【インタビュー】<ウォーターランフェスティバル>プロデューサー・柳延人、「みんなが集う遊び場にしていきたい」
「エンタメ・音楽」「水掛け」「マラソン」の3つの要素を融合した日本最大級の水かけ祭り、それが<ウォーターランフェスティバル>。
コロナ禍以降、ふたたび野外での開催が可能になるまでは屋内型のフェスティバルとしてリニューアル。<ウォーターランフェスティバル>の根本にある「童心に戻って無邪気に遊ぶ」のコンセプトを、いろんな形へ置き換えながら継続し続けている。
同フェスティバルの中心を担うのが、ヘアメイクアーティストの柳延人氏。ファッション・美容・芸能モデルのことを学べる、高校/専門/大学「BLEA学園」の代表も担っている。このたび柳延人氏が、これからの「ウォーターランフェスティバル」について語ってくれた。
◆ ◆ ◆
──柳さんは、2021年よりプロデューサーとして<ウォーターランフェスティバル>を運営。いつ頃から同イベントに関わっているのでしょうか?
柳:<ウォーターランフェスティバル>自体には、第一回目から参加。夏の野外で、DJの流す音楽を聞き、ビールを飲みながら「もう楽園みたいなイベントだな」と、最初はお客さんとして楽しんでいました(笑)。初めて仕事として関わったのは、2018年のとき。主催者と仕事を通した繋がりがあったことから、そのときに依頼を受けたのが「イベントのオープニングアクトを担うキッズダンサーをブッキングできないか」ということでした。
──最初の接点が、ヘアメイクではなく、キッズダンサーのブッキングだったのですね。
柳:そうです。自分は今、美容にまつわるサロンやスタジオ運営、コンサルティング、「BLEA学園」という学校など多岐に渡り手がけています。その中の一つとして携わっているダンススクールで、多くのキッズダンサーが学んでいたことから、「ぜひ出演してもらえないか」と声をかけられたのがきっかけでした。キャスティング業は自分の本業ではなかったとはいえ、身近に人材がいたことから「じゃあ、ブッキングしますね」という話になって関わったのが最初の接点。僕自身、ヘアメイクという立場で多くのタレントやアーティストなどの芸能人の方々と繋がりを持っていたことから、「このタレントやアーティストをイベントへブッキングしたいんだけど、繋いでもらえますか?」と、他のキャスティングも次第に頼まれるようになったことが、<ウォーターランフェスティバル>に関わるきっかけになりました。
▲柳延人氏
──そこが、始まりだったんですね。
柳:そうなんです。キャスティングをする際にも、相手側に「どういう内容のイベント?」と聞かれるじゃないですか。そこで僕がイベントのことを把握してないと説得力を持って伝えることができない。それもあって運営側から膨大の資料をいただき、端から端まですべて読んで把握。具体的な出演内容の説明から出演料の交渉まで行うようになれば、毎年の開催毎に関わる比重が大きくなり、今に至っています(笑)。もともとは異分野として始めたことでしたが、結果的に<ウォーターランフェスティバル>が、自分の新しい可能性の幅を広げてくれた機会になったなと前向きに捉えています。
──柳さんが本格的に「ウォーターランフェスティバル」の開催に関わるようになったのは、何時からになるのでしょうか?
柳:いわゆる委員会に参加し、本格的に運営へ携わりだしたのは2020年からになります。ただし、当時はまだ委員会の一人という立場でした。2020年開催の<ウォーターランフェスティバル>では、キャスティングや制作進行、開催時の台本まで、初めて深く関わりながら行うはずでしたが、残念ながらコロナ禍によってイベントは中止になりました。ですが、その制作工程の評価を受け、2021年の開催からは「イベントの制作プロデュースを担ってほしい」というみなさんからの声を受け、今年はプロデューサーとして、しかも、初の「屋内フェスティバル」として準備を始めました。
──コロナ禍という状況を踏まえてとはいえ、柳さんの手腕によって、今年の<ウォーターランフェスティバル>は室内を舞台にした新しいイベントスタイルを確立しました。
柳:確立していくのはこれからになりますが、その土台作りを今年はやれたなと思います。これまでの<ウォーターランフェスティバル>と言えば、野外を舞台にみんなで水を掛け合う“夏の風物詩”的なお祭りイベントとして大勢の方々の支持を得て、定着もしてきました。当時から、ライブ/ファッションショー/トーク/DJによるパーティー/ランの部分を司るスポーツ要素など、多岐に渡る“楽しいコンテンツ”を大きなイベントの中で実践してきました。僕がプロデュースを担うようになってからも、根本となる姿勢は継続しています。そのうえで、どう新たなカラーを付けてゆくか……。来年も、7月9日にTOKYO DOME CITY HALLで<ウォーターランフェスティバル 2022>の開催を発表している通り、現状はまだ屋内フェスティバルとしての開催という形になります。ならば、屋内ならではの<ウォーターランフェスティバル>らしさをどう出すのか。それを、これからいろいろ実践していこうと思っています。
──11月に行った<ウォーターランフェスティバル>でも、野外フェスティバル時代に支持を得ていたライブやDJ PARTY/ファッションイベントを継続。柳さんの原点にもなっているキッズダンサーたちのパフォーマンスもしっかり入れてましたよね。そのうえで、2.5次元俳優を中心軸に据えた「イケメン祭り」など、今までの<ウォーターランフェスティバル>にはなかった新しいカラーを加えながら開催。そこで得た成果と評価を受け、派生フェスティバルとして12月25日には、2.5次元俳優たちを起用し、ふたたび<イケメン祭り>を、<笹森裕貴クリスマスパーティー>として開催。26日には、30組ほどのアイドルたちを集めた通称<アイドル祭り>の<WaterRun IDOL Festival Vol.0>を開催するという新機軸も打ち出します。
柳:それでも、自分たちが求める理想にはまだまだ追いついてないのも現状です。屋内で行うことで、このフェスティバル一番の醍醐味である実際に水を掛けあうことは出来ません。でも、CG映像を駆使してその楽しさを表現しても良いわけじゃないですか。そうやって、新しい形で「水掛け祭り」の楽しさを屋内フェスティバルにも投影していこうと、いろんな構想を具現化しようとしているところです。
──やはり、「水掛け祭り」というコンセプトは欠かせませんよね。
柳 :<ウォーターランフェスティバル>誕生のきっかけになった、タイで今も行われているソンクランフェスティバルと呼ばれている「水掛け祭り」。それって、タイでは日常に根付いている、僕らが幼少の頃に水をかけあいながら遊んでいた、あの感覚の延長にあるもの。僕らが夏になると、海やプールに行きたくなるのも、水遊びに惹かれてじゃないですか。確かに「水」は大きなキーワードになっていますけど。僕らが<ウォーターランフェスティバル>で大切にしたいのは、もともとの祭りの根本にある「童心に帰って楽しめる」こと。そこを、僕らが作り上げる<ウォーターランフェスティバル>では一番の軸にしています。もちろん、今も野外での開催を願い、世の中がそれを許す時期がきたらすぐに対応していけるように準備も進めています。2022年夏に、ふたたび野外フェスティバルも行えるか。こればかりは行政との兼ね合いもあるので僕らは明言できませんが、もし、「1万人規模の野外フェスティバルの開催を認めます」と言われたら、すぐに行えるだけの外枠は固めています。あとは、その時期を待つだけですね。
──その言葉、とても嬉しいです。
柳:本筋となる野外フェスティバルの再開も望んでいますけど。2022年7月に屋内で<夏のウォーターランフェスティバル>の開催も発表していますし、年内も12月25日と26日に<イケメン祭り><アイドル祭り>という、<ウォーターランフェスティバル>の中の新しい一面をよりクローズアップした形でのフェスティバルを行うように、これからはジャパンカルチャーという側面を持った分野も積極的に取り入れ、より進化した<ウォーターランフェスティバル>にしていこうと思っています。
──いいですね。
柳:今年の<ウォーターランフェスティバル>を屋内フェスティバルとして行ったことで感じたのが、このパッケージなら東京だけではなく、全国各地へ。時期が来たら、海外にだって持っていけるなということ。「屋内仕様のウォーターランフェスティバル」の中へ、開催した地域にまつわるご当地イベント要素を盛り込むことや、ご当地タレントやアイドルを起用しての企画も十分にできます。<アイドル祭り>を全国各地でサーキットイベント化するなら、各地のご当地アイドルたらとの共演だってすぐに実現可能です。しかも、屋内フェスティバルの場合は季節に関係なく行える。今年の<ウォーターランフェスティバル>が、緊急事態宣言など諸般の事情で11月に開催になったこと。12月に新たな派生フェスティバルを立ち上げたこと。それもあって、2022年以降は、いろんなシーズンイベントに合わせた<ウォーターランフェスティバル>を行いたいなと思っています。近い将来、ゲレンデを舞台にした「雪かけ祭り」だって登場するかも知れませんからね。
──どんどん可能性が広がっていきますね。7月9日にTOKYO DOME CITY HALLで行う<ウォーターランフェスティバル 2022>の舞台上での発表に向け、m.c.A・T氏プロデュースによる「ガールズダンスボーカルユニットオーディション」もスタートしています。すでに、いろんな形で<ウォーターランフェスティバル>にまつわる動きが生まれ、2022年もいろんな形でその姿を見せていくんでしょうね。
柳:m.c.A・Tさんがプロデュースするオーディションは、着々と進んでいます。きっと春前には正式メンバーが決まり、m.c.A・Tさんの手による育成期間を経て、その中で音源などの制作を行いながら、夏の<ウォーターランフェスティバル>のときにはしっかりお披露目まで持っていくつもりです。もちろん、その経過も随時お知らせしていきますので。
──話を聞いてると、柳さん自身が<ウォーターランフェスティバル>の業務のすべてを担う形になりますよね。普段の仕事との兼ね合いもかなり大変になってきません?
柳:むしろ、今行っている<ウォーターランフェスティバル>の制作進行は、あと2年半で還暦を迎える僕にとって、最後とは言いませんが、大きな変革を与えてゆく残り少ない挑戦の場であり、次の自分へ向けての新たな進化の機会だと捉えています。ここからの数年間は、<ウォーターランフェスティバル>を活動の中心に据えようと思っています。結果、それが、新たな本業になるのならそれでも構わない。僕自身、これまでヘアメイクアーティストとして、いろんなタレントさんやアーティストさん、彼ら彼女らと共にエンターテイメントの分野を作りあげているたくさんの方々と出会い、一緒に文化を育んできました。そこで得た財産を、僕は<ウォーターランフェスティバル>という最高の遊び場へ投影していきたいし、関わったみなさんにも、この遊び場で自身の魅力や才能を発揮してもらいたい。
──なるほど。
柳:そう考えたら、ここは僕自身の新しい挑戦の場というだけではなく、僕自身がここまでの歩みの中で培ってきた人たちと一緒に新しい遊び場を共有していく場。同時に、新しい才能と出会い、また一緒に育んでいける場。もちろん、見てくださる方々にも、新しい「風物詩フェスティバル」として、<ウォーターランフェスティバル>が動くごとにみんなが遊びに集う場としていきたいなと思っています。
──これからの<ウォーターランフェスティバル>の動きが楽しみになってきました。
柳:これからも、<ウォーターランフェスティバル>の動きは逐次報告していきます。ぜひ、みなさんにとっても楽しい遊び場になるように仕掛けていきますので、これからも注目し続けてください。
取材・文◎長澤智典
インフォメーション
12月25日(土)
1部 開場 12:00〜 開演 13:00〜
出演者 笹森裕貴、伊万里有、浜ロン、他
2部 開場 16:00〜 開演 17:00〜
出演者 笹森裕貴、吉澤翼、宮崎湧、浜ロン、他
会場 ニューピアホール(http://www.newpier-hall.jp/visitor/#visitorConts)
<WaterRun IDOL Festival Vol.0>
12月26日(日)
開場 11:00〜開演 11:30〜
出演者 I'mew(あいみゅう) / あわこい / 衛星とカラテア / Caress Van End / キミイロプロジェクト / 境界線 / KOMACHI+ / シュガーノアール / トキメロ /
日曜日のアプレミディ / ヒビコレ / 楓歌風奏 / FuMA / page ONE / ポジティブモンスター / MAD JAMIE / 森ふうか / YUMEADOCiTRON / YUMEADOEUROPE / 4次元コンパス / 未ダ、君ヲ推セズ。 / CASS1E / たまご姫【たまプリ】/ bob up. /ヤンチャン学園音楽部 / Lycoris Radiata / R.I.P.研究所
会場 ニューピアホール(http://www.newpier-hall.jp/visitor/#visitorConts)
<ウォーターランフェスティバル 2022>
2022年7月9日
東京ドームシティホール
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