【ライブレポート】マキタスポーツ、島津亜矢が登場した単独ライブ<オトネタ5>

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マキタスポーツが単独ライブ<オトネタ5>を3月18日(金)に東京・草月ホールで開催した。

◆ライブ写真

本公演ではアンコールに一日限りのスペシャルゲストとして島津亜矢が登場。2021年12月に配信リリースされたデュエット曲「歌うまい歌」を披露した。同公演のレポートをお届けする。

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いまだに鮮明におぼえている。心待ちにしていたマキタスポーツの<オトネタ5@草月ホール>が開催寸前で中止になってしまったことのショックを。不要不急という耳慣れない差別用語が、われわれの生活の糧となっていたはずのイヴェントやコンサートがことごとく中止の憂き目に遭ったあの春。

あれから2年、コロナはまだすぐそこにある。でもこれからはウィズ・コロナで行くしかないと心に決めた世界。だったら僕らもウィズ・オトネタで行こうじゃないか。こうして2年越しに開催が決まったマキタスポーツのライフワーク的ライヴ。この日が来るのを、首を長くして待っていた観客たちもみんな色めき立っていて、マスクの上からも口元が緩んでいるのが手に取るようにわかる。


この2年間で練りに練り上げられた演目が並んだ3月18日(金)初日。日本の将来を背負って立つだろう男への熱いエールを込めた「進次郎ポエム:だからこそ私は」にはじまり、昭和と平成における日本音楽界の情報処理能力の違いについて実証する「さざんかのnever knows」、多様性を認め合う社会作りへの関心に加え、インフラ維持などの困難さから各地で発生している限界集落問題にまで切り込んだ「オラ、不協和音だ」などいずれのネタも切れ味の鋭さは満点。

白眉だったのは、マキタスポーツの真骨頂とも言える「替え歌」コーナーだ。この2年の間に発生した香ばしい時事問題をキャッチーなメロディーに乗せて料理し、会場をブラックな笑いで染め上げていくマキタの手腕に惚れ惚れさせられた。それにしてもTHE YELLOW MONKEY「JAM」の替え歌「噛む」といったら。去年の夏、名古屋方面で発生したあの事件によって心に付いてしまった歯形がいまも消えていないことに気づかされた。


マキタによるひとりミュージカル「朝食バイキング」は中盤のハイライトと言っていいだろう。あまりに広すぎるステージを縦横無尽に駆け巡りながら体力の限界に挑もうとするマキタを見つめながら、そうだった、ここは地下のライヴハウスじゃなかったんだ、とつくづく思い直したもの。さまざまなキャラをみごとに演じ分けるマキタの演技力には脱帽させられたが、さすがにひとりじゃ場がもたないと思ったのか、終盤にヤングな3人娘が登場し、みんな揃ってダンスを披露。その展開がいちばんの盛り上がりをみせたことは言うまでもない。


VOWネタとJ-POP批評をマッシュアップさせた「マキタnote~巷にあふれるJ-POP~」、河内音頭の音頭取りに扮して人と世の真実を炙り出した「FACT音頭」、バッチリ板に付いたB-BOYぶりが見ものの「ヒエラルキー」、ヒゲダンにも引けをとらないメロディーメイカーぶりを発揮した「一歩前へ」を経て、アンコールにこの日の最大の事件が起こる。歌怪獣こと島津亜矢が襲来し、シングル曲“歌うまい歌”を披露したのである。


両者がステージで共演するのは<マキタスポーツのオトネタ大賞2019>以来だと記憶するが、とにかく呼吸ピッタリ、息スッキリ、爽やかな感動が長続きする名パフォーマンスとなり、1日目に参加した観客たちへの嬉しいプレゼントとなった。歌い終えたマキタがおもむろに目を拭っていたけれど、両者の間に立つパーテーションを突き破るような島津の咆哮はまったくもって感涙モノで、その夜は彼女の声が耳から離れなかったほど。

公演は3月19日(土)も続く。そこに行けば、52歳の男の野生の証明が目の当たりにできるはずだ。オトネタを愛し、オトネタに愛された男がみせる素晴らしきライヴ。彼が発する愛の飛沫をぜひとも全身で浴びてほしい。


Text by 桑原シロー

■公演情報

<マキタスポーツ「オトネタ5」>
2022年3月18日(金)、19日(土)東京・草月ホール
後援:TBSラジオ
企画:マキタ学級
制作:江戸屋/日本コロムビア/ホットスタッフ・プロモーション

【GUEST】
島津亜矢

◆マキタスポーツ オフィシャルサイト
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