【世界珍楽器さんぽ #13】弾くソフトクリーム?数奇な運命を辿ったガラスのハープ

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水で濡らした指でガラスのコップのフチを擦ると綺麗な音が出ます。コップを何十個も並べて音階を作れば曲を演奏することもできます。その妙なる調べはまるで天使の歌声のよう。これがいわゆる「グラス・ハープ」と呼ばれる楽器(奏法?)です。

しかしコップを何十個も持ち歩くのは大変ですし、演奏中に1個でも倒したらさあ大変。音は綺麗ですが、不器用人間にはとても演奏できません。

そんな不満を解消するのが、このアルモニカです。構造的には実に単純。大きさの違う円盤をソフトクリーム状に連ねてグルグル回し、指を添えるだけ。調を変えるのは面倒ですが、これでグラス・ハープより簡単に“あの音色”を奏でられます。大発明ですね。


発明当時、アルモニカはめちゃくちゃ流行しました。しかしこの楽器、あまりにも美しく独特な音色がするからなのか、「聴くと心がおかしくなる」「病気の原因になる」的な噂を流され、誕生からわずか100年ほどで廃れてしまったという、なんとも奇妙な運命を辿っています。今も昔も、流行りものって難癖つけられるんですね。

「100年も存在してたんなら結構長くない?」と思われるかもしれませんが、楽器史の100年は人間の人生の5年ほどに相当するイメージです。エレキギターも約100歳ですが、前身となるギターの歴史もあわせればとても長い歴史があります。フルート系になると、紀元前から発音の構造がそこまで大きく変化していません。そう思えば、100年で廃れた楽器は非常に短命といえます。


■今日の楽器「アルモニカ」

地域:アメリカ 1761年発明
分類:Wikipediaいわく複式擦奏容器式体鳴楽器(擦って音を出すパーカッション)
特徴:妙なる調べ
日本での入手難易度:かなりきつい
ひとこと:日本ではアルモニカ奏者・尾西秀勝さんが有名で、椎名林檎さんのアルバム『三毒史』の収録曲「駆け落ち者」でも演奏を披露されている。
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