【インタビュー】花澤香菜、コロナ禍で見えた音楽活動への思い
■久々にみんなの前で自分の曲を歌えるのが楽しみ
──そんな想いをラヴソングに散りばめつつ、夜空やMoonlightをモチーフにしたのは、やはり北川さんがプロデュースされたデビュー曲「星空☆ディスティネーション」(2012年リリース)とリンクさせたかったからなんでしょうか?
花澤:ああ、そうですね! 楽曲から「星空☆ディスティネーション」にも通じるキラキラしたイメージを受けたので、夜が似合いそうな気がしたんです。しかも今まで歌ってこなかったような、それこそちょっと大人な感じもあったので、この曲の他にもデモはたくさんいただいてたんですけど、「これいいですね!」って満場一致で決まりました。そこから会社勤めで残業して、でも、好きな人に会いたくて深夜、人気のないところを二人で散歩しながら仲を縮めていく……みたいな、大人の恋愛のイメージで歌詞は書いていったんです。いい大人だから“ここから恋愛すんの?”って一歩踏み出すのを躊躇してるんだけど、でも、相手が自分を好きでいてくれてるのも感じていて、“これはイケるかもしれない。どうする? いっちゃえ!”みたいな(笑)。そういう葛藤も表現したかったんですよね。
──大人ならではの恋愛って面白い着眼点ですが、ヴォーカルはいつにも増して優しく、とても穏やかな印象を受けましたね。
花澤:レコーディングはとにかくメチャクチャ楽しくて、あっという間に終わっちゃったから、そういうリアルな楽しさが表れているのかもしれないです。北川さんとは“いいな”と思うポイントが似ているので、ツルッと歌い終わったときに「いいね!」っていう声が聞こえて「そうですよね!」って返せるのも、“あ、懐かしいな”って。あとは録り方も工夫してくださって、リバーブを多めにしていたり、レコーディング後も音源をなめらかにする作業を重ねているんです。もう、とにかくみんな気合が入っていて、一回レコーディングしたあとに“もっと歌えたかもな”っていう感触が私にも北川さんにもあったから、もう一回録り直したり、コーラスも最後の最後まで付け足していったり。本当に細部まで、今の私たちにできることを、限界まで詰め込んでいきましたね。
──結果、キラキラとキュートなラヴソングに仕上がっていますが、なんと今回のシングルはインターナショナル盤も発売されるとか。
花澤:そうなんです。ずっと中国でもライヴをさせていただいてたんですけど、日本と同じタイミングで作品を届けるというのは難しかったので、こういう形が取れるとホントに助かりますね。なので、今回、中国語バージョンも収録することになったんですけど、同じ内容でも中国語に訳すとすごく言葉数が増えちゃうんですよ。あんまりリズムが速い曲だと早口になって、なんかチャカチャカしちゃう。なので、そのへんも北川さんなりに考えて曲を作ってくださいました。
──カップリングの「港の見える丘」もゆったりとした曲で、音階といい胡弓の音色といい、中国の雰囲気を感じますよね。
花澤:親しい中国人の方に「どういう音楽が好き?」って聞くと、やっぱり中国の民族楽器を使ったようなものが好きだって言うんですよ。そういう曲って今までに無かったし、じゃあ、やってみるのもアリですよねってことになったんですけど、歌詞を書く前のデモ段階で北川さんが「港の見える丘」というタイトルを付けてくださったんで、もう、横浜の“港の見える丘公園”しか思い浮かばなくて! ちょっと景色を調べたりして、そこから歌詞は広げていきました。ただ、その前に中国語の歌詞の方は「没有你的港湾」っていうタイトルで先にできていて……。
──え! そうなんですか!?
花澤:はい。まず、北川さんがデモ音源とイメージ的な歌詞を日本語で作って、それを元に中国の作詞家の方が中国語の歌詞を書いてくださったんです。日本語詞はそれを和訳したわけではないんですけど、同じ曲と仮歌詞から書くのでイメージはちゃんと一致しますし、中国語詞のほうも歌うにあたって内容を把握しておかなければいけなくて。そしたら、港を見ながら去って行く人を想う……みたいな、結構ノスタルジックな雰囲気だったので、“別れ”というテーマはアリかなぁと。別れは一つの出発でもあるから、そういう前向きな方向をテーマにして、日本語詞のほうは書いていきました。
──てっきり日本語詞が先にあって、それを中国語に訳したのかと思っていたら……いや、新しい。
花澤:ちょっと特殊な作り方ですよね。前に「星空☆ディスティネーション」を中国語で歌ったことがあるんですけど、これがなかなか難しくて! 訳すのもそうだし、日本語で覚えたものを中国語にするとリズムが変わったりして苦労したので、中国語が先っていうのもアリだなぁとは思いました。「Moonlight Magic」のほうもそうだったんですよ。こっちは「港の見える丘」ほど世界観は近くないんですけど、やっぱり恋愛の歌ではありましたね。「心口不一」っていうタイトルの通り、好きな人に対して素直になれない気持ちを歌っていて、日本語詞で使ってる“ドキドキ”にあたる“扑通扑通(プトンプトン)”っていう単語も入ってます。
──中国語でレコーディングするということに関してはいかがでしたか?
花澤:今までも何度か中国語で頑張って歌う機会があったので、その甲斐あってか結構スムーズにいきました。以前、中国の歌番組で中国語の楽曲をカバーさせていただいたこともあったんですけど、もう大変で(笑)。ちゃんと正しい発音で歌わないと、何言ってるのかわからなくなっちゃうので、すっごく練習したんですよ! それに比べれば自分の楽曲だし、ニュアンスも入れやすいし、細かい発音は中国の方にチェックしていただきながらのレコーディングでしたけど、全然苦じゃなかったですね。あと、中国語で歌うと“可愛い”を意識しなくても発音的に可愛いフィルターがかかるので、それもまた日本語との違いが出て面白いなと思いながら歌ってました。
──2曲とも可愛い曲で良かったです。しかし、そもそも中国でこれだけ人気が爆発した理由って何だと思います?
花澤:うーん……そうですね。中国人の方ってアニメを日本語で観てくださるから、声優に対する知識がすごくあって、もともと私が声優だと知ってくれているというのもあるし、「恋愛サーキュレーション」がTikTokで使われたのをキッカケにバズって、いろんな方が覚えてくださったのもあるし。自分の感覚では、中国の方って丸顔が好きなのかな?っていうのもあります(笑)。あと、私、名前がシャンツァイ(香菜)なんですよ。中国の方からしたら変ですよね? 要するに“花澤パクチー”ってことだから。
──言われてみれば確かに! パクチーの中国語名がシャンツァイ(香菜)ですもんね。
花澤:そういう名前のインパクトもあると思うんです。“ああ、シャンツァイちゃんね”みたいな。だからテレビ番組の紹介写真を撮るときに、私だけパクチーを持って撮らされたこともあるんです。他の人はみんな花とか持ってるのに(笑)。
──なるほど、納得です。となると早くコロナ禍が収まって、また海外でもライヴができるように祈るばかりですね。
花澤:もう、いろんなところに行きたいですね! まずは11月21日にショーケースライヴが決まっているんですけど、みんなの前で歌ったことのない曲しか歌わないっていう、初めての試みになるんですよ。とにかく久々にみんなの前で自分の曲を歌えるのが楽しみだし、そこで「Moonlight Magic」も披露する予定です。そのショーケースライヴのあとは、きっとまた楽曲を発表したり、ツアーを回ったりすることになるんじゃないかな。「Moonlight Magic」は一度聴けば覚えられちゃうくらいキャッチーな曲で、自分でもよく口ずさんでいるくらいだから、早くみんなに歌って、コールしてもらえる日が来てほしいですね。あと、指ハートを多用したすごく良い振り付けも作っていただいたので、ぜひミュージックビデオでチェックして練習しておいていただきたいです。ミュージックビデオにはペーパームーンが印象的に出てくるシーンもあるので、ツアーをやるならそういったイメージも取り入れたいですね。ペーパームーンのセットに乗りながら歌うとか、三日月型のパン……ピロシキから出てくるとか。
──三日月型のパンだったら、クロワッサンじゃありません?
花澤:ああ、確かに! クロワッサンから出てくるっていいですね。みんなが“なんだ、あのでっかいクロワッサンは!?”ってなってるところに、バターまみれになって出てくるっていう。そのアイディア、頂きます!(笑)
取材・文◎清水素子
◆ ◆ ◆
インタビューの特別編はAmazon.co.jpオリジナル特典『「特典映像「花澤香菜スペシャルインタビュー」』でご視聴いただけます。
New Single「Moonlight Magic」
■きゃにめ限定盤(CD+PHOTO SET+BD)
¥4,400(税込)/品番:SCCG-00082
[封入特典]
・日・中・英訳詞付きブックレット
・スペシャルフォトセット(台紙+ブロマイド3種)
[Blu-ray収録内容]
・「Moonlight Magic」MV
・ロングメイキング&ドキュメンタリー映像
*スリーブケース仕様
■インターナショナル盤(CD+PHOTO SET)
¥2,970(税込)/品番:BRCG-00079
[封入特典]
・日・中・英訳詞付きブックレット
・スペシャルフォトセット(台紙+ブロマイド3種)
*スリーブケース仕様
※きゃにめ盤とインターナショナル盤は販路限定商品になります。詳しくはアーティスト公式HPでご確認下さい。
■初回限定盤(CD+BD)
¥1,980(税込)/品番:PCCG-02058
[Blu-ray収録内容]
・「Moonlight Magic」MV
・「Moonlight Magic」MVショートメイキング映像
■通常盤(CD only)
¥1,320+税/品番:PCCG-02059
[収録曲]
M1.Moonlight Magic ※テレビ東京ドラマ「お耳に合いましたら。」オープニングテーマ
作詞:花澤香菜 作曲・編曲:北川勝利
M2.港の見える丘
作詞:花澤香菜 作曲・編曲:北川勝利
M3.心口不一(「Moonlight Magic」中国語詞バージョン)
作詞:唐轶洛松维 作曲・編曲:北川勝利
M4.没有你的港湾(「港の見える丘」中国語詞バージョン)
作詞:唐轶洛松维 作曲・編曲:北川勝利
M5.Moonlight Magic(Instrumental)
M6.港の見える丘(Instrumental)
[共通特典(初回製造分のみ)]
2021年11月21日(日)開催<HANAZAWA KANA Showcase Live 2021 “Moonlight Magic”』チケット優先販売申込券封入。
※応募者多数の場合は抽選となります。
※応募〆切は、2021年10月12日(火)23:59となります。
<HANAZAWA KANA Showcase Live 2021 “Moonlight Magic”>
内容:トーク&ライブ(新曲お披露目)
開場/開演 16:00開場/17:00開演
チケット:全席指定 ¥4,950(税込)
主催・企画・制作:ポニーキャニオン
イベント参加方法:2021年9月29日(水)発売・花澤香菜「Moonlight Magic」きゃにめ限定盤/インターナショナル盤/初回限定盤/通常盤(SCCG-00082/BRCG-00079/PCCG-02058/PCCG-02059)初回製造分に、チケット優先販売申込券が封入されます。
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