【インタビュー】マルシィ、Z世代女性リスナーが大注目の福岡発3人組ロックバンド
■失ってからでないと気づかないことがある
■そういったことを僕たちの曲を通して感じてほしい
――では、新曲「ピリオド」の話に行きましょうか。これは、どんなふうにできた曲ですか。
うきょう:女性目線の曲はマルシィでは初めてで、どういうところで女性らしさが出せるかをすごく考えて作りました。僕の狭い世界の中だけかもしれないですけど、女性は心を決めたら曲げないという印象があって、自分のほうを向いていてくれている時はいいのですが、もう終わりだと心を決めたら、まったく振り向いてくれなくなる。そういう僕が思う女性の心理を曲に落とし込みたかったんです。それで、女性目線の歌詞に挑戦してみようと思って書きました。
――なるほど。
うきょう:そこに、皮肉めいた表現もちょいちょい混ぜながら。きついなと思う部分はあったんですけど、書くのはけっこう楽しかったです。どんどん自分が思い描いた楽曲になっていったので、そこは楽しかったです。
――プレイヤーの二人にとっては、どんな曲ですか。
タクミ:歌詞に関しては、僕もめちゃくちゃ共感できる部分があったので、(涙が)ツーッて来ちゃいました。最初に弾き語りで聴かせてもらって、即興でバンドサウンドを付けていったんですけど、最初からこれは良い曲になりそうだなと思いました。
おさみぃ:ビビッと来る感じね。
タクミ:それをこの曲に感じました。そこから(アレンジを)詰める作業はかなり時間がかかったんですけど、メンバーみんなが納得いくような作品に仕上がり、僕は今一番好きな曲かもしれないです。
おさみぃ:感情の起伏がすごく激しい曲なので、歌詞の感情に寄り添ったどんどん変化するアレンジを作るのに本当に時間がかかりましたが、演奏面もすごく満足いくものができました。
――ストーリーがちゃんとある。それはリリース日に解禁になったミュージックビデオを見ると、よりはっきりすると思います。
うきょう:そうですね。今回は歌詞に寄り添った世界観をMVで表現したいと考え、同世代の松本花奈監督にお願いしました。最初に脚本をいただいた時点で楽曲に寄り添った素晴らしい内容だったんですが、僕の中で「もうちょっとこういうシーンを増やしてほしい」ということを言ったりして監督には本当にわがまま聞いてもらいました。
――それは、たとえば?
うきょう:二番の歌詞に、辛い出来事や自分の将来のことを考えたりして、それで離れていく複雑な感情を表現している部分があるんですが、ただ悲しい物語にしたくはなかったので、純粋に幸せだった時間も映像で描写していただけたら、その落差で僕が描きたかったことがより表現できるかなと思ってお願いしました。もちろん、もとから幸せなシーンもあったんですけど、さらに増やしてもらいました。
――なるほど。それがおさみぃくんの言った、どんどん変わるアレンジや演奏にぴったり寄り添っている。
おさみぃ:そうですね。
――マルシィを好きな人は、そういうドラマ性に惹かれているんだと思います。そしてこれからマルシィを知る人へ、マルシィの歌がどんな人たちに届くとうれしいと思いますか。
うきょう:恋愛のことを中心に書いているので、終わった恋愛を引きずってしまっている人に、楽曲を通して「似たような思いをしている人はたくさんいるよ」と優しく隣にいるような存在になれたらいいなと思います。今作は「ピリオド」という曲ですけど、「終わり」ということだけではなくて、純粋に幸せな時間を歩んでいる人たちにとっても、あらためて今を大切にすることと、失ってからでないと気づかないことはあると思うので、そういったことを僕たちの曲を通して感じてほしいです。今その人が隣にいるうちに、失ってから気づくことのないように、大事にしてもらいたいと思います。
――多くの人に届きますように。最後に、バンドとしての未来予想図や、夢や、そういう話をしましょう。メンバー内で、そういう話をしたことはありますか。
タクミ:夢じゃないかもしれないですけど、コロナでしばらくライブができていなくて、その間にマルシィのファンがありがたいことに増えてきたので、直近の目標は、現状でできる一番大きいハコでライブして、来てくれている人たちにマルシィの楽曲を生で感じてもらいたいです。
――その最初の目標が、3月27日の渋谷WWW X、東京ワンマン。どんなライブにしたいですか。
タクミ:僕はマルシィの楽曲がすごくいいと思っていて、本当に曲を聴いてほしいのと、それを生演奏と生歌唱で一番素晴らしい形でお客さんに届けられたらと思っています。
――うきょうくんは、このバンドにどんな夢を描いていますか。
うきょう:僕は曲を書く上で、聴いてくれる人ありきだなと思っています。始めた時と比べると、たくさん聴いてもらえるようになったなとは思っているんですけど、もっといろんな人のもとに届いて、僕たちの楽曲を聴いて何かを感じてもらいたい。そういうふうに広がっていってくれれば、作っているこちらも報われると思っています。調子に乗っていると思われるとアレですけど、将来的には国民的なバンドといいますか、若者から幅広い世代に届けられるような曲を書いて、応援してもらえるような歌が歌えたらいいなと思っています。
――いい夢ですね。
うきょう:息の長いバンドになりたいですし、一人一人に届けた結果として大きくなれたらいいなと思っています。僕も大きいところでライブをやりたいですし、武道館とかもやってみたいですけど、まずは一つずつ自分の周りから伝えて行って、最終的にそういったところに到達できたらうれしいなと思っています。
取材・文:宮本英夫
リリース情報
2月23日(水)リリース
<マルシィ one man live 2022”START”>
17:00開場 18:00開演
チケット:¥3,000(税込)+ドリンク代
一般発売:2022年3月5日(土)10:00~
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