【レポート】「COREMANIA」第2弾、Dragon Ash×Creepy Nuts「めったに見られないものを見た興奮の余韻が、いつまでも残る」
Dragon AshとCreepy Nutsが登場した“対バン型ミュージックリアリティショー”「COREMANIA」の第二弾。台本や司会者は用意されておらず、演奏のタイミングなどは両者がトークを重ねながらその場で決めていく本企画。演奏楽曲も対バン相手やその場の雰囲気、流れに合わせてセレクトされ、ここでしか見られないコラボレーションや、互いの音楽的ルーツを掘り下げるトークなど、今回はどんな“バトル”が繰り広げられたのだろうか?
◆「COREMANIA」第2弾 関連動画&画像
Dragon AshとCreepy Nuts。どちらの立場に立つかによって印象がまるで変わる、非常に興味深い組み合わせだが、今回はCreepy Nutsの目線になってみる。憧れたレジェンドとのツーマン、しかもフェスや対バンイベントとは違うミュージックリアリティーショーという特異な場で、今もっとも勢いと実力のあるヒップホッパー代表がどんなアティテュードを見せるのか?
オープニングは、バーカウンターとソファーを置いた洒落たスペースでのトークセッション。Kjがまるでホスト役のように、R-指定とDJ松永に気さくに話しかけるシーンが珍しい。もっと緊張するか?と思った二人も、リラックスした笑顔を見せて楽しそうだ。Kjと同じ78、9年生まれはヒップホップ黄金世代なんですよと、Rが得意のうんちくを傾ける。「やろう。お待たせ」。Kjのひとことで唐突に始まる演奏は、まさに筋書きのないドラマ。視聴者がその場にいるような気分にさせる、それが「COREMANIA」の醍醐味だ。
「こういう形の対バンも超レアなんで。お互い楽しんで行きましょう」(Kj)
曲はDAの「A Hundred Emotions」。猛烈にラウドなサウンドに包まれながら、Kjの隣にRと松永が座って聴いている絵が妙におかしい。本当は、飛び跳ねて踊りたいかもしれない。終わって「贅沢やなー」というつぶやくR-指定。気持ちはよく分かる。お次の番はCreepy、「アッパーなやつ行く? 松永さんが流したのに、俺乗るから」というR-指定の言葉に、「おおー」と歓声で応えるDAメンバー。Rのマシンガンラップが炸裂する「よふかしのうた」は、どんなジャンルのリスナーもノックアウトできるキラーチューンだ。がっちり構築された音像で勝負するDAと、その場のノリに合わせて最強の武器を選ぶCreepy Nuts。スタイルが違うからこそ面白い。
曲はDAの「New Era」へ。空間系エフェクトを駆使した浮遊感と、爆裂ヘヴィサウンドが交錯する、DA得意のミクスチャーロックだ。「Dragon Ashの曲にはライブへのこだわりをすごく感じる。僕ら世代のラッパーも影響受けてます」と、素直なリスペクトを口にするR-指定。話題はコロナ禍へと移るが、「コロナ前にこの企画があったら、果たして賛同できたか。今だからの模索だと思うし、すごくありがたい」というKjの言葉には深みがある。今は古いこだわりを捨てて前に進む時だ。それはDAが25年間ずっと曲の中で言い続けた、困難を乗り越えて生き抜くことへのメッセージ。
「ゴリゴリラップの曲やります」(R-指定)
Creepy Nuts「顔役」は、尖ったロックギターのリフに乗ってRがひたすらまくしたてる、メロディ要素ゼロ、韻と密度とスピードで攻めこむハードコアラップチューン。「キレキレのコアやってるのに、これでオーディエンスが沸くのがすごいよね」という何気ないKjの言葉の向こうに、ロックとヒップホップを股にかけてシーンを騒然とさせた、若き日の尖ったKjがいる。直接間接を問わず、確かにDAが切り拓いた地への上に若いアーティストたちは立っている。「パンチラインで上がる文化を、バンド大好きお客さんにも根付かせたい」と言うR-指定もDJ松永も、その一人だ。
DA得意のスロー&メロディアスチューン「ダイアログ」を聴いた松永が、ドラムの細かいリフに言及する。桜井が、それはハットのニュアンスの付け方で変わると応える。何気なく交わされる音楽的な会話に、年齢とキャリアのギャップはない。続いてCreepyが繰り出した「Bad Orangez」は、まさにDA直径のミクスチャースタイルで、トラップのリズムに乗ってメロディとライムがうねりながら突進する。ロックファンのハートも射貫く、これがCreepy Nutsのロックスピリット。
「エベレストとチョモランマ。名前は違うけど同じ山。何合目かのステージでまた会う日まで、これからもよろしくおねがいします」(Kj)
最後に一緒にやりますか。Kjがそう言った時、当然Dragon Ashの曲にRと松永が乗っかるんだろうと思ったが、始まったのはなんとCreepy Nuts「かつて天才だった俺たちへ」。冒頭のBOTSと松永のスクラッチ対決にも驚いたが、ファースト・ヴァースをKjが歌い出したことに仰天した。かつてDAがこういうことをやったのは記憶にないし、それを気負うことなく受け止めたCreepyもすごい。しかも、見事な2022年型ミクスチャーロックだ。演奏を終え、「いつか客前でやろう」と言ったKjのセリフは絶対にお世辞じゃない。松永が「この音源、家宝にする」とおどける。めったに見られないものを見た興奮の余韻が、いつまでも残る。
ここで終わるのも有りだが、KjとR-指定が互いの音楽遍歴を語り合う、トークセッションが最後に用意されていた。出てくるアーティスト名や事象には時代の差があるが、「形式じゃない。中身に感動するんだ」というKjの言葉に深く賛同するR-指定に、時を超える繋がりを感じる。あのDragon Ashが、今やベテランとして「若い子たち」の話をしているのも、妙に感慨深い。非常に興味深い組み合わせだが、終わってみれば納得の組み合わせだった。
つまり、マッチングの面白さ、演奏の意外性、コラボの驚き、トークの充実度、どこを取っても見ごたえがある。二組の熱心なファンでなくとも、この企画は見たくなる。結論、「COREMANIA」は面白い。
文・宮本英夫
『COREMANIA EPISODE #02「Dragon Ash×Creepy Nuts」』
視聴チケット価格:¥1,980(税込)
視聴チケット販売期間:2022年1月14日(金)11:00〜3月26日(土)23:00
URL:https://coremania.tokyo/events/deTYwrSC7syDrtq
※チケットぴあではコンビニ払いも可能
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2299607
番組を視聴するためには「COREMANIA App」のダウンロードが必要です。(一部PCブラウザでも視聴可能)
※COREMANIA公式サイトにて作成したアカウントでアプリにログインしてください。
App Store:https://apps.apple.com/jp/app/coremania/id1593966244
Google Play ストア:https://play.google.com/store/apps/details?id=tokyo.coremania.android
『COREMANIA EPISODE #03「奥田民生×BiSH」』
チケット販売:https://coremania.tokyo/events/deTYEydZWjzUBJd
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