マーク・ターナー、8年ぶりに新カルテット作品をECMからリリース
ここ十数年ECMの録音に頻繁に参加し、エンリコ・ラヴァ、ビリー・ハート・カルテット、フライ・トリオ(ジェフ・バラード、ラリー・グレナディア)、ステファノ・ボラーニ、最近ではイーサン・アイヴァーソンとのデュオ作品『Temporary Kings』に彼のサックスの芸術性と音楽へのこだわりを持って参加してきた重要人物、マーク・ターナーが、2014年の『Lathe of Heaven』以来8年ぶりとなる自身が率いるカルテット作品『Return from The Stars』をECMから2022年3月25日(金)にリリースする。またアルバム発売に先立ち、収録曲の「ナイジェリア II」の先行配信がスタートし、ティーザー動画も公開となった。
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本作におけるターナーのメンバーへの作曲ライティングは、プレイヤーに十分なスペースを与え、爽快感と思慮深い表現の弧を描いた作品に仕上がっている。ソロはアレンジから有機的に流れ出し、ターナーのテナーとジェイソン・パルマーのトランペットのまばゆいばかりのインタープレイの下、ベーシストのジョー・マーティンとドラマーのジョナサン・ピンスンはしばしば自由に動き回る。コード楽器がないため、音楽における会話の可能性が広く開かれており、作曲は綿密に構成されたものと、ゆるやかに導かれたものとの間で変化する。マーク・ターナーは、直感とアンサンブルの芸術的目標の共有に大きな信頼を置いており、自由と責任の並置から生じる物語の緊張を大切にしているのだ。
「私の作曲のプロセスは、演奏している人たちのために書くということです」と彼はコメントしている。「曲については、メンバーにあまり多くを語りたくはありません。私が書いた曲を私が選んだメンバーたちが、基本的には彼ららしく演奏するとわかった上で曲を書きたいのです。むしろ、彼らが私の書いた音楽の中に自分自身を見いだすことを望んでいます。曲は、各メンバーが自分のやるべきことを選択できるように書かれています。ホーンのために書かれたパートはあります。リズム・セクションのためには、いくつかの「ヒット」と、セクションでのタイム・チェンジを除くと、それほど多くはありません。私はセクションがどのように感じるべきかというガイドラインを示し、ベースとドラムにそれをどうやるかを考えさせるだけなのです。リズム・セクションが良い音を出せるなら、何でもやってもらう、そしてその上にホーンが乗るのです」。
この作品のタイトルは、スタニスワフ・レムのSF小説から引用したもので、宇宙飛行士が探索的な宇宙ミッションから帰還すると、地球上の生活が大きく変化し、適合主義でリスクを嫌う社会の価値観と自分との間にずれが生じていることに気づくというものだ。ターナーのSF好きはよく知られており、彼の作品に一種の慣用的な「タイムトラベル」的な性質を見出す人もいる。ガーディアン紙は、彼の前作『Lathe of Heaven』(アーシュラ・K・ル=グィンのSF小説「天のろくろ」にちなんで命名)を、「21世紀のリズムのコンセプトの上に浮かぶ『クールの誕生』のようなサウンド」と評している。
ジャズの巨匠たちに対するターナーの深い研究が、彼のスタイル、テナー・サックスのフルレンジでの表現力、そしてその歴史を鋭く意識しながら音楽を前進させる彼の作曲の幅をどんどん広げている。ジャズ・ファンは要注目の作品だ。
『Return from The Stars』
UCCE-1191 SHMCD ¥2,860(税込)
https://Mark-Turner.lnk.to/ReturnfromtheStarsPR
■収録曲
1.リターン・フロム・ザ・スターズ / Return From The Stars
2.ターミナス / Terminus
3.ブリッジタウン / Bridgetown
4.イッツ・ノット・オールライト・ウィズ・ミー / It’s Not Alright With Me
5.ナイジェリア II / Nigeria II
6.ウェイスト・ランド / Waste Land
7.アンアクセプタブル / Unacceptable
8.リンカーン・ハイツ / Lincoln Heights
◆マーク・ターナー オフィシャルサイト