【インタビュー】BREAKERZ、6年ぶりアルバム『WITH YOU』に未来への光「あなたと一緒に前へ」

■ひとりひとりに心を込めて
■WITH YOUを伝えたい

──倉木麻衣さんがゲストヴォーカルとして参加した「I lost (with Mai Kuraki)」はアルバムの中でも一際切なく刺さりますが、この曲はどのように生まれたんでしょう？

DAIGO：自粛期間中に作った曲ですね。夜中にサビのキーボードフレーズが浮かんで、メロディの流れもいいなというところまでできていた。その時に、“イントロフレーズをサビにするのはどうかな？”って思い付いたんです。8音しか使っていないので、サビとしてはめちゃくちゃ音数が少ないんですけど、それでも成り立つんじゃないかって。

──シンプルだからこそ耳に残ります。

DAIGO：ありがとうございます。歌詞は今年になってから改めて書いたもので、世の刹那を歌っています。人間、生きていればいつかはみんないなくなるじゃないですか。僕という存在もいつかはいなくなるし、いつか大切な人を失う時がくる。僕の歌詞は、最後は前向きになるメッセージが多いんですが、「I lost (with Mai Kuraki)」は世界観がハッキリした曲なので、ムリして明るい方向に持っていかなくてもいいかなと思ったんですよね。


──レコーディング作業中、DAIGOさん自身が「この楽曲に女性の歌声を加えたい」とひらめいたということですが？

DAIGO：そうなんです。女性コーラスが入ったらさらに良くなるんじゃないかなと。倉木さんとは以前、「ひらり舞い散る花のように（feat.倉木麻衣）」でコラボさせていただいているので二度目の音源になりますから、バカなふりをしてもう一回頼んでみようと（笑）。ダメもとでお願いしたら、快く引き受けてくださった上、デモに入っていなかった箇所までコーラスを入れてくださって。

──倉木麻衣さんがアイデアを追加してくれたという？

DAIGO：はい。もう感動しましたね。「I lost (with Mai Kuraki)」の持つ切なさに倉木さんの声がめちゃめちゃハマりましたし。『WITH YOU』というアルバムで“WITH 倉木麻衣さん”という最高のコラボをさせていただきました。

──「Blue Moon」から「I lost (with Mai Kuraki)」、「闇夜に舞う青い鳥」、大人のヴィジュアル系と表現されていた「BARABARA」に移行する憂いのある流れを聴いて、アルバムの曲順も練られているなと思いました。

DAIGO：練ってますね、この曲順を考えたのは僕です（笑）。コロナ禍なので時間はあったと言いつつ、いざアルバムを作り出すと結構時間がなくなるんですよね。曲順はレコーディング直後に決めないとならなくて。1曲目の「WITH YOU」とラストの「End Roll」の位置は決まっていたんですけど、それ以外の曲の並びは、自分なりにプレイリストを作って何回も入れ替えたりしながら試行錯誤して。

──曲の振り幅があるので、さっきDAIGOさんが話してくれたようにアッという間に聴き終わります。

DAIGO：そうですね。試行錯誤の結果、“これ、いいな”と思ったのが今回の曲順ですね。

──ラストの「End Roll」を作曲したのはSHINPEIさんですね。

SHINPEI：「End Roll」は、2018年9月開催のファンクラブライブに向けて「新曲を披露したいね」って作ったんです。特定のライブに向けて作ったという意味では、珍しい形でしたね。シンプルな曲なので聴く人によっては懐かしく感じるかもしれないですけど、僕にとっては原点となるバンドサウンドなんです。

──“♪未来は予測不可能”と歌いながら、“選んだ道を信じよう”っていう力強いメッセージが込められていて、アルバムの締めくくりにピッタリですね。

SHINPEI：こうやって並べてみると、結構前にリリースしたシングルも収録しているし、「End Roll」はそのさらに以前の曲なんですよ。だから、アルバムとして1枚にまとめるのは難しいかもなと思っていたんですが、結果、全ての曲がピースとして当てはまるのを待っていたような仕上がりになりました。1曲目の「WITH YOU」が導いてくれた奇跡に満ちたアルバムだと思っています。

AKIHIDE：そうですね。現在、メインストリームの音楽は打ち込みを取り入れたりしてて、ギターが引っ張っていくバンドサウンドって少なくなっていると思うんです。“そういう時代にBREAKERZがどういう形を提示すればいいのだろう？”と個人的に思っていたところに、新たなアプローチだけど、しっかりBREAKERZサウンドに仕上がっている「WITH YOU」ができた。冒頭でも言いましたが、やっぱり「WITH YOU」が新しいBREAKERZを象徴していると思いますね。

──個人的に触発された部分もありましたか？

AKIHIDE：この曲のアレンジに関してはシンピーや宅見(Masanori Takumi)くんが頑張ってくれたので、僕はエフェクティブな空間系ギターのエッセンスを入れることで貢献できるかなと思っていました。あと、ほかのアルバム収録曲も含め、プライベートスタジオで録ったギターに関しては、通常レコーディングよりも踏み込んで作ろうと臨みましたね。たとえば、マイクプリアンプによる音の増幅やイコライザーによる補正とか、“ギターバンドとしてどうしたら存在感を出せるか”ということを考えながら随所にこだわったんです。全体的に音数が少ないからこそ、その1つ1つの音に意味を込めるように。


──最後に、9月4日から始まる約2年ぶりのツアーは二部制で行われるそうですが？

DAIGO：はい。第1部はFCイベント＜BREAKERZ FAN CLUB EVENT 2021 -WITH TEAM B.R.Z-＞という形でやらせてもらって、第2部はアルバム『WITH YOU』の曲たちをみなさんに楽しんでいただくというコンセプトの＜BREAKERZ LIVE TOUR 2021 -WITH YOU-＞になります。このアルバムで一番伝えたいことは、“応援してくださっているみなさんや関わってくれている方々と一緒に前に進んでいきたい。常にみんなと一緒だよ”っていう想いなので、ひとりひとりに心を込めて“WITH YOU”というメッセージを伝えていきたいなと思います。

──癒されたり、励まさされたり、怒りや悲しみを共有できたり、いろいろな方向から愛が感じられる作品を直接届けていくツアーになりますね。

DAIGO：ええ。“WITH ○○”という感じですね。この時代を乗り越えていくために、僕たちもみんながいないとパワーがもらえないし、ひとりひとりが大きな存在なんです。お互いがもっともっとつながっていける。そんなライブにしていきたいなと思います。

取材・文◎山本弘子




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