただいて照明もこうしたい、ああしたいってわがままを言いながらスタッフさんともプロフェッショナルなやりとりができました。この3年ぐらいでバンドのために俺じゃなきゃできないことを見つけられて、いい意味でファンの心もメンバーの心も人生も背負っていけたらなと。昔は押しつぶされそうになって泣いてばっかりだったけど──。まぁ、今もメンタルは弱いんですけど、強そうに見えているのはみんなが支えてくれてるから。ありがとうございます。今がいちばん楽しいのでそんなヤツがみんなを楽しませないでどうするって」──智

なお、終演後に客席のみんながスマホで撮ったステージセットと5人の姿はすぐにSNSでアップされた。5人並んで背中を向け、セットの空を指差している図は少年の青春感満載。大人なイメージとはややギャップがあったのだが、それも含めてvistlipなのだと思う。

取材・文◎山本弘子
 

<vistlip 15th Anniversary LIVE【Domestic Strawberry Jam】>

2022年7月7日(木)
会場:Zepp DiverCity
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
前売:¥7,700(税込/1D別)

■MEMBERS LiST先行
※2022年4月30日(土)時点でMEMBERS LiST会員資格をお持ちの方が対象となります。
受付期間:5/27(金)10:00~5/31(火)23:59
https://vistlip.com/contents/527435

■オフィシャル先行
受付期間:6/4(土)10:00~6/12(日)23:59

■一般販売
6/18(土)10:00~

[問] クリエイティブマンtel.03-3499-6669 (月・水・金12:00-16:00)

『M.E.T.A.』

2022年3月30日(水)リリース

■【Master Edition】(CD+DVD/初回生産限定)
MJSA-01339~40
¥5,940(税込)

[CD]
1.PW:Invitation
2.BGM「METAFICTION」
3."TOXIC"
4.CRACK&MARBLE CITY
5.ENTRY MODEL
6.Act
7.無音
8.ID:ID [Extend Song]
9.蟻とブレーメン
10.アンサンブル
11.STAR TREK
12.RED LIST [Extend Song]
13.PW:ReAct
[DVD]
1.BGM「METAFICTION」MV
2.メイキング映像[Master Edition ver.]
3.収録曲「無音」リリックビデオ
[初回特典]
・トレーディングカード(全10種ランダム)
・3形態連動購入特典全員サービス応募券&特典抽選券

※ヴィジュアルブックレット(28P)&スリーブケースの豪華コレクション仕様。

■【vister】(CD+DVD)
MJSA-01341~2
¥3,960(税込)

[CD]
1.PW:Invitation
2.BGM「METAFICTION」
3."TOXIC"
4.CRACK&MARBLE CITY
5.ENTRY MODEL
6.Act
7.無音
8.蟻とブレーメン
9.アンサンブル
10.STAR TREK
11.PW:ReAct
[DVD]
1.BGM「METAFICTION」MV
2.メイキング映像[LONG vister ver.]
3.オフショットフォトギャラリー
[初回特典]
・トレーディングカード(全10種ランダム)
・3形態連動購入特典全員サービス応募券&特典抽選券

■【lipper】(CD)
MJSA-01343
¥3,300(税込)
[CD]
1.PW:Invitation
2.BGM「METAFICTION」
3."TOXIC"
4.CRACK&MARBLE CITY
5.ENTRY MODEL
6.Act
7.無音
8.蟻とブレーメン
9.アンサンブル
10.STAR TREK
11.PW:ReAct
12.Sunday
・トレーディングカード(全10種ランダム)
・3形態連動購入特典全員サービス応募券&特典抽選券

発売元:マーベラス
販売元:ソニー・ミュージックマーケティング

◆vistlip オフィシャルサイト
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