【インタビュー】AI、アルバム『DREAM』に願い「メッセージを届け続けたい。私の方法は、やっぱり音楽」
■もっと自分を強化したい
■人を楽しませたいんですよね
──そして「First Time feat.RIEHATA」は、LAのクリエイターBernard “Harv” Harveyがプロデュースを担当。世界的ダンサーのRIEHATAさんがボーカリストとして参加していますが、素晴らしい歌ですね。
AI:最高ですよね! RIEちゃん、歌もすごく上手いんですよ。2013年にダンサーとして私のツアーに参加してくれたんですけど、何気なく歌っていた鼻歌がすごくよくて、“「いつか一緒に歌いたい”と思ってたんです。彼女はそんなつもりではなくて、ただ好きで歌ってただけだと思うけど(笑)。この曲を作ったときに、どうしてもRIEちゃんに歌ってほしくなって。
──それはどうしてなんですか?
AI:彼女がいろいろな人生経験をしているからですね。私のツアーに参加してくれたときは、お子さんがまだ小さかったんですよ。当時、私は子どもがいなかったからよくわからなかったけど、小さいお子さんを育てながらダンサーとして活動するのは本当に大変だったと思うんです。しかも、私のツアー中にケガをしてしまって……。でも、そこからRIEちゃんはどんどんアップデートしたんですよね。ツアーを一緒に回ると、いろんな話をするし、その人の本質がわかるじゃないですか。泣いてるところも笑ってるところも見たし、「本当にいろんな経験をしている人なんだな」ということもわかって。「First Time」は“初めてのとき、どうだったか?”がテーマなので、実際に人生のなかでいろいろな体験をしている人に参加してほしかったんです。
──なるほど。AIさんご自身もアーティストとして豊富なキャリアを重ねていますが、今もまだ“初めて”の経験ってありますか?
AI:いっぱいありますよ! 音楽のことだけじゃなくて、子どもが生まれときもそう。“こんなに大変だなんて、知らなかった!”って(笑)。二人目が生まれたら、さらに大変になりましたけど(笑)、それも初めての経験だったし。子どもが生まれてから、逆に“いろんなことにチャレンジしたい”と思うようになりました。
──自分の可能性を試したくなった?
AI:それもありますけど、私は歌しかやってこなかったから、そのこと自体が問題だなと思ったんですよ。歌って踊るだけじゃなくて、もっと自分を強化するというか、やれることを増やさないとダメだなって。バック転ができるようになりたい!とかね(笑)。たまにステージでバック転をやるんですけど、けっこう上手いですよ。
──それはヤバイ(笑)。
AI:ぜひ見に来てください(笑)。人を楽しませたいんですよね、とにかく。ちゃんと歌うのはもちろんだけど、お客さんはすごいものが見たいわけじゃないですか。たとえばですけど、声の調子があまり良くなかったとしても、歌とは違うところで“おもしろかった”と思ってほしいなって。
──すごい。エンターテインメント精神ですね。
AI:わざわざライブ会場に来てくれる人がつまらなくなるのは絶対にイヤなので。“「Welcome Rain」でステージに雨を降らせされないかな?”とか、いろんなことを考えてます(笑)。今はコロナで制限があるけど、そのなかでやれることを探して、とにかくおもしろくしたい。そのためにも自分一人でやれることを増やしたいんですよね。
──なるほど。AIさんの父親に向けた「パパへ」もアルバムの聴きどころだと思います。
AI:ウチのお父さんが喜んでます(笑)。「ママへ」って曲を作ってから、ずっと「“パパへ”はないのか?」と言われてたので(笑)。私が言うのもアレですけど、うちのダダ、いい人なんですよ。子どものことが大好きだし、周りの人のことをいつも考えていて、世話好き。ときどき失礼だし(笑)、お酒を飲むとどうしようもないんだけど、いい人。「パパへ」では、その両方を表わしたかったんです。
──“大好きだよ いつも素直に言えないけど”というフレーズ、世界中のお父さんがグッときちゃいそうです。
AI:そうなったらいいですね。ウチのお父さんもそうだけど、私の父親くらいの世代って、あまり子どもとコミュニケ—ションが取れなかった人が多いと思うんです。ウチも朝早く仕事に出かけて、夜遅く帰ってきて、出張とかもあって。それでも何かあったときは、父親の言葉で家族がまとまったり。“世のお父さん、すごくがんばってるな”って思うんですよ。私の周りにも「娘がしゃべってくれない」とか「息子が生意気で心配」なんて言ってるお父さんがいるけど(笑)、みなさん、子どものことをすごく思ってる。お互いに本当の気持ちが言えないだけなんだって思うし、そのことも「パパへ」の歌詞には入ってますね。
──AIさんのエンタメ精神って、もしかしてお父さん譲りですか?
AI:いや、どうだろう(笑)? 人が好きっていうのは同じですけどね。あと、鍋や焼き肉を仕切ろうとするところとか(笑)。
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