【インタビュー】ちゃんみな、新作「美人」に忘れてはいけないこと「その時、私はすごく傷ついたんです」
17歳でメジャーデビューしてからコンスタントに作品を生み続けているちゃんみなも、今は22歳。アーティスト/タレント/芸能人/スポーツ選手/政治家……世に立つ人々にとって毒にも薬にもなるSNSという強烈な刺激剤の洗礼を受けながら、ちゃんみなもまた、ひとつひとつ人生を重ねてきたわけだ。
◆ちゃんみな 画像 / 動画
自身の心に問いかけ、それに応答する衝動と理性が入り混じったレスポンスに自ら刺激を受け、それをそのまま作品に落とし込むというちゃんみなの生き様は、人生の歩みとともに様々な色合いを見せてきた。そしてこの新作「美人」に込められたエネルギーもまた、鮮烈なパワーに満ち溢れた傑作となった。
シングル「美人」は、4月14日に発売となる。
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■同じ目に遭っている人に対して
■これを書かなきゃいけない
──「美人」とはまた、ありそうでなかった直球なタイトルですね。
ちゃんみな:美をテーマにした曲を書こうと思ったのは、2020年8月くらいなんですけど、実際に書き始めたらやっぱり難しくて。
──なぜ、美をテーマに?
ちゃんみな:美を追究することとか、美しいと言われることに対しての私の意見については、曲にしようとずーっと思っていたんです。いつか絶対にこのテーマについて書いてやろうって。デビューしてちょうど丸4年になるんですけど、デビューしたときに私に対するコメントは、おおよそ8割くらいが私の見た目の批判だったんですね。その時、私はすごく傷ついたんです。
▲ちゃんみな |
ちゃんみな:そうです。すごく傷ついて、私にはその人たちが悪魔に見えた。当時17歳の私を陥れようとする人をすごくたくさん見てきてしまったので、すごく怖かった。実力派って言われていたこともすごく嫌で。
──実力派と言われることがイヤ?
ちゃんみな:実力なんて“アーティストなんだから、そんなのあって当たり前”なのに、わざわざ“実力派”っていうのは、その時の私にとって“可愛くないけど実力はある”っていう風にしかとらえられなかった。コンプレックスもあったし、毎朝携帯を開くたびに「もうちょっと痩せたら?」とか、そういうコメントが目に入って私はすごく胸が痛んでいたんです。
──最悪ですね。
ちゃんみな:誹謗中傷を受けて亡くなってしまった人もたくさん見たし、そういうのがおかしいっていうのはずっとあったんです。で、今は当時より痩せたんですけど、最近になってインスタのコメント欄がひっくり返ったんですね。「綺麗」とか「美しい」とか「美人」というコメントばかりで「ブス」とかひとつも無いんです。もちろんYouTubeとかではまだあるんですけど、でも圧倒的に減ったんです。でもそれがね、私にとっては気持ち悪かった。
──逆に?
ちゃんみな:なんだろうな……ただ見た目が変わっただけで、もちろん“綺麗”っていわれることは嬉しいですよ。でも私はあの時を忘れないから。当時なんて高校生だから顔もパンパンだし、メイクの仕方だってまだ分かんない感じじゃないですか。その17歳の少女に言葉の暴力を振るっていた人が消えたとは思ってないんです。他の人のところに行っただけ。
──いなくなったのではなく対象を変えただけで、同じことやっている……。
ちゃんみな:そうです。だからそれがすごく気持ち悪かった。もちろん急に言うことをコロッと変えている人もいるかもしれないし、“周りが言ってるから私も言おう”っていう感覚だけで心無いことを言う人も結構いて、“ちゃんみなは可愛くない”という烙印を押されて、“豊満な女性全員に「ちゃんみなですか?」って話しかける”という罰ゲーム扱いもされてた。
──言葉を失うな。
ちゃんみな:私、それを絶対に忘れてはいけないと思ったんです。どれだけねちっこいと言われようが、心が狭いと言われようが。私はひとりの女性であって、それを傷つけモラルがないことを世間様が言ったのは事実だし、私はしっかり傷ついていてしっかり追い込まれていたから。自分のためにもそれを忘れられないと思ったんです。私がもう少し美しくなったらしんどいものが無くなるかもしれないと思って、毎日走ったり過度なダイエットをしたりもしたんですけど、結局……全然楽しくなかった。だから私は“同じ目に遭っている人に対してこれを書かなきゃいけないな”って作り始めたんです。
──17歳の時は、その悔しさを表に出さないで歯を食いしばってたの?
ちゃんみな:はい、食いしばってました。当時“なんで?”って曲を書くことはできたと思うんですけど、世間の一連の反応を見てじゃないと言えないなって思ったんで、歯を食いしばってました、ずっと。
──そして4年をかけて、この作品の誕生……正しい成長ですね。
ちゃんみな:ありがとうございます(笑)。
──ちゃんみなにとって美しいものとは?
ちゃんみな:自分がデザインしたいものを再現しているものが美しい、ですね。
──それはまさにアーティストの姿そのものですね。アートとはエゴイズムを具象化する行為ですから。
ちゃんみな:だからみんながアーティストであるべきだと思ってるんですよ。例えば、自分がなりたい顔がはっきりあるとすれば、それは自分の目指す美学ですよね。美学って人それぞれ違うので喧嘩になるんですけど(笑)、自分が思う美学を追究したもの……例えば整形するなり身体を改造するなり、自分がなりたいデザインだからそれを再現している人、形にできている人は私は美しいと思います。ただ、同じ整形をするとしても、例えば“今、こういうのが男の子にモテるらしい” “涙袋が流行っている” “鼻が高い方が一般的に美しいらしい”とか、他人の美学にお邪魔しますをして、そこに合わせていってる人は私は美しくないと思う。
──なるほど。
ちゃんみな:それは流されているだけなので、コピーというか、そういう印象を受けるんです。自分がなりたい美学を追求している人は美しい。満足している人もいいですね。それは自分がやりたいデザインそのものだから。
──自分の描くデザインに対し、ちゃんみなの到達度は?
ちゃんみな:もちろんいろいろありますけど、私、顔は気に入っていますよ。三白眼もとってもコンプレックスだったんですけど、今だとそれもチャームポイントですし、唇も分厚かったのがコンプレックスだったけど今はチャームポイントだし。嫌なことで言ったらセルライトとか(笑)……そのぐらいですかね。
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