【ライブレポート】The Biscats、主催ロカビリーフェス開催決定。ツアー東京公演にロカビリー芸人・TAIGA登場

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The Biscatsが全国ツアー<The Biscats TOUR 2021 ~Sweet Jukebox~>東京公演を12月5日(日)SHIBUYA REXにて開催した。到着したレポートをお届けする。

◆ライブ写真

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BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘であり、2020年代に新しいロカビリームーヴメントを起こすべく奔走中のMisaki率いるハイブリッド・ロカビリーバンド、The Biscatsが全国ツアー<The Biscats TOUR 2021 ~Sweet Jukebox~>東京公演を12月5日(日)SHIBUYA REXにて開催した。

リーゼントをしっかり決めた往年のロカビリーフリークから流行のファッションに身を包んだモデル系女子まで、老若男女&多種多様なオーディエンスの熱気で包まれた会場。そこへMisaki(Vocal)、Kenji(Guiter)、Suke(W.Bass)にサポートメンバーのダイヤ・ピアノ・サンタ(Keyboard)、奥村大爆発(Drums)の5人が登場すると、ド頭から「魅せてあげるわ スピードは落とさない ついてこいよ Rockin'go!」とスロットル全開でここでしか体感できないロカビリーパーティーを幕開け!その後も「ブルーベリー・ナイト原宿」「sweet drive」「恋はあせらず」とオリジナルのキラーチューンからプリンセス プリンセスの大名曲「Diamonds」カバーまで畳み掛け、すべての観客を熱狂の渦に巻き込んでいく。



「あまりにもテンション上がっちゃって最初から飛ばし過ぎた。ラスト3曲ぐらいのテンションでやってしまいました(笑)」「汗だくでシャワー浴びてきたみたいになってる(Suke)」「もうライブ終わりみたいになってる(笑)。今日は皆さんとすっごい濃ゆくて楽しい時間を過ごせたらと思います(Misaki)」このMCからも分かる通り、この日のライブは終始ゴキゲン過ぎるムードが充満。しかも、中盤ではスペシャルゲストがサプライズ登場する展開まで用意されており、会場はお祭り状態に化していく。その起爆剤となってくれたゲストは、あのオードリーやぺこぱが師匠と慕うロカビリー芸人・TAIGA!


Misakiが最も好きな芸人ということもあり、The BiscatsとTAIGAは最新曲「Sweet Jukebox」のMVにてコラボしており、ステージで上でもガールズダンサーを交えながら共にパフォーマンス。これには観客も大盛り上がりだったのだが、当のTAIGA本人は緊張していたらしく「このあいだね、東京ガールズコレクションにスペシャルゲストで出たときにティーンの子たちがみんなポカーンとしてて(笑)。「誰?この人」みたいな顔されたから今日もそうなるんじゃないの?と思ってビクビクしながら出てきましたよ。でも、みんな盛り上がってくれたからよかったぁ」と話していた。そして、Misakiから「いつものアレを見たいんですよね」とお願いされると、まさかの生演奏に乗せて歌ネタ「おまえ誰だよロックンロール」まで披露! しっかり爆笑も巻き起こしてステージを後にした。


そして、ロカビリーが繋いだ音楽とお笑いの豪華共演を経たタイミングで更なるサプライズ。2022年2月8日のロカビリーの日に主催フェス<ROCKABILLY FESTIVAL 2022>を渋谷asiaにて開催することが発表される。「ヤバいよね。ラジオとかで匂わせはしていたんですけど、今日ようやく発表ができました。毎年2月8日には、The Biscatsのロカビリーフェスティバルをやっていきたいと思っていて、今回はド平日なんですけど、でもやっぱりロカビリーの日にやんないといけないんで、ぜひ皆さん、その日はお休みを取って遊びに来て下さい(笑)」なお、このイベントのチケットは、本日12月6日(月)12時からEC先行で販売されるので、お見逃しなく。

そんな勢いの止まらないThe Biscatsだが、実はここに至るまでのストーリーは決して順風満帆ではなかった。「先日、私がロカビリーシンガーとしてデビューしてから5周年を迎えたんですよ。The Biscatsは2年半とちょっとになるんですけど、もうそんなに経ったのかと。その中で出逢いもたくさんあったし、別れもたくさんあって。でも、私たちはいつも応援して下さっている皆さんに「楽しんでもらいたい」という想いが一番にあって。それと「今の時代にロカビリーブームを絶対に起こしてやる」というブレない想いもあって、たくさんいろんなことがあったけど、その想いで乗り越えてきました。やっぱりみんなにはハッピーでいてほしいので、自分たちのことで悲しい想いとか心配をかけてしまうようなことは絶対に発信しないと決めていて……でも、この前、メンバーの脱退があって(涙を滲ませる)……どうしても、みんなにお知らせをしなくちゃいけなくて……」

そう、The Biscatsは今の3人にもうひとりドラマーを加えた4人組でデビューしたのだが、2021年8月、耳の治療に専念する為に脱退することになってしまった。「みんなに心配をかけてしまうことがツラくて……。で、今回のツアー、実は中止にすることが決定していたんですよ。メンバーの脱退が決まって「この先、どうなるのかな?」という状況だったので、ツアーは中止にして、来年仕切り直して「2022年から頑張っていこう」と一度は決めていたんです。でも、そのとき、みんなの顔が……(涙を溢れさせる)浮かんだんです。みんなから日々たくさん送られてくるメッセージを見て「こんなにThe Biscatsを待っててくれる人がいるんだ」ということがすごく励みになって、それで「The Biscats、こんなところで止まってちゃダメだよね」という風になって「やっぱりツアーはやろう!」って決めたんです。そして、このステージに立ってみて、本当にこのツアーを開催してよかったなって心から思います! ありがとうございます!」

The Biscatsが歌い奏でる音楽はファンやリスナーを幸せにする為に創作されている。それゆえにMisakiは「みんなに心配をかけてしまうことがツラくて」と涙した。しかし、真なるポジティブな音楽はネガティブな状況を乗り越えた者たちにこそ表現できるし、そうした表現者の生き様にファンやリスナーは呼応して力をもらう。ゆえにこの日のライブで披露された楽曲たちは、特に本編クライマックスの「Biscats Boogie」「take away」「Teddy Boy」「Rockin' Through The Night」の畳み掛けは、数々の危機を愛の力で乗り越えたバンドだからこそ生み出せる、爆発的にポジティブなグルーヴを体感させてくれた。悲しいから涙するのではなく、楽し過ぎて涙が溢れてくる音楽空間がそこにはあった。




そのムードはアンコールでも途切れることなく、光の雪に包まれながら、アコギとピアノとベルの美しい音色と共に一足早く届けられたクリスマスソング。Sukeが登場するなりボールを客席に投げ入れ、誰もが大はしゃぎで駆け抜けた「lingering scent」。そして、みんなでフラッグを振り回しながらスパークして大団円を迎えた「Hot and Cool」に至るまで、凄まじい多幸感を生んでみせた。これぞ、このバンドの音楽の本懐である。

今回のツアーで完全覚醒したThe Biscats。今後の活動からも目が離せない。

取材・文◎平賀哲雄
撮影◎山田久美子

<ROCKABILLY FESTIVAL 2022>

2022年2月8日(火)渋谷clubasia
開場17時/開演18時〜終演22時 
チケット:¥4000(ドリンク代別途)  
♂ リーゼント割 500円キャッシュバック有り
♀ バンダナ割 500円キャッシュバック有り
チケット:12月18日から一般販売開始
出演:KING CATS ・Good Spirits ・The Biscats ・THE BRAND NEW FIFTIES・DJ COBRA and more
出店:GOOD ROCKIN’・SAVOY CLOTHING ・SHIGEMI KAT CUT・原宿Jack’s・BLUE VELVET’S

<The Biscats TOUR 2021 〜Sweet Jukebox〜>

終了公演は割愛

2021年12月11日 札幌 BESSIE HALL
2021年12月18日 福岡 LIVEHOUSE CB

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