【インタビュー】WSTが仕掛ける本気の勝負「常識は非常識」
音楽シーンと実業界、二つの世界で活躍する才能ががっちりと手を組み、壮大な夢へと向かう挑戦が今始まった。昨年出演した一発録りの音楽ドキュメンタリー『THE FIRST TAKE』が大反響を呼び、再び熱い注目を浴びているDef TechのMicroと、10代からの音楽メイトであり、実業家としても成功を収めているShu Dosoとのユニット、その名はWST(ダブスト)。音楽と映像を制作する新会社を設立し、12か月連続リリースという目標をぶち上げ、「常識は非常識」を掲げて驀進する新人ユニットが、2021年の世界に問いかけるメッセージとは何か? ユニットの成り立ち、新しい音楽とビジネスの発想、そして将来のビジョンに至る、二人の確信に満ちた言葉に耳を傾けよう。
◆ ◆ ◆
■成熟したエンタテインメントを
──まずはWST結成のきっかけについて、それぞれのモチベーションを教えてください。
Shu Doso:僕はずっと、違うマーケットで仕事をしてきた中で、どうしてもぶち当たる壁があったんです。僕は会社をやっているんですけど、数字を追い求める世界の中で、コンプライアンスとかいろんな問題があって、難しいことがたくさんあった。その中でなんとか頑張ってきて、それなりに満たされるものはあったんですけど、解決はしていなくて、「世の中にどうやったら自分の思いが、同じように苦しんでいる人たちに伝えられるのかな?」と思った時に、「本を書きたいな」と思ったんですね。経済界の先輩方に「本を書け」と言われていたこともあって、それを書こうと思ったんですけど、本気で腹をくくらないと書けないと思ったし、面白おかしくなっちゃうのも嫌で、一回止めたんですよ。でも、もやもやはずっと残っていた。
──はい。なるほど。
Shu Doso:そんな時に、ユウキ(Microの本名)と話したんです。もともと歌は遊びで作ってはいたし、それをユウキに聴いてもらっていたりしていくうちに、「歌も有りだな」と。本を書く以外に、自分の思いをリリックに乗せる方法もあるなと思って、ユウキに「一緒にやってもらえないか」とお願いしました。だからWSTの歌詞は、僕が社会的に思うことや、個人的に人に対して思うことや、この年まで積み重ねてきた経験や考え方を少しでも伝えられたら、自分も良くなるし世の中も良くなっていくんじゃないか?というものになっていると思います。とにかく、みんなを前向きにしたいんですよ。強く優しくしたい。優しさに寄り添うだけじゃ何も生まれないし、強くならないと人に優しくなれないから、歌を通して強さを伝えられたらいいなということです。
──Microさんにとっては、どんな思いがありましたか。
Micro:ここ5年くらい、シュウちゃんが経営している千葉の施設によく行っていたんです。Def Techの配信ライブをやった場所ですね(※ライブDVD『Ocean Side Live』としてリリース中)。目の前が海で、誰にも会わずに、朝海に行って、帰ってきて仕事をする、“波ニケーション”ということをしていたんです。彼は飲まないので、“飲みニケーション”にならないから(笑)。で、海の中で波待ちしている時にも、常にいろんな話を、社会情勢や経済、政治の話をしていて、経営者としての話をこんなに直に聞けることがなかったので、Doso大学に入ったような感じだったんですけど、それを20年間Def Techでやってきた音楽というものと何か融合できないかな?と思っていた。ただ、友達が一緒に仕事を始めると、それで離れちゃうこともあるじゃないですか? なので、この5年ぐらいずっと密にいながらも、一緒に仕事をすることはなかったんですけど、コロナになって、エンタメが全部止まってしまった時に、「今こそ動き出さないと」と思ったんですね。シュウちゃんはすぐに都内にスタジオを用意して、いつでも動けるようにスタンバイしてくれた。だからすぐにスタジオに入って、怒涛の勢いで曲を作ったという感じでしたね。
──WSTの音楽は、Microさんが持っているオーガニックで心地よい音楽性と、Shuさんが持っている問題意識や人生哲学とが、バランスよく合体したものに聴こえます。
Micro:昨日、『OCEANS』(ライトハウスメディア刊)の編集長と3人で話してたんですけど、彼は「僕が思うに、WSTはネオ演歌だ」と言ってましたね。恋愛の曲よりも、「人生とは?」というテーマを持って、生きて、老いてという、万人が逃れられない悩みや苦しみを、音楽と映像を通して果敢に乗り越えていくという、そういうアプローチですね。シュウちゃんが言ったように、寄り添うというよりも、力強くさせる音楽という意味で、確かに演歌=ブルースというものがにじみ出てきているのかな?と思います。
Shu Doso:ブルースだよね。
Micro:人と人との調和の音楽ですね。僕らにはストリートの音楽、ヒップホップがベースにあるから、黒人差別や、アジア人がヘイトを受けたりとか、そういうものを乗り越えて人権を認知させるという意識もあるし、音楽と芸術の力で世界をひっくり返したいという思いがあります。
Shu Doso:ユウキのいいところは、考え方や宗教観や、いろんなものがしっかり自分にあって、ちゃんと経済も勉強できてて、社会もわかっていて、世の中をもっとこうしたいという志がある。そういうアーティストはなかなかいないと思うんですよ。僕が社会や経済の話をしても、全部吸収できるし、それ以上の回答をキャッチボールできるので、すごいことだと思うんですね。考え方も価値観も同じなので、ずっと切磋琢磨しながらやっていけるんじゃないかな?と思います。
Micro:僕らは、40歳にして新人ですから(笑)。ロマンがあるなと思います。よく言うんですけど、ここから先は、成熟したエンタテインメントが必要になってくると思うんですね。若けりゃいい、可愛くて美しければいい、稚拙でもいい、とかじゃなくて、心の成熟度具合をちゃんとメディアに落とし込んでいかなきゃいけない。そんな中で、WSTは新人ですけど、「うっせえわ」とか、ヒゲダンとかがいる中に、ちゃんと俺らもいるわけで、それって本当に大事だなと思います。そこでWSTは、今年の1月4日にStraight Streetという会社を立ち上げて、自分たちがメディアを持って、音楽のみならず映像できちんとメッセージを伝えることをやっていく。YouTubeだったり、TikTokだったり、SNSのフォーマットはいろいろあるけど、そこもちゃんと見据えながら、大人の人たちもちゃんと感動できるような、成熟したエンタテインメントを届けたいと思います。
──WSTはただの音楽ユニットじゃない。一つのメディアでもある、ということですね。
Micro:それを、活字でも残していきたいですね。Def Techに関しては、今まであんまり楽曲の説明をしてこなかったし、「わかんなくてもいい、相手にゆだねればいいじゃん」という気持ちもあったんですけど、WSTは明確に1曲1曲、僕たちの思いがあるので。字を見て、耳で聴いて、それをちゃんと残していきたい。Def Techに関して言うと、去年『THE FIRST TAKE』に出て「My Way」がバズった時に、15年前に生まれていなかった子たちは新曲だと思って聴いているわけで、「これは一生新曲なんだ」と思ったんですよ。僕らは常に新人だし、ベテランなんていないんだと。そういう意味で、WSTではもう一度生まれ変わった感覚がすごくあって、すごく新鮮なんですよね。
◆インタビュー(2)へ
この記事の関連情報
Def Tech、野音ライブから「FANTASY」映像を公開
【速レポ】<LuckyFes'24>Def Tech、「太陽を持ってきたのはオレたちでございます」
Def Tech、NulbarichのJQとのコラボによる新曲をリリース「まさにFANTASYな時間でした」
Def Tech、対バンツアー千秋楽に夏の全9ヵ所ホールツアーを発表
MONKEY MAJIK x Def Tech、夏への想いを歌ったコラボ曲「O.G. Summer」配信開始&MV公開
Def Tech、自らを讃えて相手を認める応援ソング「Ring D Alarm」MV公開
MONKEY MAJIKがホストの新イベント<enigma music fes 2024>仙台で開催
<GREENROOM FESTIVAL’24>第3弾でAwich、Kroi、SIRUP、TENDREら
Def Tech、ホールツアー初日に新曲サプライズリリース+MV公開