『飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト』に、スターダスト☆レビュー登場
歌謡ポップスチャンネルの音楽深掘り番組『飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト』の3月放送に、スターダスト☆レビューが初登場する。
歌謡ポップスチャンネルの人気番組として、西城秀樹、松本隆+筒美京平、BOØWYなど日本の音楽シーンのレジェンドたちを、ゲストを交えて深掘り特集してきた『飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト』だが、今回は2021年に結成40周年を迎え、現在、結成40周年を迎えライブツアーの真っ最中であるスターダスト☆レビューを迎えてのスペシャルな内容だ。
特別企画として、番組オリジナルのセットリストで名曲の数々がアコースティック・スタイルで披露される。もちろんトークも満載だ。スタジオ・ライブでは代表曲「夢伝説」も演奏され、デビュー以来2500本ものライブを行ってきたライブ・バンドの実力を目の当たりにした飯尾とコムアイは感激しきりで、そのまま爆笑トークへとなだれ込む。スターダスト☆レビューのライブは、根本要のトークの面白さにも定評があるが、まさにステージそのままにライブの失敗談や、メンバーから根本への要望、さらには根本と飯尾の「エピソードトーク対決」という、前代未聞の爆笑企画までが実現し、フレンドリーなメンバーたちの人柄やその素顔が垣間見られる楽しくも温かいスペシャル企画となった。
ここでは、放送終了後に行われたメンバーへのインタビューをお届けしよう。リーダー根本要を中心に、今回の番組への出演について、また40周年を迎えた現在の音楽活動への思いを聞いた。
「僕自身が結構アガリ症なので、一発勝負のテレビではあまり上手く歌えず、どちらかと言えば避けるようにしてきたのですが、今回はかなりナチュラルに演奏できた気がします。僕等はライブ・バンドですから、目の前のお客さん相手にずっとやって来ました。だからカメラに向かって歌い、演奏するのはとてもプレッシャーがあります。ただ、ここ最近のコロナ禍によって配信ライブを何度か経験したこともあり、今回はかなりリラックスしてライブが出来ましたね」──根本要
メンバーも、「飯尾さんとコムアイさんが間近で見てくれていたことが大きかった」と、観客に思いを届けるライブの形に近いものが実現できた、と語ってくれた。
▲根本要(Vo、G)
通常、彼らのライブはバンド形式で行われるが、今回はアコースティック・セット。この形でのテレビ出演は初めてだという。
「もともと、アコースティック・セットは、ツアーをフルセットでできない会場もあり、そのためのスタイルですが、機材が少ない分、歌を中心に表現できるという良さもあります。今回、慣れないテレビ収録にあえてアコースティック・セットで臨んだけど、それでもちゃんとスタレビを表現できた気がします。」
▲飯尾和樹(ずん)
▲コムアイ
埼玉県の熊谷で誕生したスターダスト☆レビューは、その生まれ育った土地に強い思い入れがある。
「デビュー当時、僕らは都会的だけど温かい音楽だ、と言われたことがあるんです。どうしてだろう、と考えたところ、僕らは大学に通ったり、レコードを買いに行くのに東京まで出ていましたが、ふだんは熊谷で遊び、過ごしてきた。その東京と地元の距離感、土の香りのする熊谷で暮らす温かさがサウンドに出ているのかな、と。そんな僕らの音楽を<ベッドタウン・ミュージック>と呼んでみたこともあるんです。残念ながら浸透せずに終わりましたが(笑)」
居心地のいいサウンド、気さくで親しみやすいメンバーのキャラクター、そして音から感じ取れる温かさは、生まれ育った土地に根付いたものなのだろう。一方で、今回のセットリストにも象徴的だが、わずか4曲の中にロックあり、アカペラありと多岐に渡る音楽性が見えるのが、スタ☆レビの魅力の1つ。その多様性について、パーカッションの林“VOH”紀勝はこう語る。
「スターダスト☆レビューは、何よりボーカリストの声を伝えたい、という思いが強いバンドなんです。あらゆる音楽ジャンルをやっているけれど、それをまとめるのは歌なんです」
▲林“VOH”紀勝(Per)
根本要の歌があって、はじめて成立する世界。その、歌に対しての根本の思いを聞くと、「僕は人前で歌うのが未だに恥ずかしいんです」と意外な答えが返ってきた。
「歌う行為って、自意識過剰な部分がどうしても出ちゃうんです。それが恥ずかしい(笑)。以前、『要さんの歌は、ト書きのようですね』と言われたことがあって、それが嬉しかったんです。どういうことかって言うと、例えば『木蘭の涙』で最愛の人を亡くす思いを歌うとき、聴く人が『ああ、あんな哀しいことがあったな…』と、自分を歌の主人公にして、想いを馳せてくれる。僕の悲しみではなく、聴く人の悲しみとして受け止めてもらえる。それこそが理想ですね。僕は単なる歌の伝え手であり、聴く人がその思いを受け取ってくれたら一番嬉しいんです。よく「いつも何を考えて歌っていますか?」って聞かれるけど、僕は「間違えないように」(笑)って。そうすることで、変な過剰な表現を避けられるんです。」
昔の自分の歌は怖くて聞けない、とも語ってくれた。おそらく根本要の歌は、レコーディングでは完結しないものなのだろう。
「そうかもしれませんね。だからライブをやり続けるのかも。年齢やキャリアとともに、歌い方も、声の質も変わっていきますから、常にもっといい歌が歌えるだろう、と日々思っているんです。だから僕にとっては、今日歌った歌が一番いいんです」
▲柿沼清史(B)
スタ☆レビといえば、やはりライブ・バンドとしての人気が高い。求めてくれる場所があればどこへでも行く。2016年には人口5千人の北海道の利尻島でもライブを行った。40年もバンドを続けていける、その秘訣はどこにあるのかを聞くと、根本以外のメンバーは口々に「このバンドはすごく居心地がいいから」と語ってくれた。さらに、「ここには音楽をやれる基盤がある」とも。それに対し根本はこのように返した。
「僕たちはヒット曲がないバンドだから、例えば若いバンドにどうやったら売れるのか?と聞かれても何も答えられない。でも40年間バンドを続けていける方法だけは知っているんです。それは、解散しないこと(笑)。たとえば、年に1,2回ぐらいしかライブをやらなかったら、もうバンドという意識がなくなりますよね。僕らは毎年60回もライブをやりながら、次のライブをどうしようとか、もっと上手くなりたいとか…と考えてきたから、解散を考える暇もない。それが大きいのかもしれない」
▲寺田正美(Dr)
そんなバンドであったがゆえに、60代になるまで幸福な音楽生活を続けてこれた、とも。
「僕らは音楽的に前進しつつも、常にお客さんにはひたすら楽しんでほしいと望んでいます。もちろん音楽で伝えたいこともたくさんあるけれど、とにかく来てくれたお客さんには、日々の大変なことは忘れて、ライブを観たら『楽しかったなあ…』という気持ちで帰ってほしい。僕たちが目指しているのはディズニーランドやUSJのように、現実の世界とは違うけれど、お客さんが楽しくその世界に浸ってくれること。それこそがエンターテインメントの本質だと思っているんです。先ずは日常を忘れて楽しんでほしい。それがきっと日々の活力になるはず。自分の経験を歌になぞらえてみれば、誰もが美しい物語を持てるし、音楽は心を豊かにするんです。」
そして、今の若いミュージシャンの中にも、ずっとライブをやり続けるバンドが現れてほしい、と願っている。
「ヒット曲を出すのは簡単なことじゃないけど、純粋に音楽をやりたいからバンドを組んだのなら、ひたすらやり続ければいい。何度も同じ町を訪れて、10人のお客さんを次は20人にしよう、という気概でやっていってほしい。僕等はそんな思いでライブをやっていたら、いつの間にかライブハウスからホールに変わり、年間60公演くらい出来るようになりました。これは誰でもできることなんです!
そういうバンドを総称して、渋谷系じゃないけれど『スタ☆レビ系』って名乗れたら偉そうかなぁ(笑)。まあ『スタ☆レビ系』じゃわけがわかんないから『持続系』ってどうでしょう。持続系アーティスト、カッコいいじゃないですか(笑)」
その持続系アーティスト、スターダスト☆レビューの魅力の一端が、今回の『飯尾和樹とコムアイの音楽クエスト』のスペシャル・ライブでもきっとお楽しみいただけるであろう。この番組を観たら、彼らのライブにきっと足を運びたくなる。そして、あなたの街にも必ずスタ☆レビはやってくる。
インタビュー◎馬飼野元宏
撮影◎西岡浩記
スターダスト☆レビュー 特集
2022年3月27日(日)よる8時~9時
『ミュージックビデオ スターダスト☆レビュー 特集』
2022年3月31日(木)深夜1時~1時30分
◆歌謡ポップスチャンネル・オフィシャルサイト
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