「バーチャル・エイベックス株式会社」誕生

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2021年8月5日(木)、「バーチャル・エイベックス株式会社」が誕生した。

「バーチャル・エイベックス」と聞いて、「バーチャル事業に今更参入するの?」と思った方もいるのではないだろうか。

実は、バーチャルなエイベックスは3年前から存在している。本社ビルを高い再現度で3Dモデル化してバーチャル空間に建立し、ミュージックビデオの舞台や配信などで使用したり、VR空間上の展示即売会「バーチャルマーケット」に出展してVR空間上に建てたこともあるのだ。

▼バーチャル・エイベックスビルを舞台としたミュージックビデオ

そう、「バーチャル・エイベックス株式会社」は、今からバーチャルに参入します、というものではなく、これまで推進してきたVTuberのプロデュースやバーチャルイベント・ライブの企画制作などの“エイベックスのバーチャル事業を会社化”する、というものである。

エイベックスは2018年8月、VTuber奏天まひろの運用からバーチャル事業に参入し、バーチャルアーティストユニットまりなすの制作・プロデュースや、バーチャル音楽フェス<Life Like a Live!>(えるすりー)の主催・制作、<Virtual Music Award>(ブイアワ)の企画・制作、<VILLS vol.2>のライブ制作などを中心に、これまでに数多くのバーチャル事業を展開してきた。


この新会社は、2018年からの3年間、3Dモデルやシステム開発などを共に行ってきたパートナー企業である、デジタルモーション(株)との合弁会社である。強みの一つが、ハイクオリティなコンテンツを素早く創出できることだ。バーチャル・3DCGのコンテンツは事前の準備や配信、収録にかなりの時間と労力を要する。しかしエイベックスでは、2020年9月からの1年間で音楽フェスを6本、単独ライブを10本以上、曲数でいえば、500曲以上を制作。更には3Dでの生配信を年間100回以上行っているという。VTuberの動画配信でも、3Dでの全身を使った配信は特別なものという印象が強いが、エイベックスではそれを量産できる体制が整っている。それを支えているのは「専用のモーションキャプチャスタジオ」と「コンテンツ運用から生まれた専用の映像創出システム」である。

その技術やノウハウの根源は、2018年よりエイベックスが手掛けてきたバーチャルアーティストユニットまりなすにあるという。


彼女たちは、複数人でのダンスを主としたライブパフォーマンスという、バーチャルでは表現の難しい領域を主戦場としている。エイベックスがバーチャル事業を立ち上げてから、「まりなすが最高に輝ける状態」を突き詰めて、手探りで様々なことに挑戦して、ファンの声や反応を見ながら、パートナー企業であるデジタルモーション社と研究開発を繰り返し、ようやく今の形ができあがったのだという。

「専用の映像創出システム」とは、3Dモデルのコンバート(組み込み)の手間を短縮できたり、カメラを自在にコントロールしたり、照明や特効(花火やレーザ―等)の演出をリアルタイムに操作することができるというもの。つまり、アーティストが同じ曲を何度パフォーマンスしても、その度に一期一会の“ライブ”を作ることができる。アーティスト同様、カメラや演出を専用のオペレーターがリアルタイムの一発勝負で行うことで、バーチャルであっても、そこに魂が宿り、熱が籠るのだ。

モーションキャプチャも同様で、同じ機材でも、エンジニアの腕一つで精度は大きく向上する。日々試行錯誤を繰り返して蓄積されたモーションキャプチャスタジオの技術と先述のシステムを掛け合わせることで、リアルアーティストのライブにも負けない生の臨場感をバーチャルライブでも体現できるようになった。


バーチャル・エイベックスは、“仮想から熱を届ける”ことをテーマとして、バーチャルだけど生きている、熱を感じるコンテンツを作るというところにフォーカスを当てている。バーチャルはエンタメの可能性を広げる手段であり、目的はあくまで観客を熱狂させること。だからこそ、「エイベックス・バーチャル」ではなく、「バーチャル・エイベックス」の名を冠し、これまで培ってきた技術やノウハウを用いて、バーチャルの総合エンタテインメント企業として、バーチャルでしかできない方法で、興奮と感動を届けていく。

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