【ライヴレポート】ASH DA HERO × The BONEZ、対バン<GACHINKO>で「12年前の俺に見せてやりたい」
3月22日(火)の東京・渋谷。昼前から雪やみぞれ混じりの雨が降り始めたこの日、気温は朝から一桁代。桜の開花宣言後にも関わらず、真冬並みの1日となっていた。
◆ASH DA HERO × The BONEZ 画像
しかし渋谷Spotify O-EASTに限っては、開場直後から熱さが充満。なにしろロックバンド=ASH DA HEROが仕掛ける対バンライヴの2回目となる<ASH DA HERO presents “GACHINKO” ASH DA HERO vs The BONEZ>が行なわれるからだ。しかも、1月から続いていたまん延防止等重点措置が、前日の3月21日に終了したばかり。この2年近く、1階に常設されていた椅子は排除され、スタンディングのライヴ会場という本来の姿を取り戻しつつある渋谷Spotify O-EASTでもある。
▼Newspeak
そのステージに最初に登場したのは、ゲストアクトのNewspeak。この対バンへ出演が決まる前、ASH DA HEROのASH(Vo)は個人的に彼らのライヴを観に行き、スケール感のでかい曲や音に一発でほれ込んだという。またThe BONEZのT$UYO$HI(B)は、Newspeakが2021年に発表した2作目『Turn』に“U2に目をつけられてもおかしくない”といったコメントも寄せている。この対バンに出演するのもNewspeakにとって決まっていた運命と言えるだろう。
幻想的なSEと共に始まったNewspeakのライヴは、まさにアイルランドの風を感じさせる。シンガーのRei (Vo,G,Kb)は、透明感と同時に深みもある男の色気をまとった歌声の持ち主。Newspeak結成前はイギリスのリバプールで音楽活動をしていたため、ネイティヴな発音の英詩。オーディエンスは歌に気持ちを吸い寄せられ、ドラマティックな曲に魅了されるのみ。またスタンディング会場を何万人のアリーナクラスと思わせるぐらい、Newspeakは広がりや奥行きある世界をバンドサウンドで描き出す。その一方で3曲目「Media」では、ブラックミュージックも飲み込んだダンサブルさも放ち、あの伝説的なバンド=ザ・パワー・ステーションを想起させた。さらにギターも鍵盤も操るRei、ベースに加えてシンセベースやパーカッションも担当するYohey、様々なビートをアートの次元へ変えていくSteven、繊細なフレージングを聴かせるサポートギターの早川知輝など、全員が卓越した技術を持つバンドでもある。わずか20分だったが、オーディエンスにとって贅沢な時間となった。
▼The BONEZ
大音量で流れるビースティ・ボーイズの「Sabotage」を合図に、ステージに飛び出たのはThe BONEZ。笑顔でハンドクラップするZAX(Dr)に合わせて、オーディエンスもひとつになってハンドクラップ。そのZAXのもとにKoki(サポートギター)、T$UYO$HI(B)、JESSE(Vo,G)が集まり、手のひらを重ねて、気合いの入った掛け声を上げた。そのまま一気に攻め立てると思われたが、コードストロークしながらJESSEが優しく歌い始める。そしてイントロを歌い上げた直後、厚みあるバンドサウンドと共に始まる「Until you wake up」へ。
前から愛情深き男=JESSEだが、ある出来事をきっかけに自分を見つめ直し、大切なものを改めて噛みしめたことで、歌に込める思いはさらに強く深くなっている。「Bird~peopele with wings~」では、目の前にいるオーディエンスの一人ひとりを見つめ、みんなの気持ちも受け止めながら、自身の歌をより大きく響かせる。様々な希望を託した歌がポジティヴに広がっていった。
「1枚のチケットで3組のバンドが観れて、ここからの人生、広がるんじゃないでしょうか。まず目の前に突っ立っているバンド、覚えて帰ってください。We are The BONEZ!!」──JESSE
ロングシャウトも絡めながら「We are The BONEZ」に突入すると、さっきまでの包容力あるオトナのJESSEから一変。10代のときからミクスチャーロックを歩んできた暴れん坊の本領発揮だ。激しいグルーヴに全身をうねらせ、ラップスタイルで言葉をたたみ掛ける。The BONEZの放つ刺激だらけの音に、オーディエンスもジャンプを繰り返しながらテンションを高め続ける。ステージの上も客席も、一人残らず誰もがヤンチャ。そんな熱いシーンの連続となった。
こうして始まった「LIFE」。イントロからハンドクラップが起こり、エンディングに向かうにつれ、会場が一つになった。「Thread & Needle」では、心の中で合唱をする会場に向けて「受け取った!」とJESSE。頼りになるみんなのカリスマがステージにいる。そしてラストの「SUNTOWN」では、幸せに満ちた一体感に包まれていった。「今日のその感じ、忘れないで」と笑顔のJESSEと、目の前のみんなに称賛の拍手を送るT$UYO$HIとZAXとKoki。新たな始まりを告げるライヴを、The BONEZはオーディエンスと共に作り上げた。
▼ASH DA HERO
そうしたライヴを見せられて、俄然、燃えたぎるASH DA HERO。なにしろ憧れのカリスマとの初の対バンである。詳しいことは、BARKSに掲載されているASHとJESSEの対談を読んでいただけばわかるだろう。その一部をまとめると、若き日のASHは、JESSEに憧れて似たようなファッションや髪型をしていたこともある。地元の名古屋でバンド活動していたころ、RIZEとP.T.P.のツーマンライヴを観に行き、終演後に楽屋口から出てきたJESSEとも出会っている。そのときに啖呵を切るようにASHは「いつか対バンするんで、絶対忘れないでください」とJESSEに言い放ったことも。その出来事から約12年経った今、ついに夢は実現する。そして、SE「Super Dinosaur」と共に勢い良くステージに登場したASH DA HERO。
「やって来たぜ、渋谷。ぶちかましていく準備はできてるか。ボーナー(The BONEZファンの総称)もベイビーズ(ASH DA HEROファンの総称)も、一緒になってブチ上げていこうぜ!」──ASH
そこから始まったのは、ライヴのキラーチューン「YELLOW FEVER DANCE」。ド派手にハジけるバンドサウンドがベイビーズもボーナーも激しくうねらせ、早くもライヴはクライマックスのような盛り上がり。中盤では客席エリアのみんなを一度座らせて、「初めて観る人もいるだろ。だからこそ全員でひとつになろう。3、2、1!」と曲のキメで一斉にジャンプ。激しさと楽しさと喜びを、これでもかと浴びせかけていくようなライヴだ。3曲目「SOCIAL DIS DANCE」では、歌詞を“声を出せないなら飛び跳ねろ”と変えながら歌うぶっちぎりの煽りっぷり。
ASHはもちろんだが、Narukaze(G)、Sato(B)、WANI(Dr)、Dhalsim(DJ)も、熱さを極めたライヴパフォームとプレイを炸裂させ続ける。対バンだからこそ、と言っていいだろう。しかも相手が強敵のThe BONEZというのがでかい。強いヤツを前にしたとき、一瞬でも気を緩めたらやられる。常に攻め続けなければいけない。バンドマンとしての本能が思いっきり刺激され、新たな覚醒にも昇華される。この日のオーディエンスは、ASH DA HEROがライヴバンドとして経験値とパワーを増強させていく過程の目撃者でもある。
新曲「WARA WARA」も含めて一気に5曲を叩きつけたが、今日のライヴに休む瞬間はない。WANIが刻むヒップホップビートに、MC代わりに即興ライムを決めていくASH。この<GACHINKO>を立ち上げた意味、来てくれたヤツらへの感謝、そしてRIZEを客席から観ていたあのときの思い。ラップの後半にはこんなライムも。
「こんな時代だからこそ、ロックバンドでひと花咲かせてやろうと思ってます。名前だけ覚えて帰ってくれ、なんて言うつもりはありません。ファンになって帰ってくれ」──ASH
なんとThe BONEZのMCに噛みつくような言葉。そのまま曲が「Nonfiction」に入ったとき、突如、乱入したのは愛息と手をつないだJESSEだった。ガンガン来るヤツには手加減しない。それがJESSE流。台本などない、本当のハプニングだ。
ここから予定外のJESSEとASHのラップバトルに突入した。互いにマイクを握って相手を指さし、韻を踏みながらラップで思いのたけを言い放つ。もちろん言うことは全てノンフィクション。ASHは「勝手に俺らのステージに遊びに来るその姿勢。マジでムカつく。でも、そんなアンタに憧れて、ずっともがいてここまで来たんだ。だから今夜、アンタを超えに来たんだよ」と言い放つ。JESSEは笑顔で受け止めながらASHをさらに挑発。しかしピリピリした緊張感のバトルではなく、バンドマン同士が本音をぶつけ合う愛情と友情と尊敬に満ち溢れたラップバトルだ。ボーナーもベイビーズも、ライムのたびに興奮で両腕を上げ、勝手に歓声も出してしまう。そしてASHは、「12年前の俺に見せてやりたいこのステージ!」と歓喜のライムをエンディングで決めた。
「本当に夢あきらめないでここまで来れたと思うんで、ASH DA HERO。俺を呼んでくれてありがとう」と、ASHやASH DA HEROのメンバーとコブシを合わせるJESSE。「熱いバイブスを注入してくれました。ありがとうございます」とASH。ものすごい感動で湧き上がる拍手が、ASH DA HEROとJESSEを包み込んだ。
「Remember」からのライヴ後半。夢を実現させたASH DA HEROから放たれるメッセージの数々は、いつも以上に説得力を感じる。挫折しかけても、あきらめることはしない強い意志がビシビシに伝わってくる。それを浴びていると奥底から力も湧いてくる。
「こんな時代、死にたくなることも、ムカつくこともあるだろう。でも耐えて、耐えて、耐えて。俺達バンドマンは、どんな時代になろうが、このステージでいつだって希望や夢を発信していく。全員の夢になるし、全員の希望になっていくから。必ずまたライヴハウスで会おうぜ。いいか!」──ASH
ASH DA HEROがまたひとつタフになり、バンドとしても大きく成長した対バンライヴとなった。次回の対バン<ASH DA HERO presents“GACHINKO”ASH DA HERO vs ROTTENGRAFFTY>は4月22日(金)、開場は同じく渋谷Spotify O-EASTで行なわれる。
取材・文◎長谷川幸信
写真◎堅田ひとみ
■<ASH DA HERO presents “GACHINKO” ASH DA HERO vs The BONEZ>@3月22日(火)@渋谷Spotify O-EASTセットリスト
01. Blinding Lights
02. Wide Bright Eyes
03. Media
04. Parachute Flare
【The BONEZ】
01. Until you wake up
02. Bird -people with wings-
03. We are The BONEZ
04. Rusted Car
05. Jump Around
06. LIFE
07. Thread & Needle
08. SUNTOWN
【ASH DA HERO】
01. YELLOW FEVER DANCE
02. DAIDARA
03. SOCIAL DIS DANCE
04. Avengers
05. WARA WARA
06. Nonfiction
07. Remember
08. HERO
09. 世界をぶん殴れ
10. Get Away
■ASH DA HERO × The BONEZ 直筆サイン入りチェキ プレゼントキャンペーン概要
・日本国内にお住まいの方
・Twitterアカウントをお持ちの方
・BARKS編集部 Twitterアカウントから投稿される応募用のツイートをキャンペーン期間内にリツイートした方
※必ずご自身のアカウントを“公開”にした状態でご参加ください。アカウントが非公開の場合は参加とみなされません。
※ダイレクトメッセージを受信拒否設定している場合、参加とみなされません。
【賞品名・当選人数】
・ASH DA HERO × The BONEZ 直筆サイン入りチェキ
・2名様
【応募方法】
1. BARKS編集部 Twitterアカウント「@barks_news 」をフォローしてください。
2. BARKS編集部 Twitterアカウントから下記キャンペーン期間中に投稿されるキャンペーン応募用の投稿をリツイートしてください。
3. 上記で応募は完了となります。
※フォローを外すと応募権利がなくなりますのでご注意下さい。
【応募期間】
2022年3月29日(火)~2022年4月29日(金)23:59まで
※上記期間内にされたリツイートが応募対象です。
【当選発表】
・Twitter DMにて当選のご連絡と専用フォームのURLをお送り致します。
・専用フォームで必要事項を入力ください。
【賞品発送】
・配送は国内のみ、賞品は2022年5月中旬に発送予定です。
※やむを得ない事情により賞品の発送が若干遅れる場合がありますので予めご了承ください。
※ 以下のような場合には、ご当選の権利を無効とさせていただきます。
1. ご住所入力の不備により、賞品がお届けできない場合。
2. ご不在などにより、運送会社での保有期間を超えて賞品をお届けできなかった場合。
【ご注意事項】
・転売 (不特定多数への転売、オークションなどを含む)目的でのご応募は、ご遠慮願います。
【個人情報取扱い】
・お客様からいただいた個人情報は、賞品の発送及び、サービスの開発や、個人を特定しない統計資料、当該プレゼント/モニタにおける商品の発送、及びそれにまつわるサポートのために利用いたします。上記以外の目的で個人情報を利用する場合は、予めその目的を明示し、お客様の同意を頂いた場合のみ、個人情報を利用いたします。
※詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
■<ASH DA HERO presents “GACHINKO” ASH DA HERO vs ROTTENGRAFFTY>
open17:00 / start18:00
出演:ASH DA HERO / ROTTENGRAFFTY / 桃色ドロシー(ゲストアクト)
▼チケット
一般発売:1月22日 10:00〜
各種プレイガイド
■ASH DA HERO3ヶ月連続新曲デジタルリリース
▼3月2日(水) 「Remember」
▼4月6日(水) 「Just do it」
■The BONEZ<Welcome to The Lab House>
5月13日(金) 岡山 YEBISU YA PRO
5月15日(日) 岐阜 club-G
5月20日(金) 奈良 EVANS CASTLE HALL
5月21日(土) 神戶 THE LIVE HOUSE CHICKEN GEORGE
5月31日(火) 北見 Onion Holl
6月01日(水) 旭川 CASINO DRIVE
6月03日(金) 函館 club COCOA
6月09日(木) 高知 CARAVAN SARY
6月11日(土) 浜松 Live House 窓枠
6月17日(金) 郡山 HIPSHOT JAPAN
6月19日(日) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
6月24日(金) 新潟 LOTS
7月07日(木) 川崎 CLUB CITTA'
7月10日(日) 金沢 EIGHT HALL
7月18日(月・祝) 高崎 club FLEEZ
7月22日(金) 広島 LIVE VANQUISH
7月24日(日) 熊本 B.9 V1
▼チケット
前売り¥5,900(税込/ドリンク代別)
■The BONEZ 新曲「That Song」
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