【インタビュー】flumpool、コンセプトアルバム『A Spring Breath』に変化と原点「冬が終わることを望んでいたのかもしれない」

■メンバー間で考えることが多くなった
■前よりも一層支え合っていかないと

──今日インタビューさせていただいて、皆さんの会話のナチュラルな空気感から、バンド内にも良い風が吹いてるのかなと感じました。

山村：たしかにそうかも。

小倉：最近は音楽だけじゃなくて、例えばYouTubeの番組とかも4人でやっているのが関係してるのかな？とは思いますね。

山村：『ふらよん！』ね。

小倉：そういう音楽以外のことでもメンバー間で考えることが多くなったので、前よりも一層支え合っていかないとっていう。もちろん、独立したというのもありますし。そういうことも含めて、いい風が吹いているのかな？という気がしますね。『ふらよん！』はやっていて楽しいですし、ライブも今まで以上に楽しいですし。だから、今までよりも気は遣わない、気を張らない感じはお互いにありますね。

──元気さんはどうですか？ 今の4人の空気感についてはどう感じていますか？

尼川：まぁ、普通です（笑）。好きでも嫌いでもない。「今、仲いいんですよ」と言うのも恥ずかしいというか、ちょっとキモイじゃないですか？　それだけは言いたくない（一同笑）。


──例えば、学生さんであれば3年間のうち2年間がリモートになったり、様々な行事が取りやめになるなど、諦めることを余儀なくされた方たちも多かったと思います。閉塞感に満ちたご時世ですが、一歩踏み出していく、そんな気持ちの後押しをするアルバムになっている気がします。

山村：そうですね。大人も傷付いてるし、子どもも傷付いている。それに対する手当てというか、“ポッカリ空いた気持ちの穴を埋めてくれるものは何かないかな？ だったらそれを音楽にしよう”ということで、このアルバムを生み出していて。この間、音楽番組『ミュージックステーション』の撮影で、サプライズで大妻中野高等学校の合唱部を訪れたんです。コロナ禍で、学生生活のうち一回もコンクールに出られないまま卒業する子たちと話したんですけど、やっぱり、どこか前向きなんですよね。大人以上に自分の役割や責任を感じて、周りを落ち込ませないよう、心配させないよう頑張っているふうに僕には見えて……乱されそうな心を、やっぱり音楽に支えられていて。「合唱コンクールには出られなかったけど、仲間と歌えたことによって力をもらってた」と言っていたのが印象的で。そういう力になれるような音楽を、自分たちも鳴らせたらいいな、と思います。

──まさに、そんなアルバムになっているのではないでしょうか？

山村：そうなってほしいですね。

──さて、5月5日からは＜flumpool Special 対バンTour 2022『Layered Music』＞の開催が決定。初日からスガシカオさんとの対バンという、豪華過ぎるラインナップです。

山村：そうなんですよ。むっちゃ熱い！

阪井：ずっとやりたかった対バンツアーですし、個人的に大好きな人たちばかりで。スガさんみたいな大先輩も、今一番勢いがあるようなバンドも……。

山村：Saucy Dogね。

阪井：刺激は半端ないなと思いますね。対バン相手全員が、どうやったら勝てるか分からないレベルです。

尼川：ツーマンという、そのつもりはなくても比べちゃうような状況に自分たちを追い込んでいるので（笑）、怖さはめっちゃあります。でも楽しみです。


──人気と実力を兼ね備えた方々ばかりですもんね。

尼川：かなりそうだと思うので、恥ずかしくないライブをしたいなと。

──個人的にはどんな準備をしようと思っていますか？

尼川：個人的には……何やろうな？ 下剤（一同笑）。

阪井：相手側に仕込むってこと?!

──毒を盛る的な？

尼川：そうです！

阪井：それぐらいの方法でしか勝てないぐらいの人たちとの対バンってことやな。

山村：いやいや、正々堂々とやって勝つことに意味あるから（笑）。

小倉：豪華な方々とツアーを回れることがうれしいですし、楽しみでしかないですね。ファンの方も発表を喜んでくれて、「楽しみにしてます」という声をたくさん寄せていただいて、それでまたうれしくなって。まだセットリストとかも全然決まっていないんですけど、とりあえずバンドとして勉強させてもらおうというのが僕としては一つあって。また違うflumpoolの表情を見せられるようになったら、この対バンツアーは大成功だなと思っています。音楽って勝ち負けじゃないんですけど、そんな中でも僕はやっぱり今回、“勝ちに行きたいな”と思っていますね。そう思わないとやる意味がないというか。改めて音楽で意志を強くするというのが、今回大きな一つの課題であり目標でもあって。その上で、来てくれたファンの皆にちゃんと楽しんでもらえるようなライブにしたいなと思っています。

山村：音楽は芸術だと思うので闘いではないにしろ、久しぶりにライバルと競い合う、燃えたライブになるんじゃないかな？と思いますね。これも原点回帰の話に近いところがあるんですけど、対バンライブというのは、昔はライブハウスで当たり前にやっていることだったんですよね。同じ観客に対して複数のバンドが、同じステージ、同じ環境、同じ音響でライブをするという形は、ものすごく比べられることだと思うし。普段の生活では、比べるとか競い合うとかが苦手な4人ですけど、自分たちが人生を懸ける音楽というものの中では、“負けたくない”という闘争心はあるんですよね。今回、大好きだからこそ負けたくない人たちに声を掛けさせてもらって、そこでものすごく力むflumpoolもいるだろうし、空回りする僕たちもいるだろうし（笑）。でもそれがきっとバンドの成長に繋がっていくと、これまでの経験を以てして思うんです。ビートルズがビーチ・ボーイズを聴いて制作意欲を燃やしたとか、良きライバルがどのバンドにもいて、時代の中でせめぎ合って磨き合ってきたと思うんですよね。僕らにとっても、人の曲を聴いて悔しがって新しい曲を生み出すモチベーションにすることはあるし、今回のツアーでの競い合いの中で、バンドがまた一皮むけたらいいなと思いますね。

──楽しみにしています。本日はありがとうございました！

一同：ありがとうございました！

取材・文◎大前多恵
撮影◎西角郁哉





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