【世界珍楽器さんぽ #12】インドネシアに響く青銅のリフ
“ガムラン”という言葉の響きは、皆様どこかで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ガムランはインドネシア、主にジャワ島やバリ島で奏でられている打楽器を中心としたアンサンブルの総称です。弦楽器や歌が入ったり、舞踏や影絵芝居の伴奏として演奏されることもあり、構成などは目的や地域によって変動します。金属の打楽器が特徴的ですが、素材には青銅が用いられることが多いとか。
なんとも不思議な響きの音楽は、「ペロッグ音階」「スレンドロ音階」という2つの音階により生み出されています。音程感覚も西洋音楽と違いますので、西洋音楽的な絶対音感を持つ方には違和感が感じられるかも。国と地域が違えば「正しい音程」は変わります。
こう紹介すると「遠い異国の音楽だからイメージしづらいな」と思われるかもしれませんが、日本の和楽器の音程感覚も西洋音楽のものとはやや違いますし、舞踏や芝居の伴奏として様々な構成で演奏されています。もしかしたら、インドネシアの方々にとってのガムランは、日本人にとっての和楽器と似た距離感の存在なのかもしれません。
日本ではガムランの音色をアジアン雑貨店や料理店、マッサージ店のBGMとして聴く機会が多く、「癒しの音色」と紹介されがち。しかし実態はむしろ派手で荘厳、生で聴くとロックな音楽です。ジャワ・ガムランは宮廷音楽なので優雅、バリ・ガムランは庶民派なので激しめという特徴もあり、お好みに合わせて聴いてみるのもいかがでしょうか。
もちろん新曲も作曲されていますが、西洋楽器と合わせる際には西洋楽器側に調整が必要となります。ピアノとガムランの協奏曲を聴きに行った際には、ピアノの調律をガムランにあわせて演奏していました。音楽は「短いメロディを何度もループさせる」のが基本とのことですが、これって「リフ」という概念と似ていますね。
(編集部 安藤)
■今日の楽器「ガムラン」
分類:主に打楽器
特徴:様々な構成で場面で見かける
日本での入手難易度:大学などに楽器一式あったりする
ひとこと:演奏にはかなりのリズム感が要求されるが、西洋楽器と全く違った発想が大変面白い。主に都内ではワークショップ等もよく開かれているので是非。