【インタビュー】メトロノーム、こだわりを詰め込んだライヴアルバム完成

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ヴィジュアル系バンド・メトロノームが約2年ぶりの新作アルバム『5th狂逸インパクト』をリリースした。

◆撮り下ろし画像

本作は<MAJOR DEBUT 5TH ANNIVERSARY SPECIAL ONLINE LIVE 2021「5th狂逸インパクト」>の楽曲を収録したライヴアルバムで、さらにDISC-2には新曲が2曲収録されるという特別編成の企画アルバムだ。メトロノームのライヴの魅力を味わえる上に、最新のメトロノームのサウンドを味わえるとなれば、まさに“メトロノームのいま”がわかる一作といっても過言ではないだろう。それをさらに楽しんでもらうため、BARKSではインタビューを行い、本作に込められたこだわりについてメンバーに語ってもらった。

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■オリジナルと聴き比べる楽しさも味わってもらえる

──『5th狂逸インパクト』は10月24日に行なった配信ライブ<MAJOR DEBUT 5TH ANNIVERSARY SPECIAL ONLINE LIVE 2021「5th 狂逸インパクト」>のベストテイク16トラックを収めたCD1と、新曲2曲が入ったCD2という2枚組の作品です。

フクスケ(TALBO-1):メトロノームが再起動して、メジャーフィールドで活動するようになってから今年は5周年なんですね。なので、それを記念したライブをして、その中からこの5年間で出した曲達をピックアップしたライブアルバムを出そうということになりました。5周年ライブをしたClub Mixaはキングレコードさんが経営している箱で、前からそこでライブをやらせてもらおうという話があったんです。それに、最近はCDを出していなかったからシングルも入れたいよねということになり。そういったことが全部重なって、こういう作品になりました。

▲フクスケ

──コロナ禍で思うように活動できない中でも、いい形でリリースすることができましたね。『5th 狂逸インパクト』を収録したライブは無観客の配信だったわけですが、無観客ライブをするようになって、それぞれどんなことを感じましたか?

フクスケ:初めてのことだったので、最初のうちはとまどったところがありました。でも、何回か重ねるうちに、自分はどちらかというと好きなほうだなと思ったんです。やっていくうちに楽しくなっていきました。ただ、さすがにここまで長く無観客ライブが続くと、心配になってきたところはありましたね。自分は、お客さんがいるライブに戻れるのかなと(笑)。ツアーとかにも出なくなったので、そこに対する心配も出てきたし。コロナの影響でリリースや活動がどんどん後ろに流れていってしまったけど、それを5周年ということが助けてくれて今回のCDを出せたので、このままいい方向に向かっていけるといいなと思っています。

シャラク(VOICECODER):無観客ライブは、最初は違和感がすごかったです。ライブというよりはミュージックビデオやテレビの撮影みたいな感じだし、普段どおりMCをしてもスタッフの人は誰1人として笑ってくれなくて、喋り甲斐がないなっていう(笑)。MCが一番ツラかったですね。それを受けて、メトロノームのライブは普段は1人1人が喋るんですけど、配信になってからみんなで喋ることにして、それでだいぶ楽になりました。MC以外の面はライブとは別物と捉えることで慣れていったけど、僕は苦手です。普通のライブだったらどうにでもなるというか、ちょっとピッチがおかしくても勢いで持っていけるんですよ。でも、配信で、しかも2週間くらいアーカイブで観れますとなると、初見は“ワァーッ!”と盛り上がって観てくれるかもしれないけど、2回目とかはすごく冷静に観ると思う。“ピッチがちょっと”とか“歌詞、間違ってるな”という感じで観るようになると思うと、今までのライブでは感じなかったプレッシャーがあった。それに、フクスケも言ったように配信ライブの期間が予想以上に長くなったので、普段のライブに戻ったときに、やり方を忘れていないかという不安もあって。動き方とか、どうなるんだろうっていう(笑)。なので、最近は有観客ライブに戻れるという嬉しさと不安が入り混じった状態になっています。

▲シャラク

リウ(TALBO-2):最初は配信ライブをしながら、どうやって実際のライブみたいな雰囲気とか、楽しさを伝えられるかなと試行錯誤したけど、途中で別物だと捉えるようになりました。それからは、配信は配信で楽しめるようになりましたね。ただ、僕はメトロノームとは別にサポートもやっているのですが、サポートのときは、すごくプレッシャーがありますね。元々間違えないようにと思っているけど、よりシビアにならないといけないというのがあって。周りのサポートをやっている人を見ると、プレッシャーでイップスみたいになってしまっている人とかも結構いたんですよ。こういう時代だからリハーサルも少ないし、でも本番は絶対に間違えられないし…ということで。だから、この1年半とかはメチャメチャ練習しました。僕自身はそういう状況に燃えたし、ミュージシャンであればそれも楽しめないと…という気持ちもありましたね。ただ、ずっと詰めて練習していたので、両腕がずっと腱鞘炎でした。

▲リウ

──意識の高さを、あらためて感じます。では、ここまでの話を踏まえて『5th 狂逸インパクト』について話しましょう。本作のライブトラックはスタジオ音源とは一味異なる熱気やライブ感に溢れていることが印象的です。

シャラク:『5th 狂逸インパクト』は、オリジナルと聴き比べる楽しさも味わってもらえると思います。歌で言うと、「暗いbaby」と「おやすみ世界」「脳内消去」「とある事象」辺りがレコーディングしたときと歌い方が結構変わっているんですよ。ライブを重ねることで身体に入ったというか、“ものにした感”がある。そういう歌い方になっているので、ぜひ聴き比べてみてほしいなと思います。

フクスケ:僕の中で推したいのは、1曲目の「5th狂逸インパクト」です。10月のライブで使ったSEなんですけど、メトロノームはワンマンではほぼ毎回SEが違うんです。ライブで聴いたらもう2度と聴けないし、配信もアーカイブの期間が過ぎてしまえば、もう聴けなくなってしまう。DVD化したり、CD化されないと残らない曲で、これまでのDVDとかだとSEが流れている中でメンバーがステージに出てくるので、声援とか拍手が起こってSEははっきり聴こえないんですよ。今回はちゃんと1から10まできれいに聴けるので、そういう点で「5th狂逸インパクト」はいいかなと思います。あとは、11曲目の「まだ見ぬ世界」のスタジオ音源は、ギターやベースが入っていないんですよ。今回は「まだ見ぬ世界」のギターとベースが入ったバージョンを聴けるというのも、いいところかなと思います。「まだ見ぬ世界」のライブバージョンはDVDとかになっていたりするけど、画を見ながらではなくて音だけで聴くと、また違う印象になるというのがありますし。それは、今回のライブトラック全曲に言えることですけどね。

リウ:僕はライブでは音源とは違って、アップライトベースとか5弦ベースも弾いているんです。楽器の持ち替えという煩雑さがあるけど、パフォーマンス面でより楽曲の世界観を深めることができるから。今回だと「おやすみ世界」とか「魔法」「まだ見ぬ世界」「血空」でアップライトを使っていて、さらに「まだ見ぬ世界」は弓で弾いています。「血空」の間奏もそう。別に指で弾いても事足りるけど、ちょっと変わったことをしたいし、今回音源にもなるということでやりました。すごく独特な低音になっているので、そこにも耳を傾けてもらえると嬉しいです。あとは、全体を通して生のドラムを活かしたアレンジが効いているのに打ち込みがきれいに聴こえるというところで、ただのライブ盤というよりも作品として良い形に纏まったなと思います。

フクスケ:今回のミックスは、リウが手がけたんですよ。いいところに持っていけたのは、それも大きかったと思います。

シャラク:そうだね。

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