【ライブレポート】w-inds.、新生w-inds.としての第一歩に“ありがとう”
「えーっ!」、「うぉーー!」、「わぁぁ」と驚きの連続。ライブを視聴している間中、絶叫が止まらなかった。やってる曲は既存のw-inds.曲、なのにこれまでとはまったく違うスタイルでそれらの楽曲を華やかに歌い、自信満々な表情で新しいアクトを繰り広げる新生w-inds.。その想像を遥かに超えた“完成度”、圧巻のできにやられっぱなしだった。
◆ライブ画像
このライブで(新体制は)よくないと思われるワケにはいかないから“人生”かけたね。この20年、いままでで一番頑張った。こだわったよ、本当に。そして、努力は裏切らない──橘慶太
3月14日、デビュー20周年当日に行なったw-inds.初の配信ライブ<w-inds.Online Show 『20XX”THE MUSEUM”』>。その終演後、日付はもうすぐ3月15日を迎えようとしていた頃、橘はこの日のライブショーの手応えを感じながらもホッとした表情をうかべ、自身のインスタライブを通してこうつぶやいたのだ。
まず最初に、このライブを迎えるまでのw-inds.を整理しておこうと思う。過去の作品に頼るよりも、新しい作品でみんなをまだ見たことがない世界へ連れて行きたいという気持ちで、常に進化することだけを考え、攻め攻めで活動してきたw-inds.。その姿は、3月14日に発売したベストアルバム『20XX”THE BEST”』を聴けばあきらかだ。そんな彼らが15年目、転機を迎える。変えたのは、支えてきた人々、ファンの存在だった。15周年のライブでみんなの愛情をひしひしと感じた彼らのなかには、今後は“みんなの思い出のなかのw-inds.、みんなが求めるw-inds.”をやりたいという気持ちが芽生え始める。
最新曲を詰め込み、毎年アップデートしたライブを提供してきたw-inds.が、近年セットリストに昔の曲を加えるようになった背景には、彼らのそういう思いがあった。その流れを踏襲し、今回の20周年ライブ<20XX”THE MUSEUM>は、本来ならその集大成となるライブを展開するはずだった。ところが、そこに緒方龍一脱退、コロナ禍でオンライン開催という2つの予想外の事態が発生する。そんな中で自分たちはどうやって新生w-inds.の可能性をみんなに伝えていくのか。20周年のライブは、2人でパフォーマンスするw-inds.をみんなに受け入れてもらえるのか、愛してもらえるのかを問う、w-inds.史上最大の今後の生き残りをかけた勝負となっていったのだ。
だからこそ、橘はこのライブに人生をかけたと話した。そのために、彼はこのライブでやれることは全部やろうと、初めてステージの総合演出やサウンドのミキシングの部分まで自ら手をかけていった。緒方脱退から裏で時間をかけてコツコツコツコツ、この新生w-inds.を見つけるために積み重ねてきた努力。そのすべてが、今回のライブショーを生み出した。
ライブ開演1時間前。オンラインショーはw-inds.の歴代のツアーのオープニングをめぐる映像から開幕。ここですごいなと思ったのは、彼らが緒方在籍時の映像を普通に使っていたところ。思い出を振り返りながらも、いまの新生w-inds.ではもっと楽しませてあげるという自信がなければできなかった演出だ。
そして時間ぴったりにライブは開幕。今回は「やりたいことがあるから事前録画でやる」と話していた橘。画面のなかに現れたのは、大人の女性の後ろ姿。ヒールの音がコツコツと響く場所はどこかの建物の中。階段の壁には最新のw-inds.から時代を遡るようにツアーポスターが展示されている。それを辿っていくと、まばゆいバックライトに包まれ、そのなかにw-inds.とダンサー4人がスタンバイ。
千葉の歌声から始まったのは最新曲「Beautiful Now」だった。新生w-inds.が露わになった瞬間、“w-inds.=ツインボーカル”という図式が自然と頭に浮かんだ。2人の決意のこもった強い眼差しと歌、力強いダンス。そんな2人と一丸となって踊る4人のダンサーたちの背中には、w-inds.の文字がプリントされている。いままでとはまったく違う、でもこれが新生w-inds.なんだというアクトが躍動感たっぷりに鮮やかに目の前で立ち上がり、その新鮮すぎる姿、どこまでも迷いのない自信に圧倒される。
次の「DoU」は千葉始まりの歌い出しに変えてきた。歌割りもダンスのフォーメーションも、2人体制仕様にすべてリアレンジしている。いったいここまで、どれだけの時間を費やしてこのライブを創り上げたのか。想像するだけで胸が熱くなる。そんなこちらの熱量を容赦なく「We D’ont Need To Talk Anymore」の先鋭的なサウンドとダンスがさらに刺激。ここでは視聴者が“もーもーもーももも”のフレーズをコメント欄で大合唱したり、次の「Time Has Gone」では、曲の途中から1階と2階に分かれたメンバーとダンサーをミュージックビデオを見ているような凝ったカメラワークで見せたり、オンラインならではのやり方でみんながw-inds.を満喫している。
2人になったこと、オンラインライブになったこと、それらを見事に逆手にとって、より一層“自由度”を広げてきたw-inds.。その逞しき姿に、冒頭から頭と心が震えまくる。橘が作詞・作曲・編曲を手がけたセルフプロデュースの近年のw-inds.パートが終わると、再び女性が現れ、展示ポスターを巡りながらさらに昔の時代へとタイムスリップ。時間がさかのぼると、w-inds.も衣装、ヘアスタイルを変えて、空間を移動した場所に登場するというオンラインならではの仕掛けにワクワクしていたら、エレクトロなビートが響き渡り、次の時代は「New World」で幕開け。ここでは濡れたフロアの水をはじき飛ばしながら繰り広げる足技、続けて「Let’s get it on」では2人の胸のヒットなど、ダンスのスキルもハイレベルなw-inds.の細やかなテクニックを画面アップでとらえながら、ライブアンセムとして欠かせない2曲を続けざまにバキバキに踊って魅せる。
次は2人がボーカルワークで見せていくパートへ。ここがまた凄かった。椅子と壁を使い、いまの年齢ならではの大人の色気をたっぷりと纏いながら交互に歌いついでいった「Listen to the Rain」(この日唯一アルバム(『MOVE LIKE THIS』)のリード曲からのチョイス)も、橘のフェイクから、Aメロを歌い出した千葉が正確なピッチで橘ばりのハイトーンを聴かせた「Be As One」も、歌う覚悟を決めた千葉が橘の指導のもと「千葉涼平ってこんなに歌えるんだ」という域までボーカリストとしてその才能を開花させた姿が全編に感じられる渾身の2曲。この選曲は、そこを押し出すためのものだったんだということには後から気づがついた。千葉の努力、さらにはその潜在能力に誰よりも先に気づき、プロデュースしていった橘に心底しびれた場面だった。
そこからまた時間はさかのぼり、次はフォーマルなスーツに着替えたw-inds.が登場。ダンス&ボーカルグループのなかでも、最新のEDMだけではなく、ソウルフルで、ディスコな煌びやかなサウンドもラグジュアリーに乗りこなすw-inds.にとって、スーツはここぞというときに着てきた衣装の一つ。そんなエレガントな姿で「IT’S IN THE STARS」では橘が高音フェイクを、「ブギウギ66」では千葉がブレイキンでステージに彩りを加えるw-inds.ならではのパフォーマンスは、いつ見てもカッコいい。
そのあと2人が階段に座り、歌い出したのは「TRIAL」だった。“何度だって起き上がるよ〜”、“いつの日にかこんな日々を/愛おしく思うかな〜”、いまだからこそグッとくる歌詞。それを噛み締めながら歌う2人の横顔を、カメラが静かにとらえていくとコメント欄は“泣ける”という文字でうめつくされる。
再び聞こえたきた足音。時代がデビューまでさかのぼったところで、w-inds.はこれまでの暗かった室内を抜け出し、窓からあたたかい外光が差し込む上層部のスペースへと移動。ジーンズにコートを合わせたカジュアルな衣装に着替えたメンバーが目に入ると、たちまち少年だった頃の彼らが脳裏に蘇る。そこから曲は「Another Days」、「Long Road」へ。当時歌っていたこの2曲の歌詞が、いまの彼らにあまりにもオーバーラップしすぎて何度も何度も泣きそうになる。その気持ちを「Long Road」のラスト、“すべてが明日へと繋がっていく/On My Own Road”に万感の思いを込め、この先にある未来の希望へと視聴者全員を気持ちよく昇華させていったところは、間違いなくこのライブのクライマックスだった。
そうして彼らは着ていたコートを脱ぎ捨て、本当に10代に戻ったんじゃないかと思うほどキラキラした透明感あるピュアな表情で「Feel The Fate」を可愛く踊り、真っ白い部屋で窓の外の青空をバックに「Paradox」を笑顔で歌い、カメラ目線のサービスショットで視聴者に感謝の気持ちを伝えながら「Foever Memories」を届けたところで、ライブは終了した。
ツアーポスターのディスプレイに従いながら建物の中を巡回し、現在から過去へとタイムスリップしていくその途中途中、さまざまな場所で繰り広げられるショーを見て回った今回の“w-inds. MUSEUM”は、まさにオンラインならではの空間と演出をいかしたアート作品のようなライブだった。まさか、こんなに練りに練ったライブを用意していたとは。
オンラインライブにおいても、また2人体制になった新生w-inds.としても、これまで見たことのないグループとしての新たな可能性の扉を、ここでいっきに開いてみせた2人。これからのw-inds.について、FC限定で公開したアンコールのトークライブでは「ここからは5年先の25周年とか、あまり先のことまで決め込まず、目の前のことを大切にしていきたい」と話した千葉に対して、橘は「ここからモチベーションをあげて、次の5年は攻めの姿勢を強く持って、もう一段階上のw-inds.のNew World。その可能性を見つけたい」と語った。
見た目も考え方も凸凹、そんな2人が、ここからw-inds.の可能性を見せるための扉はまだまだありそう。そんな希望を感じずにはいられないライブだった。そして、続けるならここまでやりきるというもすごい覚悟をもって、新生w-inds.としてこの第一歩を踏み出してくれた2人に、改めて「ありがとう」という言葉を心から伝えたい。
文◎東條祥恵
セットリスト
2. DoU
3. We Don't Need To Talk Anymore
4. Time Has Gone
5. New World
6. Let's get it on
7. Listen to the Rain
8. Be As One
9. IT'S IN THE STARS
10. ブギウギ 66
11. TRIAL
12. Another Days
13. Long Road
14. Feel The Fate
15. Paradox
16. Forever Memories
リリース情報
2021年3月14日(日)発売
通常盤:CD ONLY 3 DISCS / PCCA-06014 / ¥4,000+Tax
初回限定盤:CD 3 DISCS + Special DISC(CD+DVD) / PCCA-06013 / ¥6,000+Tax
PCSC盤:CD 3 DISCS + Special DISC(CD+DVD)+撮り下ろしフォトブック(80ページを予定)をスペシャルボックスに同梱 / SCCA-00107 / ¥9,000+Tax
※全曲最新デジタル・リマスタリング音源
【CD収録内容】(全形態共通)
<DISC 1>
01. Forever Memories
02. Feel The Fate
03. Paradox
04. try your emotion
05. Another Days
06. Because of you
07. NEW PARADISE
08. SUPER LOVER〜I need you tonight〜
09. Love is message
10. Long Road
11. Pieces
12. キレイだ
13. 四季
14. 夢の場所へ
15. 変わりゆく空
<DISC 2>
01. 十六夜の月
02. 約束のカケラ
03. IT'S IN THE STARS
04. TRIAL
05. ブギウギ66
06. ハナムケ
07. LOVE IS THE GREATEST THING
08. Beautiful Life
09. アメあと
10. Everyday
11. CAN'T GET BACK
12. Rain Is Fallin'
13. HYBRID DREAM
14. New World
15. Truth〜最後の真実〜
16. Addicted to love
<DISC 3>
01. Be As One
02. Let's get it on
03. You & I
04. FLY HIGH
05. A Little Bit
06. 夢で逢えるのに〜Sometimes I cry〜
07. FANTASY
08. In Love With The Music
09. Boom Word Up
10. Backstage
11. We Don’t Need To Talk Anymore
12. Time Has Gone
13. Dirty Talk
14. Get Down
15. DoU
16. Beautiful Now
【Special DISC(CD)収録内容】(※初回限定盤&PCSC盤のみ)
ストリーミング配信サイトでのシングル以外の再生数上位楽曲を収録したw-inds. crew SELECTION CD
※主要音楽ストリーミングサービスでの人気楽曲集計(2020/11/25〜2021/1/25)
01. Endless Moment
02. Temporary
03. Dedicated to You
04. This Time〜願い〜
05. Winter Story
06. New-age Dreams
07. CANDY
08. Somehow
09. Celebration
10. Moon Clock
11. 空から降りてきた白い星
12. Listen to the Rain
13. Sugar
14. Night Flight 〜夜間飛行〜
15. Give You My Heart
【Special DISC(DVD)収録内容】(※初回限定盤&PCSC盤のみ)
メンバーセレクトによる、BEST LIVE SELLECTION DVD
1 : Endless Moment(『w-inds. 1st Live Tour”1st message”』より)
02 : Paradox(『w-inds. “THE SYSTEM OF ALIVE”Tour 2003』より)
03 : INFINITY(『w-inds. “PRIME OF LIFE”Tour 2004』より)
04 : 夏空の恋の詩(『w-inds. LIVE TOUR 2005″ageha”』より)
05 : 空から降りてきた白い星(『w-inds. Live Tour 2006~THANKS~』より)
06 : Top Secret(『w-inds. Live Tour 2007~Journey~』より)
07 : Stay(『w-inds. Live Tour 2008~Seventh Ave.~』より)
08 : YES or NO(『w-inds. Live Tour 2009 “SWEET FANTASY” in Hong Kong』より)
09 : Nothing Is Impossible(『w-inds. Live Tour 2010″Another World”』より)
10 : アメあと(『w-inds. 10th Anniversary 314 [Three Fourteen] 』より)
11 : TOKYO(『w-inds. 10th Anniversary 〜Three Fourteen〜 at 日本武道館』より)
12 : NO DOUBTS(『w-inds. 10th Anniversary BEST LIVE TOUR 2011 FINAL at 日本武道館』より)
13 : T2P(『w-inds. LIVE TOUR 2012 MOVE LIKE THIS』より)
14 : We’ll Be Alright(『w-inds. LIVE TOUR “AWAKE” at 日本武道館』より)
15 : Say so long(『w-inds. LIVE TOUR 2014 “Timeless” 』より)
16 : I’m all yours(『w-inds. LIVE TOUR 2015“Blue Blood” 』より)
17 : In Love With The Music(『w-inds. 15th Anniversary Live』より)
18 : Smile Smile Smile(『w-inds. 15th Anniversary LIVE TOUR 2016 “Forever Memories” 』より)
19 : SAY YES (Reflection Remix by DMD) (『w-inds. LIVE TOUR 2017 “INVISIBLE” 』より)
20 : We Gotta Go(『w-inds. LIVE TOUR 2018 “100”』より)
21 : Drive-Me-Crazy(『w-inds. LIVE TOUR 2019 “Future/Past”』より)
【予約購入先着特典】
全国対象CDショップにて2021年3月14日発売の「w-inds. Best Album 『20XX “THE BEST”』」をご予約・ご購入のお客様に、先着で「w-inds. オリジナルブロマイドセット(ソロ2枚+集合1枚/計3枚組)」をプレゼントいたします。各店舗でご用意している特典数量には限りがございますので、お早目のご予約をお勧めいたします。
対象店舗:
【Aタイプ】Amazon.co.jp
【Bタイプ】タワーレコードおよびTOWER mini全店/タワーレコードオンライン
【Cタイプ】全国HMV/HMV&BOOKS online
【Dタイプ】楽天ブックス
【Eタイプ】TSUTAYA RECORDS、セブンネット、他全国CDショップ※一部取り扱いの無い店舗やウェブサイトがございます。
※ご予約・ご購入の際には、各店舗の店頭または各サイトの告知にて、特典の有無をご確認ください。
【『20XX “THE BEST”』発売記念キャンペーン】
「w-inds. Best Album 『20XX “THE BEST”』」の発売を記念して、20種類のスペシャルグッズが各20名様、合計400名様に当たるキャンペーンを実施します!PCSC盤/初回限定盤/通常盤共通封入の応募券に記載されているシリアルナンバーをご登録いただくと、1枚1口でご応募いただけます。スペシャルグッズの内容、応募方法、応募期間等詳細につきましては、後日お知らせいたします。続報をお楽しみに!
【予約はこちらから】
ベストアルバム「w-inds. Best Album 『20XX “THE BEST”』」予約受付開始
http://lnk.to/20XX_THEBEST
【PCSC盤販売サイト】
ポニーキャニオンショッピングクラブ
https://ps.ponycanyon.co.jp/w-inds/
【For Overseas Customers】
Ponycanyon Shop will accept orders from overseas. Please check below.
海外からご購入のお客様は下記よりお願いいたします。
https://shop.ponycan.com/products/list?category_id=&name=w-inds.
■初のインストアルバム「20XX THE BEST INSTRUMENTAL」3/14(日)より配信中
https://lnk.to/20XX_THE_BEST_INST
この記事の関連情報
w-inds.、ツアー<Nostalgia>再々追加公演決定「多くの人に届けられるのがすごく嬉しい」
w-inds.、最新曲「Imagination」配信決定
w-inds.、最新曲「FAKE IT」配信開始。華やかさとその裏にある際限を綴る
w-inds.、『Beyond』ツアー映像作品化+香港でのアワード受賞
【ライブレポート】w-inds.、いつまでも挑戦を
w-inds.、最新曲「Run」ライブ映像公開&2024年のFCツアー開催発表
w-inds.、最新曲「Run」ライブツアー東京公演で初披露。配信リリースも決定
w-inds.、全国ツアー追加公演を発表。約3年ぶり海外公演も
w-inds.、『第24回 China Music Awards』で「ASIAN MOST POPULAR GROUP」部門受賞