INORAN、アコースティック編成のプレミアムソロ公演で今夏最新作リリースを宣言
INORANが、3月14日にBillboard Live TOKYOにてファンクラブ限定公演を開催した。今回BARKSでは、オフィシャルから届いたライブレポートを掲載する。
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LUNE SEAのギタリストINORANがアコースティック編成のプレミアムなソロライヴを行い、今夏に最新作をリリースすることを宣言した。
今年、ソロ活動25周年の節目を迎えた、INORAN。今回の<INORAN 2022 PREMIUM ACOUSTIC LIVE –NO NAME? LIMITED DAY->は、彼のオフィシャル・ファンクラブNO NAME?発足記念日の3月14日に行われた、会員限定スペシャル・ライヴである。
INORAN、葉山拓亮(ピアノ)、Yui(ヴァイオリン)、島津由美(チェロ)による、4人編成の本アコースティック・ライヴが初めて行われたのは、2019年のこと。このライヴでは、従来のバンド形式のロックなスタイルと少し異なり、生楽器の音色を活かし、リラックスした雰囲気にアレンジされた、ソロ楽曲が披露される。
序盤のMCで、INORANは「ビルボードでのライヴを経ることで、音の蓄積があり、色々なチャレンジができた。そして今、この4人だからできる音楽を、作品を作りたいと思っていて、その音を誰よりも、NO NAME?のみんなに最初にこのライヴで聴いてほしい」と、その熱い想いをファンに語りかける。その言葉通り、ファンクラブ結成21周年を記念したこのライヴには、発展を続けるこのアンサンブルならではの音の可能性と、これから制作を開始する最新作のイメージを、メンバーとファンのみんなで分かち合いたいという、INORANの特別な想いが込められていた。
セットリストには、「raize」「Daylight」「千年花」といった、シンガーソングライターとして日本詞の持つメッセージ性を追求した初期〜中期の人気曲、「Beautiful Now」「Thank you」「Long Time Comin」といった、キャリアの中で大きな転機となった『BEAUTIFUL NOW』以降の印象的な楽曲が、時系列を意識してバランス良く並ぶ。
ライヴを観覧して感じたのは、INORANのヴォーカリストとしてのさらなる表現力の進化、そして、原曲の魅力をしっかり残しながら、アコースティック編成ならではの“生楽器の美しい響き”が宿る曲アレンジの見事さだ。序盤の「raize」「Beautiful Now」「I swear」がそうだが、より繊細かつ綺麗な音色にアレンジされた、異なるテンポとストーリーのこれらの曲を、INORANは実にエモーショナルに歌い上げていく。
圧巻だったのは「I swear」で、ピアノやメゾピアノといった、音の強弱の変化が効いたパートで求められる、あえて強くシャウトをしない、伸びやかな歌の表現が、さらに磨き研ぎ込まれていた。曲アレンジでは、「raize」のAメロでバッハの「無伴奏チェロ曲 第1番:プレリュード」の旋律、「Long Time Comin」でワルツを彷彿させる優雅な3拍子のリズムが効果的に用いられ、このアコースティックなアンサンブルが目指す音の方向性が、より明確になっていた。
INORANにかつて、葉山、RYUICHIと共にTourbillonを結成した時のことを訊いた時、「葉山君は、ピアノと音楽理論を熟知していて、僕の持っていない音の引き出しがたくさんあり、一緒にバンドをやることで、彼と僕は“合わせ鏡”のような関係になった」と話していた。
そんな、もう1人のキーマン、葉山の巧みなアレンジセンスはまさに秀逸で、ヴォーカル、ギター、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの温かい音色が、曲の重要なパートとしてしっかりと組み込まれている。どの曲にも、彼ららしいクラシック音楽に精通した和声と旋律のアイデアが内包されているが、イントロやサビの重要なパートに、2000年代ニューエイジ・ミュージックを彷彿とさせる、心地良いアンビエントなコードの響きが宿っているのが、非常に興味深い。
中盤、INORANは「今日はNO NAME?のバースデーですね。おめでとうございます。音楽で皆さんと繋がって、祝い合うことができて幸せだし、このスペシャルな時間をビルボードで過ごせて最高です」と、ファンへの真摯な想いを伝え、会場のオーディエンスも温かい拍手を送り、彼の感謝の言葉を称える。
最新作の音楽性を把握できるヒントが散りばめられた、本公演。中でも、特筆したいのが、この日ゲスト出演し、INORANと共に素晴らしい歌のハーモニーを聴かせた実力派シンガー傳田真央の抜群の歌唱力である。傳田は、世界的に著名なクラリネット奏者の父と、ピアニストの母という音楽一家に育ち、伝統的なクラシック音楽、90年代ロックやR&Bなど、幅広い音楽性を備える才女で、彼女自身はLUNA SEAに多大な影響を受けたそうだ。
ライヴ中盤のMCでINORANが、「この4人ならではの音を、もっと出したいと思っていて、そうなると、曲に歌のハーモニーが欲しくなってきて、そんな中で、本当に素敵なシンガーに出会いました。本日のスペシャルゲスト、傳田真央ちゃんです」と、ステージに彼女を呼び込む。彼女と共に披露した「Fading Memory」「Wherever I go」では、INORANが歌う主旋律に対して、傳田の黒人音楽の影響を感じさせるグルーヴィーでパワフルなヴォーカルが加わり、見事なハーモニーを作り出していく。
1stアルバム『想』から、2021年の新作『ANY DAY NOW』まで、INORANの曲には、男性と女性の異なるレンジのヴォーカルを、巧みに反映したものが少なくない。特に『ANY DAY NOW』では、男性と女性の異なるヴォーカルの響きをより効果的に曲に取り込み、大胆な変化を生み出していたが、INORANがこの要素を、次回作でさらに発展させようとしていることが、このライヴで理解できた。
傳田が参加し、ライヴが終盤に向かう中で特に印象に残ったのが、Tourbillonのナンバー「kagari-bi」だ。INORAN作曲、葉山作詞による「kagari-bi」は、“誰かが導き出した壊れそうな世界でも君は独りじゃないから〜”という、ポジティヴな歌詞のメッセージが込められた佳曲である。コロナ渦の混乱、悪化の一途をたどるウクライナ情勢など、先行きが不透明な現在を生きる中、この曲に込められた優しい想い、INORANと傳田のソウルフルに響き合う歌声に、改めて背中を押された自分がいる。傳田は、INORANの最新作への参加が決定しており、彼女の歌声が楽曲に大きな相乗効果をもたらすのは間違いない。
観客席を左右に分けて、オーディエンスに異なる手拍子のリズムを求め演奏された「Rise Again」を経て、ライヴはいよいよ終盤へ。
MCで、INORANは「僕は音楽しかできないけど、みんなが昼や夜に自分の曲を聴いて、もし少しでもポジティヴな気持ちになってくれたら嬉しいです。誰かのため、自分のために一生懸命生きていけば、きっと世界は平和になると思います。今日はありがとう」と語り、ラストナンバー「Thank you」を披露。曲終盤には再び傳田が加わり、メンバーそれぞれのソロをフィーチャーしながら、この特別なライヴは終わりを迎えた。
終演後のMCで、INORANは「今日はどうもありがとう! このライヴはBlu-ray作品になるので、皆さん楽しみにしていてください」と、本公演が映像作品として、ファンクラブ会員限定でリリースされることを伝え、この編成のライヴ演奏と、新作に対する確かな手応えを感じさせるような、清々しい笑顔を見せてステージを後にした。
制作をスタートさせたばかりの今はまだ、最新作の全貌は見えないが、今後リリースされる本ライヴの映像作品、新作完成を経ることで、現在のINORANが理想とする音のイメージが、より明らかになっていくだろう。本アンサンブルの音楽性の変化が、これからどのように発展していくか、今から非常に楽しみだ!
文:細江高広
撮影:今井俊彦
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INFORMATION
予約受付中
Live Blu-ray
PREMIUM ACOUSTIC LIVE
-NO NAME? LIMITED DAY-
2022.03.14 Billboard Live TOKYO
[販売価格]¥8,800(税込)
[仕様] Blu-ray 1DISC/収録時間 約60分予定/フォトブック付
オフィシャルファンクラブ「NO NAME?」会員限定にて予約受付中
【受付期間】2022年3月14日(月)21:30~4月14日(木)23:59
▼詳細はこちら
http://inoran.org/20545/
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