【レポート】「COREMANIA(R)」第3弾、奥田民生×BiSH「意外な“発見”や“気づき”を与えてくれるところも、この番組の醍醐味」プレビュー映像限定公開中
まるで小学生のように“はにかむ”奥田民生の表情が忘れられない。半分本気、半分冗談だと思うが、終盤には「帰りたい」という言葉も飛び出すほどだった。いち視聴者としては終始ニヤニヤが止まらず、ずっとその表情や仕草に注視してしまった。
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■空気を変えたのは
■やはり音楽の力
対バン型ミュージックリアリティショー「COREMANIA(R)」。アーティスト同士が演奏やトークを繰り広げる配信番組で、船頭のようにその場を引っ張る司会者は不在、きめ細かに「こういうトークをしてください」という決め事やルールもない。言葉を選ばずに言えば、丸投げ状態でアーティスト同士におまかせしたら、番組はどんな風に転んでいくのか。その意味では、ある種の「実験場」と言いたくなる画期的な番組なのだ。だからこそ、アーティストの心臓の高鳴りが、観ているこちらにもリアル過ぎるほど伝わってくる。それが何よりも楽しくて、約1時間半があっという間に過ぎ去った。
その第3回目は、奥田民生×BiSHという異色の組み合わせであった。世代はもちろん、聴いてきた音楽も違うだろうし、両者に接点は果たしてあるのだろうか。しかもほぼ初対面ということで、出会いからしてぎこちなさが漂っていた。アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dと“楽器を持たないパンク・バンド”BiSHの6名がテーブルに座り、そこに奥田民生が現れると、「これどういう状況?」と尋ね、「一緒に楽しもうという」とチッチが申し訳なさそうに番組の趣旨を説明。
ほぼ接点のないアーティスト同士だが、そんな空気を変えたのはやはり音楽の力だった。まずはBiSHが、奥田民生の目と鼻の距離で「オーケストラ」を堂々パフォーマンス。終わると、「素晴らしいです」と拍手を送る奥田民生。さらに「チラチラ見てたでしょ? やりづらそうに」と畳み掛け、場は一気に和やかな空気に包まれていく。
次は奥田民生が代表曲「イージュー☆ライダー」をアコギ弾き語りで披露。この曲はユニコーンを93年に解散(09年に再結成)し、彼が30歳(業界用語でイージュー=30)の時に作った曲である。豊かな声量で「僕らは自由を 僕らは青春を」と豪快に歌い上げていった。そのメッセージ性は、霧がかった現代にも力強く響いてきた。
■音楽が世代を超えて
■お互いの距離をどんどん縮めていく
そして、ここで奥田民生とBiSHの間に一つの共通点が急浮上する。BiSHのサウンド・プロデューサーである松隈ケンタがユニコーン世代ということもあり、彼女たちの「社会のルール」という曲は実はユニコーンの「大迷惑」のオマージュであると、ハシヤスメが説明。その流れで同曲をやり、演奏中に奥田民生のそばにアイナとリンリンが詰め寄るパンク精神を発揮。奥田民生は照れつつも、楽しそうに振り付けに参加していた。これは、他でも見れない貴重映像だ。また、「大迷惑」を本家本元の奥田民生がエレキ・ギターで演奏し、興奮気味に見つめるBiSHのメンバーたちの表情も印象的だった。音楽が世代を超えて、お互いの距離をどんどん縮めていく。
とりわけ、奥田民生が作曲と編曲、井上陽水が作詞を手掛けたPUFFYのデビュー・シングル「アジアの純真」を演奏する段階になると、BiSHのメンバーも「カラオケで歌っていた」とコメントし、明らかにテンションはアガッている様子だった。この曲では奥田民生とBiSHが歌のパートを分け合い、さらにユニゾンする場面もあったりと、親密なるコラボレーションが実現!
90年代半ば、小室哲哉によるプロデュースで安室奈美恵、華原朋美、篠原涼子などが大ヒットを飛ばし、小室ブームが巻き起こっていた時代。その最中の96年に「アジアの純真」はリリースされ、大貫亜美、吉村由美のカジュアルなファッションと共にいい意味で緩い雰囲気を放つオルタナティヴなアプローチにより、シーンに衝撃を与えた。
そう言えば、トーク内で奥田民生の姿をフェスで見かけたハシヤスメが「いい意味で脱力感があり、かっこ良かった」と鋭いコメントを本人に投げかけている。この曲もまさに定型に収まらない自由奔放さがあり、そこに多くのリスナーが共感した。BiSH自体もBiSの流れを踏襲しつつ、従来のアイドル像を覆すような破天荒ぶりでスターダムへとのし上がったグループである。
一見、接点がないように見えた両者だが、時代やトレンドに左右されず、むしろ正反対なものをぶつけて、世間をアッと驚かせる意味において共通点を見い出せる。周囲を気にせず、自分らしさを貫くところに両者の「パンク魂」を感じずにはいられなかった。そうした意外な“発見”や“気づき”を与えてくれるところも、この番組の醍醐味ではないだろうか。交わりそうもない点と点が、一本の線として繋がる瞬間に、大きなカタルシスが待っているのだ。
文・荒金良介
■『COREMANIA EPISODE #03「奥田民生×BiSH」』
視聴チケット販売:2022年4月16日(土)23:00まで
(視聴チケット購入時から7日間見放題。)
視聴チケット価格:¥1,980(税込)
URL:https://coremania.tokyo/events/deTYEydZWjzUBJd
※「チケットぴあ」で予約して、全国のセブンイレブンで決済可能
URL:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2299609
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